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先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、勇者ご一行は生き返ることができるのか?

 竜のヘソと言われる渓谷に入る手前に教会はあった。



 教会の中は、ちゃんと教会らしく長椅子が並べられていた。中央には神父らしき人物がいた。先生の生首を引き渡すと、20ゴールドで生き返らせてくれた。



 人の命が、焼き鳥4本分とはずいぶんと安い。



 神父らしき人が「ベンベラボン、ベンベラボン、ナンマンダブ、アーメン」と嘘くさい呪文を唱えた。すると、先生の生首が白い光に包まれた。光が消えたときには、先生の肉体はもとに戻っていた。



「はー。生き返った、生き返った」
 先生は肩をもみほぐすようにしてそう言った。



「先生ッ」



「おぉっ。ドメくん無事に私を生き返らせてくれたようだね」



「なにを嬉しそうに言ってますん。教会で生き返れるとか無しですよ。こんなん意味わかりませんやん」



「定番であろう」
 先生はさらりと言ってのける。



「定番ですけど、人が生き返ったら世界観とかいろいろオカシクなりますやん。緊張感もありませんやん」



「心配するな。生き返れるのは異世界人である勇者のパーティだけだ」



「それでもダメですって。都合良すぎますやんか。こんな小説やったら生き返った時点で、読者は本を投げ捨てますよ」



「投げ捨てちゃうか」
 先生はしかめ面をする。



「だって不老不死ってことになりますやん。緊張感のカケラもありませんやん。だいたい20ゴールドってなんですのん。人の命を何やと思うてるんですか」



 っていうか、先生が死んで泣いていたオレがアホみたいだ。オレのショックをどこにブツければいいのか。



「わかった、わかった。ドメくんがそこまで言うなら、教会で生き返らせるというのは無しにしよう。しかし、そうなるとこれからよりいっそうの緊張感を持って、冒険に臨まなければならなくなるぞ」



「オレは最初から、緊張感持ってますッ!」



 生き返るなんて知らなかったのだ。っていうか、生き返れるなら、生き返れるって教えてくれていても良かったじゃないかと思う。



 この人は大切なことを教えるのが、いつも遅い。オレが困るのを見て、楽しんでるんじゃないかとも思えてくる。



「では気を取り直して、もう一度、イザ竜のヘソへ参ろうではないか」



 ははははっ、と先生は上機嫌だ。
 なんかもう、そろそろ現実に戻りたくなってきた。



 教会を出て、左右を断崖にはまされた通路を行くことになった。まさかテイク2を行うことになるとは思ってもいなかった。世界がひとつマトモになったからか、リリさんは嬉しそうだ。



「ところで先生。さっき言ってたことなんですけど」



「うん?」
「いや、フラグを立てるとかなんとか……」



「うん? よく聞こえないのだが」
「いえ、ヤッパリなんでもないです」



 年下が好きだから結婚しようとか言っていた。あれは本気じゃなかったんやろうか。死ぬ前の演出ってことなんやろう。



 あんまり本気で受け取らないほうが良さそうだ。真に受けていた自分を思うと、恥ずかしくなってくる。



 この心情を誰にも知られていないのが救いだ。もしかして、オレのこの心理描写も文章として、先生の小説に書かれていることになるんやろうか。誰かに読まれたら死ぬほど恥ずかしい。



「お、ドメくん。見たまえ。また、ヤツらがやって来たぞ」



 スケルトンだ。



 さっきと同じようにガケの上から跳び下りてきた。もう2回目だから、さすがに驚かない。



 見た目はオドロオドロシイ。その骨の手には剣も持っている。だが、このスケルトンは案外聞き分けが良いのだ。



 殺してしまってもええんやろか?



 リリさんに目配せすると、ビシッと親指を立ててきた。殺れってことだろう。彼らはこの物語をまっとうなものにすることに命をかけているらしい。変に気づかうのは勇者としてあるまじき行為だろう。



 いろいろと考えたのだが、考える必要などなかった。スケルトンは全力でオレを殺しにかかってきたのだ。応戦するのでセイイッパイだ。



 骨のくせにやたら筋力も強い。オレの胴の剣と、スケルトンの剣が何度かむすびあった。スケルトンのほうがやや優勢だった。オレは剣術なんて知らない。むしろ、今までよくやって来られたと思う。



「ガンバレー。負けるな。それ、そこだッ」
 と、先生は完全に応援役に回っている。



「せ、先生ッ」
「何だね。ドメくん」
「先生も戦ってくださいよ」



 いちおう先生は勇者のパーティなのだ。今まで全部オレに丸投げしてきたが、考えてみれば先生も戦ってくれればいいのだ。



 魔法使いというスタンスであるなら、魔法の1つや2つは使えるだろう。微力でも、チョット援護してもらえるだけで、だいぶ違うはずだ。



「よし。仕方あるまい」
 先生は手の平を突き出した。



 炎ぐらいは出せるだろうと思っていたら、業火が発生した。あまりの火力にスケルトンはたちまち炭と化して、あやうくオレも巻き込まれるところだった。



「熱っ、熱っ」



 オレは皮の鎧を着ていたのだが、鎧の襟が焦げていた。地面の土をこすりつけて、何とか消しておいた。


 
「大丈夫かね。ドメくん」



「大丈夫かね――やありませんってッ。今の炎はどこから出したんですか」



「どこからって、魔法じゃないか」
「なんでそんな強力な魔法を使えますん」



「私は優秀な魔法使いだからな」
「えぇー」



 それやったら勇者やなくて、先生が魔王を倒したらよろしいですやん。



 なんで、ここの世界の人は何でも勇者にやらせようとするのか。



「この物語ではいちおう、先生はオレの義姉っていう設定で描いたんでしょ?」



 たしか転移してきた当初、そんなことを言っていた気がする。



 いや、もう義姉って時点で、色々とオカシイのだげど。



「うむ。その通りだ」



「それやったらオレと同じタイミングで異世界転移してるんですよね。先生だけ優秀な魔法使いとか意味わかりませんやん」



 先生だけ強くて、オレだけ弱いなんて理不尽だ。そう思って理詰めで、不服を申し立ててみたのだが、



「なら、私には素養があったということにしておこう」
 と、いうことで済まされてしまった。



「素養があったって言うなら、理屈としては通ってるんじゃない?」
 と、リリさんも納得していた。



 今回はオレの負けのようだ。オレの理屈が通らないことがよほどうれしかったらしい。先生はオレの頭を強引に撫でまわしてきた。



「なんでもかんでも、屁理屈を言うもんじゃないよ。ドメくん」



「屁理屈とちゃいますやん。オレ、けっこう的を射たこと言ってきましたやん」



「ん? 何か文句でも?」
 先生の手が頭から、頬におりてきた。



「なんでもありません」



「よしよし。じゃあ、伝説の剣エクスカリバーを取りに行こうではないか」

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