旦那様と執事な神様

きりんのつばさ

来訪者

久しぶりにあの人物が出てきます



新しい屋敷に引っ越してきて数日……
俺個人はこの新しい生活に慣れてきた。
月詠さん以外の使用人がいなくなったとは言えども
残った月詠さん自体がかなりハイスペックであり
生活自体に殆ど不便はない。
屋敷自体も前は洋風だったが、今の屋敷は和風だが
生活の様式は殆ど変わっていない。
俺はというと今まで両親に隠して貯めていた貯金で
株の取引をしていた。
両親が残していた遺産の方は完全に生活費に回して
株の取引で今まで培ってきた経済関係の感覚を
衰えさせ無いようにしていた。
その結果はというと結構当たっており、既に元の資金を
何倍にもしており、今のところは成功している。
「旦那様の言う通りでしたね。
こちらは昨日予測された通りに値上がりしました」
月詠さんは俺のパソコンの画面を見て、そう言った。
「まぁ前からそこは値上がりしそうだったから
今回はそれなりに賭けてみたけど案の定だったね」
「流石、御堂家の御子息です。 その経済に関する
観察眼は大旦那様譲りですね」
と月詠さんは俺のことを褒めるが
「やめてくれ、俺はもう御堂とは関係無い人間だ。
まぁ苗字は便宜上名乗らせてもらっているけどな」
今更馴れ親しんだこの苗字を変える気にならず
どうせあの分家とも会わないだろうから御堂を
そのまま名乗らせてもらっている。
「ですがあのクズ分家の当主に比べて断然……
ーーいや、比べるのも旦那様に失礼でしたね。
旦那様、大変失礼致しました」
「アハハ……俺は大丈夫だ」
月詠さんっていつもは口調は穏やかなのに俺に敵対する
人間の話になると途端に毒を吐く様になる。
「旦那様、本日のご予定はどうされますか?」
「まぁ予定という予定も無いけどな……」
どうせ毎日、株を見たり適度に運動をするぐらいしか
やる事が無いから予定みたいなのは無い。
「何をおっしゃいますか。旦那様がしたい事が
ございましたらどんどんお申し付けください。
執事である私がそれにあったスケジュールを
組ませていただきます。さぁ本日は何をされますか?
株の取引ですか? それとも運動ですか?
もしくはレジャーでも行いますか?
さぁさぁどうぞお申し付けください」
「……わぉ、流石月詠さん。
そして顔が近いんだよね」
気がついたら端整な彼女の顔が目の前にあった。
さっき話している最中で勢いでこうなったのだろう。
「……ッ!? た、た、た、大変失礼致しました!!
つい勢いで……誠に申し訳ありません」
「い、いや俺は気にしてないからいいって……」
(正直あのまま、キスでもするのかと思った……)
それぐらい彼女の綺麗な顔が本当に間近にあった。
(ん? 待てよ……? したい事だよな……?
あるじゃないか!! 月詠さんと恋人らしい事だ!!)
俺は自分の記憶を振り返ってみた。
月詠さんと付き合い始めて、未だに恋人らしい事を
殆どしていない。
これは月詠さんに頼んでみれば出来るのでは……?
(よし、そう決まれば……)
「ねぇ月詠さん」
「はい、なんでございますか?」
「今日さ、俺ーー」
“恋人らしい事をしたい”と言いかけたところで
「ーーすいません、旦那様。
そのお話は少々お待ちください」
と真面目な表情になっている月詠さんに言われた。
そして急に目を閉じて黙った。
「……何か問題でもあった?」
俺がその様に言うと彼女はこちらの方を向いて
「ーーどうやら誰かが敷地内に入ってきた様です」



「誰かが入ってきた?」
この屋敷に引っ越してきて初めてその言葉を聞いた。
「はい、どうやら誰かがこの敷地内に入ってきた様です。
一応私の能力で旦那様に敵意を抱く人間はここに
入れない様にしています。なのでここに入れたという事は
旦那様に敵意を抱いていない様ですが……」
「というかそんな事をしていたんだね月詠さんって」
彼女がそんな事をしていたなんて初耳だった。
「勝手ながら旦那様の安全を考え、この屋敷の敷地から
この山のふもとまで特殊な霧を発生させており
入って来る事も見つける事も不可能となっております」
「……流石神様だな」
この屋敷の敷地内はかなり広く、更にふもとまでなると
膨大な広さになる。それら一帯をある意味隠している
のだから、流石神様は違うと思った。
「……お褒めいただき光栄です。
そしてこの侵入者どうしますか?
ーーご命令があれば消しますが」
「いや、消さないでいいって。
ちなみに誰が来ているか分かる?」
「はっ、少々お待ちください……この方は……」
「あれ、まさか俺が知っている人物?」
「はい、知っているというよりも大分深い仲であると
思いますが……」
「深い仲……? ごめん、教えて」
「はい、今回いらっしゃったのは旦那様の親友……
ーー三条春翔様です」
「春翔……だと? あいつが一体何を……?」
こいつとは今までの人生を殆ど一緒にいる人物であり
親の顔の次に見てきた顔だ。
……そりゃ深い仲だろうな。
「どうされますか……?春翔様ですし消すに至らなくとも
追い返しますか?」
「いや、会ってみようかな。
あのバカが何を考えているか知りたい。
ーー月詠さん、あいつをここまで案内出来る?」
「かしこまりました。では春翔様がいらっしゃる箇所から
この屋敷までの道を開けておきます」
「……あいつは何をしに来たんだ?」
俺は何故あいつがきたのか無性に知りたくなった。



次回に続きます。

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