旦那様と執事な神様

きりんのつばさ

仕事を・・

月詠さんを貶める記事が書かれてから数日後……

「月詠さん、今日の俺の予定ってどうなっている?」
俺は後ろに立っている彼女に尋ねた。
「はい、本日のご予定は夜に春翔様主催の
パーティに参加のみとなっています
……そしてまたご参加ですか旦那様?」
と声音は変わらないがジト目で見てくる彼女。
「まぁまぁ今日が最後になるだろうからさ
大目に見てもらえると……」
「……はぁ、かしこまりました。
旦那様の言葉信じますからね?
約束を破った場合……どうなるかは察してください」
「命がけで守るとしよう」
だって月詠さんの目がマジだ。
あの目の彼女は本当に怒らせると危ない。
まぁ元々パーティ自体に興味は無かったし
そこまで嫌な気がしない。
……何よりも
出来る限り人がいる場面が良い。
「あっ、そうそう月詠さん」
「どうか致しましたか?」
「今日の夜は執事の仕事しなくていいからね」
ガシャン
月詠さんが持っていた食器を落とした。
その音に驚き、振り向くと月詠さんは表情が固まり
動きがカクカクとしていた。
「だ、だ、だ、だ、だ、旦那様……?
それはどの様な意味でしょうか……?」
「いやそのままの通り。
今日の夜は執事の仕事はしなくて良いって事」
「旦那様……それって
ーー私はもうクビって事ですか……?」
とんでもない発想をされていた。
「いやいや!? 待ってどうなったらそんな解釈に
なるのか教えてもらえるかな!?」
「だって執事としての仕事をしなくなったら
私の存在価値は皆無ですよ!!
それはもう解雇通告受けた様なものです……」
「そこまで卑屈にならなくても……」
というか夜の間だけ仕事を出来ないだけでそこまで
ショックを受けるのだろうか?
なんて思っていると月詠さんは俺に懇願する表情で
「お願いしますから執事としての仕事をさせて
ください!! お願いしますから!!」
めちゃくちゃ頼み込まれていた。
「そこで懇願するかな!?」
「だって私から執事の部分を抜いたら
メガネからレンズを無くした様なものなのです!!
つまり用無しと言う事になります……」
「いや……それ以外にあると思うけど……」
俺の彼女という要素はどこにいったのだろう。
そもそも人って1つの要素だけなんだろうか?
……って思ったら彼女、神様だった。
忘れていたが月詠さんは“元”神様である。
やっぱり神様となると普通と考えは違うのだろうか……
「朝の目覚ましから夜のお世話まで何でもしますから
どうか私に執事の仕事を……!!」
「……」
うん、やっぱり変わっているかも。




「仕事……仕事……仕事を……」
まるで生きている人を探し求めて徘徊するゾンビのごとく
うわごとを言いながら動いている我が彼女兼執事。
「月詠さん、まるでゾンビみたいになっているよ……」
「はっ、これは失礼な真似を……」
「いや、まさかそこまで月詠さんがショックを受ける
なんて思っていなかったからね……」
「はい、私にとって旦那様のお世話は仕事と同時に
生き甲斐に等しいものなのです……それが禁止されたら
私は生き甲斐がなくなるのです……仕事を……」
「月詠さん月詠さん、また戻ってきているって」
「はっ、これは失礼を……今日の夜はこのお屋敷で
私は旦那様をお待ちするのですね……」
「いや何言っているのさ、君も行くんだよ?」
「私も……?」
「うん、月詠さんも」
「ホワイ?」
「何故英語なんだろうか……」
というか最近の月詠さんは若干おかしい気がする。
「だって執事としての仕事は無いんですよ?
でしたら私は何の為に……?」
「そりゃ簡単さ。
ーー俺の彼女として参加するの」
「……」
「月詠さん?」
「……」
「お〜い」
「……はいーー!?」
「おっとと……」
「私が旦那様の彼女としてですか!?
わ、わ、わ、わ、わ、私が……だ、だ、だ、旦那様の
か、か、か、彼女として参加……!?」
「うん、そうだよ」
「わふぅ……」
とその場に倒れ込む月詠さん。
「ち、ちょっと月詠さん!?」
俺は彼女を抱え込む様に抱きかかえた。
「う、嬉しすぎて身体に力が入らなくて……
そしてお顔が近いです……」
「おいおい……」
そして顔が近いのは前に月詠さんが酔った時の方が
近かったですけどね。
「とても嬉しい提案なのですが……
私はご存知の通り燕尾服しか持っていなくて……」
「あぁ……そう言えば確かに……」
前に本人がそう言っていたのを思い出した。
「申し訳ありませんが今回は辞退させていただきーー」
「何いってんのさ。そのドレスは今から買いに行くのさ」
「は、は、はい!?
い、今からですか!?」
「そうそう」
と俺は若干渋る彼女と一緒にパーティに参加する様の
ドレスを買いに行くのであった。




そしてその日の夜
いつもは月詠さんが運転する車に乗って会場に向かう
のだが今回は運転手を雇った。
その運転手が運転する車乗って会場まで行った。
「旦那様……この服装は恥ずかしいですよ……」
「でも綺麗だよ」
「う、嬉しいのですが……いつも着慣れない服装なので
落ち着かないです……」
と月詠さんは恥ずかしそうにそう言った。
彼女が身に纏っているのは青を貴重としたドレスであり
華やかというよりも落ち着いた美しさを
メインに据えてある。
……選んだ俺は天才なのではなんて思ってしまう。
「この服装だと旦那様のお世話をする際に
ひらひらして落ち着かないですよ……」
「だから今日の夜は執事の仕事禁止だよ」
「くっ……そうでした……今日のパーティは二重の意味で
落ち着かないですね……」
多分、服装と仕事の事なんだろう。
「さぁいきましょうか」
と俺は月詠さんに手を出した。
「これは……?」
「こういう時は男性の方がエスコートするのが
一般的なんでしょ?」
「……」
「お〜い月詠さん?」
「はっ、まさか旦那様からその様なお言葉をかけて
いただけるなんて思いもせず……つい感動に
浸っていました……」
「そんなにかい……」
「はい。あの……大変申し上げに悔いのですが
もう一度していただけないでしょうか?」
と上目遣いでお願いしてくる彼女。
「俺で良ければいくらでも良いよ
ーーさぁいきましょうか」
「……ッ〜〜〜!! はい……」
と俺が差し出した手に手を伸ばして
しっかりと握ってきた。
そしてそのまま今日のパーティ会場に2人で一緒に
入っていくのであった。

そんな中俺は心の中にとある決意を秘めていた。
(さぁ、ここで全てを決める……!!
彼女の笑顔をもう曇らせる訳にはいかない!!)
それが俺を助けてくれた彼女に返せる最大の
恩返しだろう。
(この愛しの彼女の笑顔を守ろう。
さぁあとひと仕事頑張るか!!)






あと数話で完結します

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