漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

夜の学園を調査せよ!

 「なぁクリム、思ってること言ってもいい?」

 「なんだ、別に構わんが」

 「怖いから帰りたいです」


 夜の学校が初めてで怖いってわけじゃない。
 むしろ、日本では不思議解明って言って夜の校舎をまわったりもした。

 だけど今回は。


 「確実に誰かいるんだよね?」

 「うむ、その通りだ。その正体を知るため、大樹には来てもらった。協力感謝だな」

 「喜んでもらえてよかったよ……」


 本当は今すぐ帰りたいが。
 だってさ、今回は確実に誰かいるんだぞ!?
 それにここは魔法が使える世界だ。

 何もできない俺が、魔法使いのいる世界で、不審者探しとか。


 「今日、この時間にはほかに誰もいないはず。何か見つければ知らせてくれ」


 そう言ってクリムは小さな何かを渡してくる。
 見た目はイヤホンのようだけど。


 「これは?」

 「それを耳につけてくれ。私は少し離れた位置で隠れるから、指示なんかを全てこれを使って行う。大樹も、何かあればそれをつけたまま話してくれ」

 「便利だなぁ」


 こうして、何者かがいる夜の学園を一人で歩かされることになった。
 今さらだが、こういうのは学園側が対応してほしい。
 なんで生徒が。



 「大樹、何か見つけたか?」

 「いいや、特に何も感じないし見えないな。ほかに探したほうがいいポイントはあるのか?」


 探し始めて数十分が経過し、未だ発見はない。
 なんなら、このまま終わってくれないだろうか。

 しかしそんな願いも虚しく。


 「では、二つ先の教室に入ってくれ。以前そこでも発見されているそうだ」

 「……了解」


 言われるがまま移動するが、俺の調子も悪くなる一方。
 頼むから何も出るな!
 それを信じて進むのみだ。

 クリムに言われた教室のドアを開ける。


 「よし、大樹は慎重に中を調べてくれ」

 「わかった」


 小声でのやり取りを終えると、音が鳴らないよう慎重に、そして何もないことを願いながら進んでいく。

 ガタッ!
 中を調べていた俺の耳には、確実に何かが動いた音が聞こえる。


 「……クリムさん、今何か動いた音が」

 「そうか、その付近を探してみてほしい」


 鬼ですか。
 しかしここへ来て逃げるのも違うし。

 音のした方へ近づく。
 だけど人影なんて見えないし。
 するとその時、この雰囲気には合わない可愛い声が。

 にゃ〜。
 ……猫だな。
 この世界にも猫はいたのか。


 「クリム、音の正体は猫だったみたい。今確認した」

 「うむ、そうか。今探しているのは猫ではないんだ、なぜいるのかは気になるが、今はそのままにしておこう」


 そのままにしていいのか?
 そう思ったが、余裕はないので放置しておくことにする。



 その後、怪しいポイントを探して行ったが見つかることはなかった。
 その日の探索を終了し、翌日報告しようとなったんだが。


 「一体どういうことだ」

 「俺たちは結構探したぞ!?」


 翌日報告に向かった俺たちは、先生から渡された一枚の写真に驚いた。
 そこには、またも人影が映されており、俺たちが捜索している時の時間だったのだ。

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