漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

連休とキノコ!

 明日はいよいよ連休のスタート。
 俺とフローラは今日も話しながら、学園へと向かっている。


 「大樹さん、いよいよお休みになりますね! サークルの皆さんと旅行なんて、すごく楽しみです」

 「俺としては、フローラがそれだけ楽しみにしてくれて嬉しいよ。サークルに誘ったのは俺だし」

 「誘っていただいて嬉しかったんです。仲良くしてくれる人が増えるのは、本当に嬉しい。大樹さんのおかげですね」


 そんな照れるような事を、笑顔で言ってくる。
 やっぱり、記憶がなくて不安だったんだよな。


 「フローラが楽しそうにしてるのを見ると、俺も嬉しいよ。旅行は楽しもうな!」

 「はい! もちろんです」


 そう言うと、フローラはいつもよりほんの少しだけ速く、歩くのだった。



 「これで、長期休み前最後の授業を終わります。数日会えなくなりますが、しっかり訓練はしておくように! それから、羽目を外しすぎないで下さいね。以上!」


 最終日の授業が終わり、クラス内も騒がしくなる。
 俺は同じクラスのクリムのもとに行き。


 「お疲れ様、クリム。それでさ、サークルの方には来られそうか?」

 「おう大樹か。みんなは泊まりで行くのだろう? 私は学園での仕事があるが、なんとか一日だけ休暇をもらえた。だから泊まりは無理なのだが、行く事はできそうだ」

 「そっか。まぁ、少しだけでも参加できてよかったよ。クリムもサークルの一員だからな」


 フローラと同様、俺が誘ったわけで、楽しんでくれないと辛いものがある。
 ゼロと一では、結構違うはずだ。


 「そう言ってもらえると嬉しいな。ところで、旅行の詳細は決まっているのか? 日にちもまだ知らないんだが」

 「ああ、それなら今日の夜リッシュが知らせてくれるらしい。やけに気合入ってるみたいで、もう教室にいないからな」

 「そうか、どんな予定か楽しみだ」


 そう言ったクリムは、このあと仕事があると言って教室を出て行った。
 クリムも嬉しそうでよかった。

 教室に残った俺は、待っていてくれたフローラと寮に帰る。
 クリムが来られる事を話すと、フローラは笑顔で喜んだ。



 「えっ!? これを俺たちがですか?」


 学園から帰った俺とフローラは、旅行のことをマスターに知らせに来た。
 すると、いつもの様に渋く優しい声で。


 「そうかそうか、それは楽しそうだ。思いっきり遊んでくるといいよ。ただ、寮のマスターとして、依頼もこなして欲しいと思う。まぁ宿題だと思って」


 そう言ってマスターが紹介してきた依頼が、珍しいキノコの採取だった。
 授業で習ったが、このキノコは一部の地域で生息するモンスターの背に生えるらしい。


 「この依頼は少し前に出たんだけど、地域が限定されるから難しかったんだよ」

 「ん? つまりマスター、俺たちの行こうとしている島には、そのモンスターがいるんですね?」


 マスターはコクリと頷くと。


 「この機を逃すわけにはいかないからね。みんなと協力して、達成して欲しい」


 まぁ俺一人じゃないし、フローラやクリムもいるから問題ないかな。
 それに、あまりこの寮に貢献できてないからな。


 「マスター。この依頼は、俺たちに任せてください!」

 「大樹さん、大丈夫ですか?」


 心配そうに見つめるフローラに。


 「大丈夫、いざとなったらフローラたちに助けてもらうから!」


 我ながら情けないセリフだ。
 しかし、フローラは嬉しそうに。


 「はい! お任せください大樹さん」


 笑顔でそう言うのだった。

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