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先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、勇者は伝説の剣を取りに行くのか?

 翌朝。オレは先生に揺り起こされた。


 
「ドメくん。ドメくん」
「なんですの」
「おめでとうッ」
「え? 何がですの?」



「君もようやく童貞を卒業したのだな。君はてっきりオクテなタイプだと思っていたのだが、意外にもやるときはやるではないか」



「え? え?」



 寝起きでイキナリ童貞とか言われて、完全に目が覚めた。



「しかも、こんなカワイイ娘を手籠めにするとは、ドメくんもなかなかやるではないか」



 オレのベッドで、リリさんが眠っていた。それを見つけた先生は、どうやら勘違いを起こしたらしい。



「いや、ちゃいますねんって。これには理由が」
「童貞卒業、おめでとーッ。童貞卒業おめでとーッ。今夜は赤飯だなァ」



 顔が熱くなってくる。
 我慢できなくなって、オレは先生の口を強引にふさいだ。



「そんな童貞童貞って連呼せんといてくださいよ。恥ずかしいやないですかッ。だいたい童貞卒業したから赤飯なんて聞いたことありませんって。赤飯は初潮ですやん」



 勝手に童貞とか決めつけないで欲しい。まぁ、そういった経験は皆無なのだけれども。



「なに? 卒業していないのか」
「してませんって」



「まだ若いのに、ナニが勃たなかったということか……」



 先生は慰めるようにオレの背中を撫でてきた。



 ホンマにこの人は忌憚きたんのない発言をする。聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。



「だから、ちゃうって言うてますやんかッ」



 チャンスはあったのだ。けれど、迷ったあげくに手を出せなかった。リリさんの素性に関しては、オレの口から適当なことを言うよりも、ご本人に説明してもらったほうが良さそうだ。



「あのー」
 オレは、リリさんのことを揺り起こした。



 リリさんは紺色のブリオーを着ていた。大き目のブリオーのようで、丸みを帯びた肩が露出していた。直接肌に触れるのは遠慮があったので、二の腕をつかんで揺すった。



「あ。昨晩はどうも、おはよう」
 と、リリさんは上体を起こした。



 こうして朝日が差し込む中であらためて見てみると、顔立ちが異様に整っていることがわかる。フィクションの人間だからだろうか。近くにいるだけで胸がドキドキしてくる。



「先生起きたから、リリさんがなんで来たのか、説明してくれへんかな。ウソでもなんでもええからさ。なんか変な誤解されてるみたいやから」



 どういう誤解をされているかは、説明しないでおいた。



「りょーかい」
 リリさんはかくかくしかじかで……と事情を説明していた。



「なるほど。魔王が遣わせた監視役というわけか。ならば私にはホントウに世界を変える能力があるというわけだな」



「らしいですね」



「で、ヤってもいいと言われたのに、ドメくんは手を出さなかった――と」



 先生が揶揄からかうように言った。



「ぐはっ」
 どうやらリリさんは、余計なことまで先生に教えたようだ。



「やっぱりドメくんは若いのに、ナニが機能しておらんようだな」



「あんまり言わんといてください」
 これは当分、先生にからかわれそうだ。



 オレたちはチェックアウトまで、部屋でゴロゴロと時間を潰すことにした。昨晩、ナニをナニに突っ込んでもいいと言っていた発言をどう思っているのか。手を出さなかったことをどう思っているのか。リリさんと目を合わせるのが気まずかった。



「インポ勇者よ」
「先生。酷いですよ」



 わりと本気で傷つく。冗談として受け取れない。



「あははははッ。いや、悪い悪い。ついつい楽しくてね。こっちに来たまえ」



「はい」



 オレは先生と並んでベッドに腰かけた。先生はなかば強引にオレの頭を抱き寄せてきた。オレの頭が先生のフトモモに乗せられた。耳の何かがさしこまれる感触があった。どうやら耳かきをしてくれているらしい。



 耳かきぐらいの道具はこの世界にも存在しているようだ。仮に存在していなかったとしても、先生なら生み出せるんだろうけど。



「どういう風の吹き回しですか?」
「なに、からかいすぎたお詫びだよ」



 照れ臭いが、悪い気はしない。むしろ、かなりいい。



 先生のカラダから、ジンチョウゲのいい匂いが香ってきた。リリさんはもっと甘酸っぱい香りがしてる。



「ところで、ドメくん。これからどうするつもりかね」



「どうって、別に何の考えもないですけど」



 申し訳ないが、オレは魔王を討伐する気なんてサラサラない。いくら装備を整えてもドラゴンに勝てる気なんてしない。この異世界生活が終わってしまうのも厭だ。どうせならダラダラとこのまま過ごしていたい。



「ならば、伝説の剣を取りに行こうではないか」
 と、先生は意気揚々と答えた。



「伝説の剣?」



「そうだ。魔王討伐に必要な剣。エクスカリバーだ」



 それはオレも興味がある。この世界で生きていくにしても、強い武器は欲しい。伝説の剣という響きほど、男子を震わせるものはない。



「でも、ええんですか?」
「何がだね。ドメくん」



「だってオレ、まだ銅の剣と銅の盾ですよ。まだ物語の序盤ぐらいやないですか? 伝説の剣って言うたら、物語の終盤に手に入れるものとちゃいますの?」



「メンドウくさくなったから、もう取りに行く筋書きにしてある」



「えぇー」
 そんな適当でええんですかねぇ。



「いちいち他の都市に行って新しい武器なんか手に入れても、同じ事の繰り返しであろうが。読んでいてつまらんじゃないか。だったらさっさと伝説の剣を取りに行けばよろしい」



「まぁ、たしかに」
 珍しく先生がマトモなことを言っている。



 オレの耳から、耳かきが抜き取られた。ふーっと耳に息を吹きかけてきてくれる。背筋がゾクッとする。なんだか今日の先生からは妙な優しさを感じる。ふたたび耳かきがさしこまれる。



「伝説の剣は竜のヘソと言われる渓谷の底にある。チェックアウトしたらすぐに向かおうではないか」



「オレ、思うんですけど」
「なんだね」



「わざわざ勇者たちだけで、エクスカリバーを取りに行く必要はないないんとちゃいます?」



「どういう意味だ?」



「都市には軍隊もありますやん。魔王を倒してくれないにしても、エクスカリバーを取りに行く手助けぐらいは、してくれてもええんとちゃうかなと思うんですけど」



 ホンマRPGに出てくる軍隊ほど役に立たないものはない。



 むしろ勇者に魔王を倒して欲しいと本気で思ってるなら、最初の王様は軍力を持ってしてその伝説の剣とやらは確保しておくべきだろう。



「じゃあこうしよう。これまであらゆる軍隊が、エクスカリバーを取りに行こうと努力しているのだが、誰も手に入れることが出来ないのだ。なぜならその渓谷は、真の勇者でなければ通れない道だから」



「なんなんですか、真の勇者って。勇者しか通れへん道って、どういう仕組みなんですか?」



「じゃあ、異世界人とモンスター以外が吸ったら死ぬ鉱山ガスでも噴出していることにすれば良いのであろう」



 先生は投げやりな調子で言った。



「まぁ、それならいちおう筋は通ってるような気はしますけど」



 でも、オレが真の勇者ってのも、違和感がある。こんなに魔王討伐に消極的な勇者が他におるやろうかと我ながら呆れる思いだ。



「そうと決まればサッソク出発しようではないか」



 先生は勢いよくオレの背中を叩いてきた。

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