漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

見知らぬ島と女の子

 ザザー、ザザー。
 波の音で目を覚ますと、目の前には海が広がっている。
 俺はどうしてこんなところに寝てるんだ。

 後ろを見ると、林になっている。
 やはり、こんな島記憶にないな。
 そもそもどうしてこんなところにいるのか、思い出さないと。




 勇者が通ったとされる海路を、俺はまっすぐ進む。
 時間を確認すると、島を出て数十分ほど経っているが、一向に勇者の痕跡はない。


 「もう少ししたら、島に戻るか」


 そう決めた瞬間、何もないはずの場所にぶつかったような衝撃を感じた。


 「な、なんだ?こんな海に壁があるわけ」


 俺は疑いながらも、もう一度その場所に近づいていく。
 船を進ませようとするも、跳ね返される感覚があり、進むことができない。

 ようやく不思議に出会えたぞ!
 俺は意地でも突破してやりたくなった。


 「こんのっ、まだまだ!」


 俺は何度も見えない壁にぶつかってみた。
 それでも突破できない壁に、少し諦めの気持ちも生まれてくる。

 次でラストにしよう。
 俺は残る力の全てを込めて船を進める。


 「いけー!!!」


 全力で進む船が壁にぶつかった時、バリーンという鈍い音が聞こえた。
 それと同時に、俺は信じられないほどの衝撃を体に受けた。




 その後のことは覚えていない。
 ただ、衝撃と同時に船から吹っ飛ばされたことはなんとなく覚えている。

 俺は目がさめる前のことを思い出し、自分の置かれた状況を理解した。
 そう、この島に流されてきた!


 「何もしないわけにはいかないし、ちょっと周りを見てみるか」


 この島について知りたいし、俺は探索することに決めた。
 もしかしたら人がいて助けてくれるかもしれない。



 近くを探索していると、俺はとんでもないものを見つけてしまった。
 ・・・人が倒れていた。 

 走って近づくと、息をしているのがわかる。
 制服を着ているから、どこかの学校の生徒なんだろう。
 目立った怪我もないし一安心。

 「ん?」


 慌てていたせいで気づくのが遅れたけど、スカート履いてるし女子だ。
 むやみに触らなくてよかった。


 「あのー、すみません。話できますか?」


 女の子の肩を軽く揺すりながら尋ねる。
 申し訳ないが、こちらも長時間待っていられる状況ではない。
 すると少しだけだが、返事をしてくれた。


 「大丈夫ですか?怪我はないようですけど」

 「う・・・ん、ここは?あなたは誰ですか?」

 「えっと、俺は伊藤大樹と言います。船が沈んでしまい、先ほど気がついたんです。なので場所はわからなくて」

 「伊藤大樹さん・・・。わかりました」


 優しく、ゆっくりとした話し方だ。
 一瞬、本当に同じ人間かと疑ってしまった。


 「あっ、そう言えば日本語わかるんですか!?先ほどから普通に会話してますけど」


 こんな当たり前のことも忘れていた。
 相川が渡してくれた通訳機も流されてしまったため、今は何も持っていない。
 それなのに、あまりにも普通に会話していた。


 「日本語というのはわかりません。どこか特別な言語なんでしょうか?私たち普通に会話していますが」


 彼女がとぼけているようには見えない。
 日本語がわからないとは、どういう事だ?
 なら今どうして会話ができてる。

 このまま考えても仕方なさそうだし、とりあえず彼女について聞いておこう。


 「あの、すみません。あなたの名前とか聞いてもいいでしょうか」


 俺がそんな質問をすると。


 「すみません、実は何も思い出せないんです」

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