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先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、ダンジョンにアイテムが落ちているのか?

 ダンジョン。崖の道を少し引き返した場所。洞窟があった。そこがモンスターの巣となってるらしい。



「安心したまえ。スライムの巣だから」
 とのことだ。



 じゃあおもにスライムしか出ないんだろう。あれぐらいならオレでも倒せる。



「でも、暗いですね」



 洞窟の中は大きな空間になっていた。地面と天井をつなぐ岩の柱がたくさんあった。入口付近は太陽光が入ってきている。奥に行けば、何も見えなくなりそうだ。



「案ずることはない。入口を見たまえ」
 先生が洞窟に少し入った場所を指差した。



 そこには古びた木箱が置かれていた。フタがついている。いかにも宝箱然としている。オレは慎重に洞窟に足を踏み入れた。どうやらこのあたりには、まだスライムもいないようだ。木箱を開けてみる。中からカンテラとロウソクが出てきた。火打金も入っている。



「うわぁ。これは便利ですねー。って、都合良すぎますやんッ! なんでカンテラなんか置いてるんですか。誰が何のために置いたんですか、これッ!」



「私が、主人公のために用意したのだ」



 子供が親にホめてもらうのを待ってるかのような表情で、先生は言う。



「そんなこと聞いてませんって。ダンジョンに入ろうとしたら、カンテラがあるなんて、どう考えても変でしょッ」



「定番じゃないか。某国民的ゲームだって、必ずダンジョンには、アイテムが配置されているではないか!」



 それは、あれか。
 緑の服を着た主人公のヤツだ。



 たしかにあのゲームは、そのダンジョンに必要なアイテムが、ダンジョン内にあつらえたように設置されている。



 先生は得意気な顔をして言葉を続ける。



「ダンジョンにアイテムがなかったら面白くないだろう」



「いや、それにしてもですよ。ダンジョンにアイテムが落ちてる理由とかいるんやないですか。これ小説なんでしょう。いきなりアイテムとか落ちてたら、読者が変に思うやないですか」



「たしかに、そうか。じゃあモンスターがアイテムを作ってることにしよう。それを宝箱に入れて保管していたが、勇者が奪っているのだ」



「えぇー」



 それだったら完全に勇者が悪者だ。人の家は荒らす。モンスターの道具は強奪していく。そして、動物愛護団体失神レベルでモンスターのことを蹂躙していくのだ。



 勇者って、あんまり良いヤツとちゃうなぁーー。



 先生はふくれっ面をした。
 オレの手元からカンテラを奪い取る。



「そんなに文句を言うなら、カンテラ無しで進むが良い。ドメくんがどうなっても、知らんからな」



 子供みたいなことを言う。
 カンテラ無しでこの洞窟を進むなんてムリだ。



「文句なんかありません。いやー、こんなところに偶然カンテラがあるなんて、助かりました。ご都合主義ばんざいですねぇ」



「そうであろう。私に感謝したまえ」
 たちまち機嫌の良さそうな顔をする。



 チョロイ。



 ダンジョンを進んで、スライムたちを突きまわした。ヒノキの棒じゃ斬れない。叩くのもスライムに効果があると思えない。だから、突くという表現が正しいのだと思う。



 なかにはゴールドを持ってないヤツもいたけど、たいていは落としてくれた。モンスターがお金を持ってるなんてゲームでは常識だけど、ヤッパリ違和感がある。



 ダンジョンの最奥には巨大なスライムがいた。俗に言う、ボス、だ。



「でかいですね」



 半径1メートルほどの青い粘液のカタマリだった。下手すればオレも呑み込まれるかもしれない。



「あれを倒せば、土砂を何とかするアイテムが手に入る」



「ヒノキの棒で倒せるんですかね」



 ヒノキの棒は30センチ程度の長さしかない。攻撃するには接近しなければいけない。だが、あれに接近するのは勇気が必要だった。



「たかがスライムだ。なんとかなるだろう」
「じゃあ、ちょっとやってみます」



 木の枝の先端を、スライムに押し付けてみる。プスッと刺さった。けれど、効いている様子はない。



 オレは今までスライムを倒してきたおかげで、スライムにたいする知識が出来ていた。これが経験値というのだろう。



 スライムは内側に核のようなものがある。核を傷つけることが出来れば、スライムは溶けてゆく。



 しかし。



 このボススライムは別格だ。木の枝が核まで届かない。そうこうしていると、オレの腕がスライムに取りこまれてしまった。ものすごい吸着力だ。ぜんぜん抜けない。



「先生ッ。助けてください!」
「あわてるでない」
「でも、吸われてるんですってばッ!」



 右手は完全に持っていかれて肩まで吸われていた。ヒンヤリとして感触は悪くない。けれど、なんかピリピリとした刺激がある。……もしかして、消化されてるんちゃうか?



「良いか。戦うときこそ冷静さが必要なのだ」
「こんなときに変な説法はいりませんからッ」



 もう下半身も完全に呑み込まれていた。これはガチでヤバい。先生がつくったこんなフザケタ世界でオレは死ぬんやろうか。



「まずは一服。お茶でも飲もうではないか」



「何を言うてますんッ。この状況を見てくださいよッ。オレ、食われてますやん。お茶とか言うてる場合やないって、わかるでしょうがッ」



 先生はあきれたような顔を向けてくる。
 なんで、そんな顔をされなくちゃいけないのか。



「頭を働かせたまえ。そのダンジョンにいるモンスターの弱点は、そのダンジョンで手に入れたアイテムと決まっているであろう」



「あ、そうか」
 カンテラだ。



 まだ食われていないカンテラを、スライムに叩きつけた。炎が当たった部分からスライムは溶けていった。なんとかオレはスライムから脱することが出来た。スライムのカラダのイチバン固い部分。核が露出する。



「えいっ」
 と、核を突いた。
 ヒノキの棒の先端が核に突き刺さる。



 スライムはたちまち溶けていった。大量の水が、オレの学生服を濡らした。しかもちょっと滑りを帯びている。不快だ。



「やりましたよ、先生」
「うむ。さすがは勇者だ」



 先生は小さく拍手した。



「せやけど、自分の弱点のアイテムを、ダンジョンに置いておくってのは、どうなんですかね」



「お約束だ」
「まぁ、そうなんでしょうけど……」



 この小説。ホンマに大丈夫やろか。

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