旦那様と執事な神様

きりんのつばさ

立て直し






通称“兼続の変”から数ヶ月……
「よし!!終わり!! そして次!!」
「はっ、旦那様次はこちらとなります。
ちなみにこちらはどうされますか?」
「それは醍醐さんに回して。
多分俺がやるよりも醍醐さんがやった方が
対処がが早い」
「かしこまりました」
俺は社長室で色々な書類の確認に追われていた。
ここに来る書類は1日でとんでもな数になる。
それをしっかり1つ1つ確認して送り返したり
そのまま了承のサインを押していた。
「月詠さん、今日のスケジュールはどうなっている?」
「本日ですが……」


あの強襲後、俺は会社にいた御堂“分家”の連中を全員
追い出した。そして会社の組織改革をした。
改革をしたとはいえ俺が行ったのはありきたりな事で
窓際部署や別会社にいた元社員を
それなりのポジションにつけただけだ。
……まぁそのありきたりな事を前社長含む役員は
出来ていなかったのだからどうかと思う。
そして社長には俺、副社長には醍醐さんが就任した。
なお月詠さんは俺の専属秘書という事になっている。
……うん、なんか“専属”っていう言葉っていいな。
なんて思っていると……
「旦那様……?」
月詠さんが心配そうに聞いてきた。
「あぁ……ごめん少し気を抜いていたみたい」
「やはり日頃の疲れが溜まって
いらっしゃるのでは……?
少しお休みになられたらいかがでしょうか?」
「いや、大丈夫。とりあえず今日の予定は全て
終わらせてから考えるよ」
「ですが今日のご予定は夜の10時までびっしり
詰まっておいでですし……明日も朝の5時から早々
ご予定が入っておいでですが……」
「わぉ、何ていう過密スケジュール……」
ついそんな言葉が出てしまうぐらい
我ながらとんでもない
スケジュールをこなしているものだと思った。
……隠居したいた頃が懐かしい。
あの頃はほぼ好きな時間で起きたり、寝れたりしていた。
というか最近いつ休んだのか記憶にない。
「どうされますか? 少しご予定を取りやめる事も
可能ですが……」
「いや、やろう。俺は大丈夫だからさ」
「旦那様がそう仰るなら私は無理に止めませんが……
今日のご夕食は何がいいですか?」
「カレーで頼む。あの肉がゴロゴロが入っているやつで」
彼女が作るカレーは個人的に大好きであり
それがあるだけで明日以降も頑張れる気がする、
「かしこまりました。ご用意させて頂きます。
それ以外に旦那様の為に私が出来る事ありますか?」
「他にか……」
「はい、私に出来る事でしたら
何でもお申し付けください。
旦那様の為に何かして差し上げたいのです」
「と言ってもなぁ……月詠さんだって疲れているし」
そう言う彼女も俺と同じかそれ以上に
過密スケジュールをこなしている。
そんな彼女に頼みごとをするのも気が引ける。
「私でしたら大丈夫です。元々神というのもあって
あまり疲れないのですよ。
なので私の心配は大丈夫です」
とここまで言われたので
俺は彼女にしてもらいたい事を
頭の中で考えてみた。
そしてとある事が思いついた。
「あっ」
「思いつかれましたか? 
でしたら是非私にお申し……」
「月詠さんにキスして欲しい、かな」
俺が彼女に向けてそう言うと
彼女はしばらく固まり……
「……
……
……は、は、はいっ!?
い、い、い、い、いきなりだ、だ、だ、旦那様は
な、な、な、何を仰いますか!?」
また恒例の様に慌て始めた。
……どうやらまだ慣れていない様だ。
「いや……月詠さんにキスしてもらえたら
元気でるかなって思ってね。
してもらえたらいいなぁって」
勿論半ばふざけなのでしてもらえなくてもいいのだが
肝心の彼女はというと……
「こ、こ、こ、これは恥ずかしいですが……
ですが!! 旦那様が希望している事を叶えるのが
執事の務めであるゆえに……あぁでも……!!」
自分の中での何かと争っているみたいだ。
「まぁ確かに無理はしなくていいからね?
月詠さんも忙しいだろうし」
「執事の私が旦那様にするのは申し訳ないのでは……
いえいえ旦那様自身がやってくれと言われたのだから
ここでやらないのは執事の名折れ……そして私も
だ、旦那様にしたいとお、思っているので……」
「あの〜月詠さん?」
「い、いえ!! 全く大丈夫でございます!!
さぁ旦那様!! お顔をこっちに向けて下さい!!」
「あ、あれ月詠さん?」
「さぁさぁ!! お顔をこちらに!!」
なんかどうやらなんか変なスイッチが入ったか?
「さぁさぁ!!」
……うん、絶対入ったなこれ。
「じ、じゃあお願いするね」
「はい!! お、お任せあれ!!」
と言うと俺の顔に月詠さんが手を添えて
「で、ではいきます……」
徐々に月詠さんの顔が近づいていき……


「ーー失礼します兼続様……」
「「わぁ!?」
いきなりの来訪者に驚く俺達。
そこにいたのは醍醐さんであった。
「おや……これは本当に失礼致しましたかな。
随分お熱いところを」
と俺達を見るなりニヤニヤしてきた。
「だ、醍醐さん!? いきなりどうした……?」
「実は1つご相談の案件がありましたので
そのご相談にお伺いしたのですが……
ーー何分後にもう一度お伺い致しますか?」
「い、いや良い……多分また数分後に来られた方が
もっと恥ずかしくなるから」
「よろしいのですか? 今お2人は抱き合っている
最中ですが……」
「抱き合って?」
「いるですか……?」
と改めて今の状況を見てみると、俺の方に月詠さんが
倒れかかっており見方によれば抱き合っている様に
見えなくもない。
「「……ッ!!」
その状況を把握したのか一気に飛びのく月詠さん。
そして俺もつられて目線を逸らしてしまう。
「も、申し訳ありませんでした旦那様……」
「い、いや俺こそ無茶な嘆いをして悪かった」
「いえいえ旦那様は何故謝れるのですか!!
悪いのはこの執事ある私です!!」
「いやそれを命令した俺も悪い」
「私が!!」
「俺が!!」
「若いとは羨ましいですなぁ……」




月詠さんと一悶着? あった後、俺は醍醐さんと
打ち合わせをしていた。
いくつか相談ごとを持ってきてそれをどんな風に
扱っていくかの話し合いだった。
「ーー以上で私が持ってきた案件は以上となります」
「終わりか、じゃあ決まった事を各部署に
通知しといてくれ」
「かしこまりました。にしても流石御堂家の跡取りで
あられる方だと今回改めてそう思わされました」
「ん? どういう事だ?」
「今回のご自身で取られた経営の指揮も的確に
要所要所を抑えられており確実に元の業績まで
復帰されていますので」
「やめてくれ、恥ずかしい」
「いえいえ何を仰いますか。
ここまで会社が復活出来たのは兼続様、貴方様の
能力あっての事です。
そこは誇られても良いと思います」
「ハハッ、まだまだだからやめておく。
ーーまぁでも元社長達の前ではやってもいいかも
しれないけどな」
「確かにそれは彼らに一番ダメージがありそうですな。
やられるのですか?」
「いやそんな事する時間は俺には無い。
まだ完全にこの会社の業績は復活してないから
元に戻ったら考えようかな」
「兼続様、実に貴方様らしいお考えです。
分かりましたこの醍醐、兼続様の夢を叶える為に
これまで以上に尽力致しましょう」
「あぁ頼むよ。あともう少しだからな
ーーその為に俺ももうひと頑張りしますかね」







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