漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

探検とキノコ狩り3!

 「リッシュ、どんな感じだ? ターゲットはいるのか?」

 「い〜や、ここにもいないみたいだ」


 小声でリッシュと会話する。
 フローラの力で、水のある場所は探すことができる。
 ここで三箇所目。

 正直、そろそろマッシュリザードが出てきてもいいと思う。
 フローラも、集中する必要があるみたいで疲れてきている。

 それに空も暗くなってくる。


 「なぁリッシュ。次の場所にいなかったら、一旦別荘へ戻らないか? フローラも疲れてるし、暗くなると危険だ」

 「そうだな、こんな森で暗くなったら危険が増してしまうしな。……よしっ、次で今日はラスト!」


 リッシュがそう言うと、フローラはそっと目を瞑り、意識を集中させ。


 「……次に強く感じるのは、ここからあまり遠くありません。……わかりました、ついてきてください」


 フローラとリッシュが並んで先頭を行く。
 さっきまでもそうだったけど、フローラはどんどん成長している。

 助けられてるのはいつも俺だし、なんだかなぁ。



 「おい大樹、ついに見つけたぞ。そ〜と見ろよ? あれがマッシュリザードだ」


 茂みに隠れながら、小さな声で話す。
 言われた方を見てみると、池のそばで眠っているキノコを生やした大きなトカゲが。


 「あれがマッシュリザードか。何というか、想像通りだ」

 「せっかく寝てるんだし、今しかないだろ。作戦は少しだけ変更。先輩に気配を消してもらって、このまま起こさずにキノコを取るんだ」


 リッシュの提案に、皆が頷く。
 すると、フローラが不安そうな顔でリッシュに。


 「あの、それでキノコは誰が取りに行くんでしょうか?」

 「あ〜そっか。俺が囮になる必要もないし、誰が行っても良くなったのか」


 確かにその通りだ。
 だけど、元々は俺が依頼されて来た。
 それに、みんなには助けられてばかり。


 「あのさ、キノコは俺に任せてくれないか」


 気がつくと、俺はそんなことを言っていた。
 意識していたわけじゃない。
 ただ、最後まで面倒をかけたくないって気持ちが強かった。

 それを察してくれたのか、リッシュは笑いながら。


 「そうだな、元々大樹がキノコ採取を命じられてたんだ。予定を変えずに行こう」



 ゆっくり、慎重に。
 先輩に魔法をかけてもらい、俺は今マッシュリザードに近づいている。

 今までの人生の中で、これほど緊張したことはないかもしれない。
 姿は消えているが、音は消せない。

 起きてしまえば、その先どうなるかわからない。
 すごい恐怖だ。

 それでも止まるわけにはいかない。
 一歩、そしてまた一歩と進んでいく。

 よしっ、これでキノコに手が届く。
 マッシュリザードの背中に生えるキノコに手が届くまでの位置、つまりほとんどゼロ距離だ。

 みんなのいる方をちらっと見ると、フローラは祈るように手を組んでいる。
 あんなに心配かけるなんて、俺もダメだなぁ。

 スー、ハー。
 一度深呼吸をし、手をキノコへ伸ばしていく。

 慌てるな、大丈夫、上手くいく。
 覚悟も決まり、キノコを掴む。
 そして、リファ先輩から預かった、少しだけ魔力が込められているナイフを取り出し、キノコを背から切り離す。

 これでオッケー!
 あとは持って帰るだけだ。
 俺がそんなことを考えた時だった。

 グォ、グォー!
 何か違和感でもあったのか、寝ていたマッシュリザードが起きたのだった。

 幸い、俺の存在には気がついていないらしく、辺りを見回している。
 みんなの方を見ると、茂みに隠れながら小さく、戻ってこいと合図している。

 そして、俺がこっそりと移動を開始したその時、マッシュリザードが俺の目の前の位置に来る!

 み、見つかったのか!?
 緊張で全身に力が入った時、俺とマッシュリザードの目が合う。

 それから目線は完全に、俺が採取したキノコへ向けられている。
 先輩の魔法が切れたんだ!

 マッシュリザードはもう一度叫ぶと、俺に向けて飛びかかった。

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