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先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、エクスカリバーの刀鍛冶がいないのか?

 竜のヘソを最奥まで進むと、行き止まりになっていた。前方も断崖になっていたのだ。断崖に囲まれた中央には鞘に入った剣が台座に置かれていた。



 その剣がオレのものになると思うと、けっこうテンションがあがる。上がるのだが――。



「日本刀ーッ」
「そうだ。あれが伝説の剣エクスカリバーだ」



 先生は堂々とそう言うのだが、あきらかにオカシイ。



「なんで日本刀なんですん。世界観ヨーロッパ風ですやん。伝説の剣が日本刀とかオカシイですやん」



「日本文化の影響を受けているのだ。これぐらいはあり得るだろう」



「じゃあ、なんでエクスカリバーですん。エクスカリバーって本来、アーサー王の剣やなかったですか? 日本とぜんぜん関係ありませんやん」



 先生はあからさまにメンドウくさそうな顔をした。



「わかった。わかった。じゃあ、中世ヨーロッパっぽい剣にすればいいんだろう」



 先生がそう言うと、エクスカリバーの形状が洋式のものに変わった。どうやら先生は世界を改編するコツをつかんだらしい。それがイチバンすごい魔法だと思う。



「ひとつ思ったんですけど、エクスカリバーって誰がつくったんですか?」



 エクスカリバーをつくった刀鍛冶がいれば、わざわざこんなところまで取りに来なくても、良かったことになる。



「それは、神様だ」



「魔王を封印しといて先に死んだとかいう、あのふざけた神様ですか」



「自らが滅したときのために、このエクスカリバーを残していたのだ。勇者となる異世界人が来るまでに、この竜のヘソに隠していた」



「なるほど」



 先生にしては意外と納得できる理由だ。神様が登場してしまったら、もはや何でもありだが。



「さあ、抜きたまえ」
「はい」



 台座に置かれている剣を手に取ってみる。以前、武器屋で持ち上げてみたバスタードソードよりやや軽い。



 さっそくその刀身を拝もうと、鞘から抜こうとしてみた。抜けない。筋力が足りないのか? 全力で抜こうとしてみるのだが、ビクともしない。



「不良品ですやん」
「ちがうッ」



「錆びてるんとちゃいます?」
「錆びてないッ」



「抜けませんって」



「エクスカリバーは真の勇気を持つ者にしか抜くことが出来ないのだ」


 
 よくある設定を持ちだしてきた。



「どういう仕掛けなんです、それ」
「魔法だ」



 便利な言葉だ。



「せやけど、セッカク勇者が取りに来たんですよ。もうここまで取りに来た勇気に免じて、抜かせてくれてもええんとちゃいます?」



「簡単に抜けたら面白くないじゃないか。こういうのは、最後の最後でようやく抜くことが出来るものだ。魔王との戦いで窮地に陥った瞬間、勇者はエクスカリバーを抜くことに成功し、魔王を圧倒するものだ」



「物語の定石かもしれませんけど」
「けど、なんだね?」



「圧倒するチカラがあるんやったら、最初から抜かせてくれたらええですやん。そんな勇者にリスク負わすようなことせんといてくださいよ」



 ねぇ――とオレはリリに同意を求めた。



「そこまで目くじら立てるような、矛盾でもないんじゃない?」



「えぇー」



「そういうことだ。ドメくん」



 ふははははっ、という先生の笑い声が渓谷に響きわたった。

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