旦那様と執事な神様

きりんのつばさ

旦那様と執事な奥さん


遂に今回で最終話です!!

どうか最後までお付き合い下さい!!





〈??視点〉
兼続と月詠が婚約した事によって観客から質問責めに
あっている頃パーティ会場から遠く離れた場所では……
「兼続……!! あいつは私によくもあんな恥を
しかも大人数の前で……!!」
「麗華様!! 大丈夫ですよ!! まだ完全に負けた訳では
ありませんわ!!」
「そうです!! まだあの月詠という女を排除する方法は
いくらでもあります!!」
「そうね……!! 誘拐でもしようかしらね……!!
兼続、私に恥をかかせた事を後悔させてあげるから
待ってなさいよ……」
なんて麗華とその取り巻きが復讐の方法を考えいたところ
「ーーおいおい白河、ダセェな」
「誰!!」
と麗華が叫ぶと物陰から1人の男性が出てきた。
「俺だよ俺、三条春翔。
お前は幼稚園からの付き合いの顔を忘れたのか?」
「あんたは三条……!! なんであんたがここに!!」
「いや〜負けた無様な顔を見に来たら
本当に惨めになってんなぁと思っていたところだ」
「あんた……本当に三条なの?
いつもと雰囲気違うわよ……?」
「あぁこれか? まぁいつもはあっちの能天気な性格を
〜こっちが本当の俺だ」
「演じているって……あんた一体何者よ!!」
「なぁ白河、政治家に一番必要な要素って
なんだと思う?」
「そんなの知らないわよ!!」
「なら教えてやろうか。それはな……
ーーいかに自分の素を隠していけるかだ
例えそれが無二の親友であってもな」
「じゃああんた兼続にも隠しているの!?」
「まぁな。あいつには知られたくないっていう
事もあるからな……とりあえず麗華とその他。
お前らは色々とやりすぎた」
「な、何を言っているの三条……?」
「お前が一向に何をしようと俺は黙っているつもり
だったのだがな。
ーーお前は挑む相手を間違えたんだよ白河。
しかも自分の実力を分かっていないという無能の極み。
全く呆れるな……白河家もその程度か」
「何が言いたいの!!」
「じゃあ簡単に言ってやろう。
ーーお前はもう終わりだ白河。
いや白河家もおしまいだな」
「あ、あんたに何が出来るのよ!!」
「なぁ知っているか?
ーー俺ってこれでも裏工作得意なんだよ。まぁそしてな」
と一度言葉を区切ると
「ゲームオーバーとでも言ってやろう白河。
お前に明日は来ない」
「や、やめて……い、いやぁぁぁーー!!」






〈兼続視点〉
「つ、疲れた……」
と言うと俺はソファーに倒れた。
「お疲れ様です旦那様……しかし今日の一件は
前から考えられていたのですか……」
「うん……そうだよ……」
ソファーに倒れながらそう言う俺。
「とりあえず麗華は恥をかくのを嫌うから
大人数の前でプロポーズすれば麗華は黙るし
世間的にも認められるだろうと思ってね」
「でしたら私に一言事前に言ってくださっても
いいじゃないですか……」
「だって月詠さんって嘘隠すの苦手でしょ」
「ぎくっ……」
「だから今回は秘密にしたんだ。あぁ勿論春翔には
事前に言っておいた」
「春翔様には伝えたのですか……伝えたんですか……
私には秘密にしていたのに……酷い方ですね……」
どうやら秘密にしていたのが余程嫌だったのか
可愛らしくへそを曲げている我がかのーーいや嫁。
「ゴメンって、機嫌直してよ」
「知りません、執事兼彼女である私に隠し事をする
旦那様なんて知りませんよ」
「月詠さん、“彼女”じゃなくて“嫁”か“妻”でしょ」
「その計画が考えられた頃はまだ彼女でした。
私は何も間違っていません、えぇ何も」
「こりゃ完全にへそ曲げたな……」
こうなると月詠さんは自分の意見を中々曲げない。
さてどうしたものかと考えていると……
「も、もう一度ぷ、プロポーズしてくださるなら
許して差し上げます」
「へっ……?」
「私の前でもう一度プロポーズしてくれたら
私は機嫌を直そうと思います」
「どんな提案だよ……」
「しないんですか? しないんですか?
だったらしばらくこのテンションで私はいま」
「分かった、分かった!! するから……」
へそが曲がった状態でお世話をやられたら何をされるか
分かったもんじゃないので俺が折れた。
「じゃあいくな?」
「え、ええどうぞ」
と俺はさっきパーティでプロポーズした時と同じように
月詠さんと向き合う様に立った。
というか同じ様な事をもう一度言うって結構恥ずかしいと
俺は思うんだけどね?
……まぁ月詠さんがやって欲しいと言うなら
やってあげようか。
「橘月詠さん」
「はい」
「俺は貴方に沢山助けてもらいました。

ーー両親が死んだ際にも

ーー親父の会社の社長に就任した時も

ーーそして普段の生活でも

数えられないぐらい沢山支えてもらいました。
その中で俺は貴方にこの恩をどの様にしたら返して
いけるのだろうかと考えてみました」
その言葉を言いながら改めてこれまでを振り返る。


最初は親父が雇った執事であり
ただの主従の関係だったのがお互い恋愛感情を抱く様に
なって気がついたら恋人の関係になり
そして今度新たに夫婦の関係になる。
ある意味、普通のカップルが通る様な一般的な関係では
ないのかもしれない。
だけどそれでいいのだと思う。



「その結果、それは俺のこれからの人生を全て使って
貴方を幸せにする事だと思いました」
「……」
「なので橘月詠さん。
俺と結婚してください。もしかしたらこれからの人生で
喧嘩をする事はあるかもしれません。
ですが貴方を絶対不幸にはさせない。
だから俺の奥さんになってもらえませんか?」
「はい。
こんな私で良ければ」
と優しい笑顔を浮かべながらそう返事をくれた。
「……これでいいかな。」
「はい、充分でございます。
そして私からも申し上げたい事があるのですが……」
「ん? 何かあるの?」
「えぇございます。
申し上げてもいいでしょうか?」
「う、うんいいけど……」
一体何を言われるのだろうかと身構えていると
「御堂兼続様。
私は貴方様をお慕い申し上げています。

私は貴方の真っ直ぐな性格が好きです。

私は貴方の私に向けてくれる笑顔が好きです。

私は貴方の私の名前を呼んで下さる声が好きです

私は貴方の私の頭を撫でて下さる大きな手が好きです」
「……」
あれ……?
これひょっとして今月詠さんからの逆プロポーズ中?
なると結構恥ずかしいなこれ!?
自分でも顔を真っ赤になるのが分かる。
「私が“元”神であると話した時も貴方様は今までと
変わらずに接して下さりましたね。
それがどれだけ私が嬉しかったか。
そして今回の私に対しての誹謗中傷に対して私以上に
怒ってくれて私がもう泣かない様に色々と考えて下さり
本当にありがとうございます」
「……」
「なのでこれから私は貴方様からもらったご恩を
私の残りの人生全てをかけて返していこうと思います。
ーーどうか私を御堂兼続様、貴方様の生涯の伴侶に
していただいてもよろしいでしょうか?」
「うん、こんな俺の奥さんでよければ喜んで」
「旦那様!!」
と月詠さんは俺に抱き着いてきた。
「おっとと……」
「大好きです!! これからも末永くよろしく
お願い致しますね!!」
「俺もこれからよろしく」
しばらくの間俺達は抱き合っていた。




そして次の日
「ふぁぁぁ……もう朝か……」
いつもの時間に起きた俺。
窓から差し込む朝日が眩しいのだが、今日はそれすら
良い気分であった。
理由は簡単だ。
「遂に月詠さんと夫婦だ!!
いやーー新婚だな!! まだ何もしてないのに
朝からテンション高いーー!!」
自分でも何で朝からこんなにハイテンションなのか
分からないが、昨日月詠さんと結婚出来たのが
その要因だと思う。
「早く来ないかな? 早く顔を見たいな……」
だがいくら待っても月詠さんは来なかった。
昨日の事もあり月詠さんも疲れているのだろう。
「とりあえずなんか簡単に作ろうかな……」
日頃家事を月詠さんに任せっきりなのだが一応
ひと通りの事は俺も出来るのである。
「まぁたまには月詠さんにご飯を作ってあげるのも
いいかもしれないな」
なんて思いながら俺はリビングに向かうのであった。


勝手に誰もいないだろうと挨拶もせずにリビングに
入ったのだがそこには先に月詠さんがいた。
「あっ、月詠さん。おはーー
えっ……?」
俺は空いた口が塞がらなかった。
「はぁ〜〜〜〜旦那様〜〜旦那様〜〜!!」
そこには俺が昨日あげたエンゲージリングに随分
蕩けた笑顔で頬ずりしている俺の月詠さんがいた。
「あ、あれ……」
どうやら俺に気づいていない様だ。
滅多に見れない光景なのでしばらく観察する事にした。
「今日から橘月詠ではなく、"御堂"月詠です。
御堂月詠、御堂月詠、御堂月詠……
あぁ……何て良い響きなんでしょうか!!」
そんなもんなんだろうか?
まぁ俺の場合は調子が変わらないからだろうけど。
「いや今日は結婚初日……なると旦那様には特別な
メニューを振舞わなくていけませんね!!」
わぉそれは楽しみ。
「結婚したという事は呼び方も変えた方がよろしいの
でしょうか……? でも旦那様は旦那様ですし……
兼続様……? いえこれは何か違いますね。
何なら今までも呼べたはずですから。
こ、ここは思い切って……あ、あなた……
うん、これに致しましょう!!」
意外とあっさり決まった。
「なると今のうちに練習致しましょう。
あ、あなた……あ、あなた……あなた
あなた、あなた、ア・ナ・タ……
よし、慣れました!!」
今ので慣れるもんだろうか。
月詠さんの性格上、恥ずかしくなって無理な気が
するのは俺だけだろうか。
「では、旦那様を起こしに行きましょう!!
た、たまには目覚めのき、キスもいいかもしれません。
さぁしゅっぱーー」
と入り口の方に月詠さんが向き直った瞬間
俺ととても綺麗に目が合った。
「お、おはよう月詠さん……」
何にも悪い事をしたつもりは無いの何故か無性に
申し訳なくなる。
「だ、だ、だ、旦那様!?
い、い、い、いつからそこに!?」
俺の姿を見た瞬間、顔を真っ赤にして
慌て始める月詠さん。
「月詠さんが指輪に頬ずりをしていた頃かな……」
「ほぼ最初じゃないですかぁぁーー!!
いたのなら声をかけてくださいよぉーー!!」
「い、いやね? 一応声は出したんだよ?」
「聞こえなきゃ声をかけたとは言わないんですよ!?
もぉ嫌だぁぁーー!!」
とその場に崩れこむ月詠さん。
「ま、まぁでも微笑ましいと思うよ?
ほ、ほら呼び方を練習している時なんて……」
「それも聞かれていたのですか!?
うわぁぁぁぁーーん!!」
ピューン
まさにその効果音がぴったり合う様にリビングから
走り去っていく月詠さん。
「ち、ちょっとどこにいくの!?」
「死んできます!!」
「何で!?」
「恥ずかしさで死にたいからですよーー!!」
「いやいや結婚初日に綺麗な奥さんに
死なれたら俺は悲しいって!!」
「お、お、奥さん!?
ふ、ふ、ふにゃーー!!」
と更に顔を赤くしてよく分からない叫び声を上げる。
「威嚇か
ーーってまた走り出した!?
だから待っててーーせめて話し合いをしようよーー!!」
「今、旦那様のお顔を見たら死んでしまいます!!
なので山奥で切腹してきますーー!!」
「君には死ぬしか選択肢が無いのか!?
だから走るのやめてーー!!」


昨日までの甘い雰囲気はどこに行ったのやら
朝から騒がしく追いかけっこをする俺達。
俺としては甘い展開を期待していたのだが
ある意味、こんな展開も楽しんでいる俺がいる。
だって……
「ハハッ……速いな、やっぱり」
こんな状況であっても俺は笑っているのだから。
なんとまぁこれだと主従のどっちがどっちなのか
分からないのだが、でもこれも惚れた弱みというの
だろうか何か許してしまう。

ーー主従の関係でもあり

ーー夫婦の関係でもあり

他の普通の夫婦とはかなり異なった関係な俺達だけど
夫婦のあり方は決して1つでは無い。
だったらこんな俺達みたいな関係もありなのだろう。


そしてこの状況で1つ絶対言える事がある。

それは……

今の俺はとても幸せだという事だ。
両親が死んだあの日からは想像出来ないぐらい
今の俺は幸せだ。
そうして今俺が幸せなのは月詠さんのおかげである。

なら俺はそんな幸せをくれた彼女にこれから返して
いかなければならない。
そのためにはまずは……
「追いついて抱きしめようか!!
よし!! もうひと頑張りしますか!!」

と俺は再び走り出すのであった。




今回の話はどうだったでしょうか?
楽しんでいただけたなら幸いです。

夏に思いつきで書き始めた短編を
これまた思いつきで連載にしました。
そして今回、何とか完結しました。

今、新作の案を絶賛考えている最中です
のでもうしばらくお待ちください・・・
でも、もしかしたら新連載の前に
短編をいくつかあげるかもしれません。


最後にここまでこの作品を応援して
下さった皆様に最大限の感謝を
申し上げたいと思います!!
本当にありがとうございました!!




コメント

  • ノベルバユーザー239382

    とても面白かったです!!!これからもこういうの待ってます!部活の後輩も楽しみにしてますー(ง •̀_•́)งがんばれ

    1
  • Qual

    お疲れ様でした。すごくおもしろかったです(*^ ^*)次回作期待してます!
    もちろん部活の後輩も楽しみにしてますからね~(・∀・)

    1
  • あいす/Aisu

    完結おめでとうございますっ!
    (b・ω・d)イェァ♪
    あの短編の間にこんなことがあったとは…
    (´・ε・`)ムムム
    部活の後輩の方も頑張ってくださいっ!
    ٩(๑•̀ω•́๑)و ガンバッテ!!

    1
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