漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

さぁ魔法の特訓だ!

 リッシュと別れ、寮に戻る道中にクリムがいた。
 話を聞くと、俺を待っていたようで。


 「大樹に魔力があることがわかったんだ、早速訓練しようではないか。私は火を操る魔法が得意だし、そこを中心にしていこうと思う」

 「一気に話すなよクリム、いきなり特訓って言われてもさ」


 心の準備もできていないし。
 午前中の授業では、いまだに魔法は使えなかったし。


 「だが魔力はあるんだ。練習すればできるはず。私なら力になれると思うが」

 「クリムは上級クラスの魔法も使えるんだよな? 俺でもできるのか?」

 「上級クラスの魔法は難しいな。そのジャンルの魔法が得意な人間でようやくといった感じだ。だが、大樹にも得意な魔法があれば使えるはずだ」


 学園の本にも書かれていたが、人によって生まれつき、得意な魔法と苦手な魔法は決まっているらしい。
 その大半は遺伝だったりするそうだ。


 「クリムの家系は、やっぱり火の魔法が得意なのか?」

 「そうだな、私には兄がいるが、やはり火を操ることを得意としている。まぁ、戦い方や使い方には少し違いはあるが」


 なるほど、同じような魔法でも使い方が違うのか。
 これからの為に覚えておこう。


 「話がズレたが、これから私は大樹と訓練をする! ……いいな?」

 「は、はい」


 謎のプレッシャーに負けてしまった。



 クリムに連れてこられたのは、寮の近くにある川沿いの公園。
 公園と言っても、遊具なんか少ないところで、子供はあまりこないが。


 「まず、魔法を使う為には自分の中の魔力を感じなければならん。そして、自然界に存在する魔力と共鳴させる。魔法を使うと言っても、これだけの作業が必要なのだ」

 「いきなり難しい話ですね」

 「だがそれが出来れば、大樹にも魔法は使えるのだ。頑張ってみてくれ」


 そう言うとクリムは、手本を見せるように魔法を唱えようとする。


 「自分の魔力と、この世界に漂う魔力を共鳴させ、祈るようにするんだ。そして、それができたと感じた時、魔法を唱えてやるだけだ……フォイア!」


 それは初日の授業でもみた火の魔法。
 やはり初級とされる魔法でも、得意のクリムが使うと威力が違う。


 「こんな感じだ。見ただけでは難しい、実際にやって、コツを掴むしかないだろう」

 「そうだな、せっかくすごい先生がついたんだ。魔法界にいるんだし、早く魔法が使えるようになりたいな!」


 この日から、俺とクリムの魔法特訓が定期的に始まることになった。

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