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執筆用bot E-021番 

魔王城へ

 都合のいいことに武芸大会が開かれて、都合のいいことにオレは決勝まで進出した。なんでオレみたいなのが決勝まで来れたのか。



 実力ではない。剣が意思を持ってるかのように勝手に動くのだ。さすがは伝説の剣。まぁ、先生がそういうふうに描いたんだろう。神が遺した伝説の剣だ。勝手に動いてくれるぐらいのチカラはあってもいい。



 決勝。



 巨大な切り株の上が舞台だった。半径10メートルぐらいある。そこでオレはケィケィさんと対峙していた。



「さすがは勇者と名乗るだけはあるな」
 と、ケィケィさんは言った。



「はぁ」
 オレの実力じゃないってところが、申し訳ない気持になる。



「ゆくぞ」
 いちおう人を殺しちゃいけないってルールはあるみたいだ。みんなが使ってるのは木刀のようなものだった。オレの剣も鞘つきだから問題ない。



 ケィケィさんは今までの人たちとは、格が違った。



 勝手に動く伝説の剣に身を任せていても、ケィケィさんの剣戟けんげきを防ぎきるのは難しかった。腰や足に何度か打ち込まれた。マジで痛い。



「どうした。その程度か」
 ケィケィさんは肩で息をしながらそう言った。



「その程度とか言われても、オレは物語に身を任せるだけなんですけどね」



「運命は自分の手で切り開いていくものだ」
「熱いんですね」



 どうやらケィケィさんは熱血系キャラのようだ。



「諦めたらそこで終わりだ。どんな運命であろうと私は自分の足で進んでいくだけだ」



「そりゃご苦労なことで」
「ずいぶんと覇気のない勇者だな」



「こういうキャラなんですよ」



 ケィケィさんの言葉は、すでに手垢のついたセリフだ。そんなセリフをいくら吐きつけたところで、何も響かない。



「でも、熱血キャラなんて、先生が描くにしては珍しいキャラですね」



「ネタ切れだッ」



「えー」
 そんなあからさまに言っちゃってもいいのか。



 何度か剣と剣が結び合った。そしてついにはオレのエクスカリバーが、ケィケィさんのミゾオチを突いた。



「ぐはっ」



 ケィケィさんが戦闘不能におちいった。オレが優勝することになった。努力して得たものではない。約束された勝利だ。別に、うれしくも何ともない。むしろ、先生の手のひらで踊らされていると思うと、不愉快まである。



 オレの冷めた気持に反して、大歓声が巻き起こった。



「おー。すげー」
「さすがは勇者だ」
「ステキよー」



 キャアキャア言われると、さすがに舞い上がってしまう。美人なエルフさんたち寄ってきて、オレの頬にキスしてくれたりもした。このまま先生のことなんて忘れて、エルフの森に留まろうかと思ったぐらいだ。



 でもこれ以上、魔王を待たせたら、また関西弁で怒ってきそうだ。



 完治したケィケィさんに案内されて、エルフの森を抜けることになった。岩壁に掘られた穴をくぐると、魔王城だった。



 たちこめる暗雲の下に、石造りの堅牢そうな城が立っていた。城の周囲は奈落になっていた。その石橋をわたるために石橋がかかっていた。



 RPGとかやってていつも思うのだが、どうして魔王の城に行くまでに道があるのか。魔王なら勇者が来られないように道をふさいでおくべきとちゃうかなぁ――と思う。



 まぁ、それだとラストダンジョンにたどり着けないことになるのだが。



「ところでケィケィさんは、どこまでついて来てくれるんですか?」



「私も魔王を倒すために、勇者に同行しよう」
「それは心強いです」



「うむ。私は噛ませ犬の役目があるのだ。安っぽい感動を読者に与えるために、私は魔王と戦って死ぬことになる」



 うわー。頼りねー。



「じゃあ待っといてくださいよ。いくらフィクションの中でも、人が死ぬのを見るのは厭なんで」



「いいや。私は自分のチカラで、運命を切り開いて見せる。運命には屈しない」



「そんな張り切らんでもええですって。最初からオレが戦えば済む話やないですか」



「この軟弱者め。自分の信念を貫く獅子の奮迅というものを、しかと見ておけ」



「やめてくださいって。死ぬところなんか見たくありませんって」



「私を止めるなッ」



 オレのことを突き飛ばして、ケィケィさんは1人で石橋をわたりきってしまった。いくら止めても聞かなさそうだ。これも先生の筋書きなんだろう。



「待ってくださいよー」
 オレも石橋をわたりきった。

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