漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

魔法の存在!?

 連行する?
 見知らぬ島に流れ着き、長い時間林をさまよっていた俺たちを?
 ・・・。

 「いいですよ、連行しちゃってください」

 「へ、本当に!?」


 俺の答えが意外だったのか、今度は赤髪の子が変な声を出す。


 「連行されるのはあれですけどね、正直迷子だったんで助かったんですよ。早くこの林抜けたいし」

 「ほほう、そういう事だったのか。ならば連行させていただこう」

 「フローラも仕方ないけどいいよな?」

 「はい、林の中でイノシシに襲われるのは疲れましたから」


 フローラの了承も得たところで、俺はひとつ気がつく。
 この子も日本語通じるのか。
 どうして日本語ができるのか聞こうとすると。


 「それでは二人ともこちらに来てくれ。今から学園長の元へ連れて行く」


 言われるがまま、フローラと二人で彼女に近づく。


 「よし、そこでいいぞ。・・・テレポ!」


 彼女が叫んだ瞬間、目の前は光で包まれる。
 思わず目を瞑ると、次の瞬間にはどこかの建物の中にいた。


 「ど、どうなってるんだ!?俺たちさっきまで林にいたよな?」


 「何を慌てている。・・・まさかテレポを知らないのか?基本的な魔法のはずだが」

 「あ〜なるほどね。要は瞬間移動的なやつだ。ふ〜ん・・・」


 って待て!
 今俺の耳がおかしくなければ、確かに魔法って言ったな。
 これ以上は頭がついていかないぞ!


 「あの〜赤い髪の美人さん?今もしかして魔法って言いました?いやいや、聞き間違いなら良いんですけど」

 「確かに魔法といったが?・・・美人さんっ!?」


 いやいや、驚くのそっちかよ!
 彼女は少し荒れた呼吸を戻し。

 「取り乱してすまなかった。ここはトンティス魔法学園最上階、学園長室前だ。連行する際には、必ず学園長に合わせるよう決められている」

 「状況が全く飲み込めないけど、とにかく学園長さんに会えばいいんですよね?」

 「話がわかるではないか」


 嬉しそうにする赤髪の子。
 魔法なんてものを信じるのはあれだが、実際に体験したからなぁ。
 それに嘘をついているようにも見えないし。


 「それでは来てもらおうか。学園長が待っておられるのでな」

 「ちょっ、その前にひとついいですか?あなたの名前は?」


 この先どうなるかわからない。
 せめてこの見知らぬ島で、最後に会った人間の名前くらい知っておきたい。

 重そうな扉を開けながら、彼女は振り返り。


 「私の名はクリム。覚えておくといい」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品