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先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、銃がないのに甲冑があるのか?

 宿は最初の都市で宿泊したものよりか、少し大きめのものになっていた。が、構造そのものには差はない。



 木造の2階建てだった。日本のホテルとかだと、やたらとシャレていて緊張する。だけど、異世界の宿屋は使われてる家具はすべて木材だし、田舎臭くて入りやすい。カウンターテーブルも丸太を両断したようなものだ。



 まだ2つ目の宿だ。1つ目の宿代が5ゴールドだった。先生のゲーム理論でいくと、どうせ10ゴールドから20ゴールドぐらいで泊まれるだろうと思った。



 しかし、だ。



「300ゴールドになります」
 と、宿主は平然とした顔でそう言った。



「さ、さんびゃく!」
「はい。300ゴールドになります」



「いや、冗談キツイですって。いくらなんでも300はないでしょう」



 ダンジョンやら何やらを通過してきたおかげで、スライムからお金を奪い取ってきた。それでも100ゴールドにも満たない。



「びた一文ともまかりません。300ゴールドです」



 と、やさ男っぽい青年の店員はニコニコしながらそう言ってきた。



「ま、また後で来ます」
 と、言い残して、ひとまずその場を辞した。



 宿から出る。先生のことを裏路地に連れ込んだ。木造の壁にはさまれた細い通路で、ひと気はなかった。



「先生。どないなってるんですか」
「何が?」



「何がって、最初の都市は5ゴールドで宿泊できましたやんッ。なんでイキナリ300ゴールドなんですか。295ゴールドも値上がりしてますやんッ!」



「それはドメくんが、都市ごとに宿の値段が違うなんて変だって言ったからじゃないか。だったら一律のほうが良いかと思ったのだ」



 そうか。
 スライムが飼育されるようになったのと同じ原理だ。先生が納得してしまったから、宿の値段も変化してしまったのだろう。



「たしかに一律のほうが理にかなってるとは思いますけど、そんな急に値段高騰したら困りますって」



 オレたちも泊まれない。



「ならば、稼ぐしかあるまい」
「いや、戻してくださいよ」



「そんなこと言われても、私もどうやって変更したのか、よくわからないのだ。それに一律のほうが筋が通っていて良いではないか」



 ダメだ。



 1度、納得させてしまったら、もうその状態になってしまうらしい。余計なことを言わなけりゃ良かった。



「えぇー。オレもうモンスター倒すなんて厭ですよ。どうせ、都市を移動したから、スライムより強いモンスターが出現するんでしょう」



「ほぉ。よくわかったな。この辺りでよく出てくるのはゴブリンだ」



 スライムはまだ良かった。単細胞物っぽいし、言ってしまえばゾウリムシが大きくなったような感じだ。



 ゴブリンとなったら別だ。イキナリ哺乳類に進化した。ゴブリンは哺乳類で合ってるよな? しかも知能だってあるだろう。率直に言ってしまえば、勝てる自信がない。



「やれやれ、これだから最近の若者は。みずからを鍛えて戦おうという意思はないのか」



「鍛える言うたかって、1日2日で強くなれるわけやないでしょ」



 オレのことを若いと言うが、先生だって若い。



「今、何ゴールドたまっているのだ?」
「89ゴールドです」



「武具屋に行けば、剣と防具を買えるぐらいの値段になる。装備を整えれば、モンスターも怖くなかろう」



「あ、たしかに」
 それは一理ある。



 武具屋に来た。



 他の建物とは違って、いかめしい石造りの建物だった。中に入るとスキンヘッドの大柄な人物が、「らっしゃいッ」と声を張り上げた。いかにもって感じだ。



 剣やら槍。あとモーニングスターとか、フレイルなんかが壁にかけられていた。



「おぉー」
 感嘆の吐息が漏れた。



 強そうだ。
 ただ……。


「先生?」
「なんだね。ドメくん」
「甲冑が置いてますけど」



 いかにも重厚な甲冑が、武具屋の中央で鎮座ましましておられる。



「別に変ではなかろう。まさに異世界の騎士って感じではないか」



 たしか地球で、プレートメイルとか、プレートアーマーが登場したのは、銃に対抗するためだ。銃のないこの世界には不必要ではないかな――と思った。こういった類いの鎧は、30キロ前後はするものだから、滅多に着るようなものではない。



 まぁ、モンスターがいるみたいやし、こういう類いの防具があっても変ではないかと納得しておいた。あんまり突っ込むと、先生に頬をつねられそうだ。



 ためしにバスタードソードを手に取ってみた。かなり重たいけれど、振れないことはない。水の入った2リットルのペットボトルよりも少し重たい程度だ。これがあれば、ゴブリンとも戦えそうな気がしてくる。値段を見てみる。1200ゴールド。



「高けェーッ」
 思わず叫んでしまった。



 スキンヘッドのクマみたいな店員がギロリと睨んでくる。しかも、怖ろしいことに、その店員は片目に傷が入ってる。山本勘助みたいな顔だ。迫力がある。



 オレはあわてて顔を伏せた。あんまり余計なことは言わないほうが良さそうだ。ところが、先生が黙っちゃいなかった。



「高いなー。1200ゴールドだって。こんなナマクラが1200ゴールドだって。笑ってしまうではないか」



「せ、先生っ」



 あわてて先生の袖を引いた。
 店員の顔が真っ赤になってる。



 これ以上怒らせたら、ヤバそうだ。スライムなんかよりも何倍も強そうな外見をしている。お前が魔王を倒して来いよって感じの風貌だ。



「ははははッ。見たまえ、ドメくん。こっちの槍なんかただの木の棒じゃないか。これで100ゴールドだって。ぼったくりだなッ。しかもこっちは木の帽子だ。木製の帽子ってどうなんだ?」



「しーっ。静かにしてくださいって。あの店員、めっちゃ怒ってますねんって」



 っていうか、この店の商品だって先生が設定したんやろうに。



「なに。あのハゲアタマか?」
 それがトドメになったようだ。



 スキンヘッド店員は石造りのカウンターテーブルを叩きつけていた。



「そこの客ッ」
「は、はいッ」



 スキンヘッド店員がカウンターテーブルを乗り越えて迫ってきた。近づいてきたら、さらに大きく見える。3メートルぐらいあるんじゃないだろうか。もはや巨人のレベルだ。



「さっきから好き勝手言いやがって。うちの店に文句でもあるンかッ」



「いえ」



 店員にコンコンと説教された。なぜか先生だけは許されて、オレが叱られるハメになった。



 先生、美人やもんな。外見が美しいってのは得だ。



 武具を買うことを許された。木の盾と皮の鎧と銅の剣を買った。銅だとチョット頼りないが、切れ味が良ければ鉄だろうが、銅だろうが、なんでも構わない。ようやくヒノキの棒から卒業できる。

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