漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

秘密兵器はまさかの!

 俺たちがいた時間にも、目的の人物は姿を現していた。
 そんな衝撃の事実がわかったその日、やはりというか、またも学園前に呼び出される。

 時間は当然夜の九時過ぎ、つまり昨日と同じ状況だ。


 「大樹には申し訳ないが、今日も囮をしてもらう。何としても捕まえるぞ」


 悪いと思ってたのか。
 それを知れただけでも、少しは救われる。


 「それで? 昨日と同じ感じで調べていくのか?」

 「いや、今日はさらに秘策がある」


 クリムはそう言うと、なぜか誰もいない場所を見ながら。


 「出てきてください」


 そう語りかける。
 当然、何も反応はなく。


 「クリム、こんなに緊張している俺にイタズラはやめてくれ」

 「イタズラではない……早く出てきてほしい」


 すると、俺のすぐ隣から小さな声で。


 「……はい、ここにいます〜」

 「どわっ!?」


 慌ててその場から離れる俺の前には、見慣れた人が。


 「今回の秘密兵器、リファ先輩だ」

 「こんばんは……」


 秘密兵器はリファ先輩だった。
 以前よりも透明に見えるのは、魔力のせいなのか、夜のせいなのか。


 「と、とにかく驚きましたよ先輩。クリムも前もって言って欲しかった」

 「ん? そうか。それは先に言って欲しかったな」


 いや、無理だろ。


 「で、リファ先輩が秘密兵器って、どうするつもりなの? 隠れながら探す感じか」

 「そうではない。先輩の探知能力を頼りにする作戦だ」


 探知能力。
 魔法による罠などを見つけるため、魔力を探知したりする能力か。
 授業で習ったなぁ。


 「私の探知で、大樹君の近くにある魔力を調べて、広範囲で調査するみたい」

 「なるほど、相手の魔力を利用するってわけか」

 「その通りだ。相手は魔力を感じ取れるようだし、多少の心へはあるようだ。ならば当然、魔力を有しているはず。やられたらやり返すと言うことだ」


 腕を組み、ドヤ顔を見せるクリム。
 多分、会心の作戦なんだろうなぁ。


 「と言うわけで説明は終了だ。大樹、準備ができたら入って行ってくれ。私たちは昨日と同じく、離れた位置で待機する」

 「了解だ」


 今回のクリムは自信満々だ。
 だから多分、成功するに違いない……と思う。

 怖いと言う気持ちは昨日ほどではない。
 クリムじゃないけど、俺も自信出てきたかも!

 待ってろ未確認人物!
 日本にいた頃の探究心が、戻ってきた気がした。

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