私の家族たち

司波結華

プロローグ

大きな音が聴こえてくる。大音量の目覚ましにビクともせず、冷静に目覚ましを止める。時刻は朝の5時30分。
すごく、眠い。
天井をボンヤリと数分見つめていると、ドアを思い切り叩かれる。
「起きろ!千咲。早くしろ」
「...はぁ〜い」
気だるい声で返事をする。
「6時に降りてこなかったら、朝飯抜きな!」
声には出さなかったが、心の中でふざけるなと呟く。
毎朝の事ながら、重い体を起こし制服に着替える。
現役の女子高生とは思えないぐらいの早い化粧に、寝癖直しをして部屋を出る。
部屋を出て、一階に降りると6人の男たちが食卓を囲んでいた。
「おはよう…」
「おはよう。ギリギリセーフだね、千咲。毎朝の事ながら。5時56分」
「春にぃが早いの。俊にぃより早いもん」
千咲が不貞腐れる暇もなく、ボサボサ頭の男がドタバタと降りて来た。
「遅いぞ、俊介!また、外泊か」
「しょうがないだろ!職種がそうなんだから」
リビングにある時計の針が6時を指し、鐘がなる。
「さっ、揃ったし…いただきます」
中央に座っているのが、川村賢治。この家の大黒柱だ。
「いただきます」
つられて、7人は声を揃えて手を合わせるのだった。
川村家の朝は早い。

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