漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

魔法世界の暮らしとギルド!

 「おはよう大樹。昨日はよく眠れたかな?」


 転送魔法で部屋を出て、階段を降りたところにクリムが立っていた。


 「ああ、よく寝れたよ。部屋の設備も悪くないし、監視されているとは思えないほどだ」

 「それは良かった。監視はそもそも、軽いルールなのだ。問題さえなければ長い期間になることはないはずだ」


 それは良かった。
 学園長の話でも、そこまで警戒されている感じではなかった。
 何なら、記憶のないフローラの方を気にしていたような。


 「あ、大樹さんとクリムさん。おはようございます」

 「フローラか。おはよう」


 階段を降りながら挨拶をするフローラに、返事をする。


 「何か大切なお話をされていたんですか?まだ朝早いですが」

 「うむ。その事なんだが、君たちには学園のルールを覚えてもらう」

 「え?いきなりルール説明か」

 「なぁに、心配するな。全部を覚えてもらう必要はそこまでない。基本的なことや、重要なことだけでいいぞ」


 それなら覚えられるかも。


 「ちなみに、いくつくらいあるんだ?」

 「大きく分けて二つある。学園での生活とそれ以外の事だ。学園でのルールは、ここで説明するよりも慣れてしまった方が早いだろう。なのでそれ以外のことを説明する」


 学園以外でのところか。
 ここの生徒たちがどうやって生活しているのか、気になる事ではある。


 「君たちは現状、暮らしていくお金がないのだろう?実はこの寮に暮らすもの皆が、同じ状況の中学園に通っている。親の金に頼らない、社会実習の意味もあるのだ。というわけで、君たちにも生活費は自分たちで稼いでもらう」

 「それはいいけど、稼ぐったってどうすればいい?」

 「私も記憶がなくて魔法使えませんし、大丈夫でしょうか」

 「心配は無用だ。とにかく、私について来てほしい」


 そう言うとクリムは、左右にある階段の奥、謎だったドアの前に立ちマジックキーを掲げる。

 するとドアからガチャリと音が鳴る。


 「よし、では二人とも一緒に来てくれ。お金の問題はここで解決できるぞ」


 ドアを開け中に入っていくクリム。
 その後を追うように、俺とフローラも恐る恐る中に入っていく。
 すると話し声が聞こえてくる。


 「久しぶりじゃないかクリム。うちの誰かが問題でも起こしたのかい?」

 「いやいや、今日の私は説明係とでも言うのか。新人への紹介だ」


 すると、部屋の奥にいる渋い声のおじさんが俺とフローラを見て。


 「君たちが新人さんか。話は聞いていたんだけどね。私はフェンスという。これからよろしく頼むよ」

 「あっ、伊藤大樹といいます」

 「フローラと申します」

 「そうかそうか、君たちが監視対象の。悪い子たちには見えんな。すぐに解放されるだろう」


 この人には、俺たちの状況が伝えてあるらしいな。
 監視のことまで知ってるし。


 「君たちには紹介していなかったが、フェンスさんはこの寮の責任者だ。マスターともいうが、どちらでも構わないだろう。お金に関しては、彼を頼るといいぞ」

 「えっと、フェンスさん?お金に関してどうすればいいのでしょうか」

 「大樹君と言ったね。私のことはマスターでいいよ。この部屋は寮の集会所のようなもの。学園内外問わず依頼が集まるんだよ」

 「えっと、依頼というのは」

 「そういえば、大樹たちにはまだ言っていなかったな。この学園は、この国の訓練所としての役割もある。国の人間が皆、魔法を使えるわけではないのだ。そのため、何が起きてもいいよう鍛えている。特殊訓練所とでもいうのか」

 「なぁクリム。結構大事そうな話なのに、今初めて聞いたよ?」


 あの学園長、こんな話何もしなかったな。
 せめてもう少し説明して欲しかったよ。


 「そんなわけだから、社会経験とかっていう意味も含めて依頼が来るんだ。それを管理するのもマスターである私の仕事になっている」

 「何となく話がわかって来ましたよ。要するに、その依頼を達成すれば報酬がもらえるんですね?」

 「理解が早くて助かるよ」


 アニメや漫画、ゲームで出てくるギルド的なことだよな。
 クエストをこなせば報酬がもらえる、非常にわかりやすいシステムだ。


 「この学園の寮は全部で8ある。君たちが頑張れば、寮の評価も上がるからね。ぜひ頑張ってくれ」

 「できる限り頑張りますよ」


 魔法は使えないけどね。

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