漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

いざクエストへ!

 「二人はそこで見ているといい。今回は手本として私が追い払ってやる!」


 頼もしいセリフとともに、クリムはゆっくりと前へ進んでいく。
 何故ゆっくりなのか。
 目の前に巨大イノシシがいるからだ。

 このような状況になったのには理由がある。



 「いきなりクエストに挑んでも大変だろうし、手本としてクリムが教えてあげればいいのではないか?」

クエストについて説明後、俺たちにマスターが言った。


 「それもそうだな。私がいるうちに、クエストの受け方やなんかも知ってもらうとしよう。実際に行動した方が理解しやすいはずだ」

 「確かにありがたいな。そもそも俺たちに出来るクエストなんかあるのか?」

 「あまり難しく考えないでくれ。それぞれのレベルに合わせて、マスターがクエストを選んでくれるさ」

 「そうだねー、今きているクエストで良さそうなのはヴォルフ追放かな。林近くの村にまで出て来ていて、困っているようだ」

 「了解した!では、このクエストを一緒にこなそうではないか」



 そうして、現在に至る。
 ヴォルフというのは、俺たちが初日の林で見た巨大イノシシの事らしい。

 元々は、縄張りを作り生活するそうだが、一部は人間の生活拠点まで来るらしい。


 「大樹よ、しっかり見ておくんだぞ。油断しては一瞬でやられてしまうからな」


 そう言いながら、少しづつ間合いを詰める。
 今回のクエストは退治ではなく、追放ということで無駄な殺生はいけないということらしい。

 ヴォフ!ヴォフ!
 少し離れている俺にも、ヴォルフが興奮しているのがわかる。
 いつ襲ってきても、おかしくない状況だ。

 そんな中、それでもクリムは間合いを詰める。
 それに少し驚いたのか、ヴォルフの方が引き始めたように見える。

 そしてクリムが立ち止まり。


 「・・・シャイン!」


 何かを唱えると、クリムから強烈な光が放たれる。
 一瞬のことだったが、ヴォルフを驚かせることには成功したようだ。
 情けない鳴き声とともに、ヴォルフは林の方へ逃げていった。


 「なぁ、クリム。本当に退治でなくて、追放でいいのか?また襲ってくるんじゃ」

 「奴らもバカではない。一度嫌な目にあえば、そうそう襲っては来なくなる」


 そんなもんなんだな。
 むやみに退治しないというのが、この世界でのルールらしい。
 俺も気をつけないと。


 「あんたたち、ありがとうよ。おかげで助かりましたわ」

 「ああ、依頼人でしたか。また何かあれば頼ってください」


 そういうと、クリムは依頼の書かれた紙を取り出し。


 「ここにサインよろしいか。大樹、フローラ、依頼完了後は依頼主からのサインが必要だ。報酬もそれを確認できなければ受け取れないぞ」

 「了解」


 依頼主のおばちゃんからサインをしっかりもらい、俺たちの最初のクエストは完了した。

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