旦那様と執事な神様

きりんのつばさ

嵐の前の穏やかな日々





それはとある日

「ふぁ……もう朝か」
俺は上体を起こし、窓の外を見た。
外では既に日が昇り、日光が眩しかった。
コンコン
「はい?」
「旦那様、月詠でございます」
「月詠さんか、どうした?」
「はっ、そろそろご朝食の準備が出来上がりましたので
お声を掛けさせていただきました」
「ありがとう、着替えたらそっち行くよ」
「かしこまりました。
では、一足先に食堂でお待ちしております」


俺は着替え、自分の部屋から食堂に向かった。
この屋敷は無駄に広い為、部屋から部屋への移動が
とても億劫だ。
そんな事を考えながら俺は食堂に入った。
「旦那様、おはようございます」
「おはよう月詠さん。今日のメニューは何かな?」
「本日のお食事ですが、旬の野菜のサラダ
今朝取れたての卵を使用したスクランブルエッグ
高級豚のウインナー、コンソメスープ
そしてパンとなっています」
「そうか、ちなみに食後の……」
「食後の砂糖多めのコーヒーも用意しています」
「流石月詠さん、俺のことよく分かっているね」
「……有難きお言葉をいただき光栄です」
なんか一瞬間があった気がするが気のせいだろう。
「では、いただきます。
ーーって月詠さん、朝ごはんは?」
「既に済ましました。
己自身がしっかりしなくては執事失格です。
体調管理は常に万全を尽くしています」
「そうか……」
というこの人はいつ食べているんだろうか。
すくなからず俺よりも早く起きて、そして夜遅くまで
仕事をしていて一体どこで休んでいるんだろう。
「なぁ月詠さんは休みが欲しいなんて思わないの?」
「思いませんね。旦那様のお世話をする事が
私の仕事ですから」
「……そういう事聞いているんじゃないんだけどな」


俺は朝ごはんを食べ終え、月詠さんがいれたコーヒーを
飲みながら新聞を読んでいた。
4月から父の会社でいきなり新規事業を任される事に
なり、今のうちから様々な情報を入れておいて
損はしないだろうと父と母の談。
「月詠さん、別の新聞もらえる?
ちょっと確認したい事が出来た」
「かしこまりました、こちらをどうぞ」
と月詠さんから新聞を受け取り今持っていた新聞と
付き合わせた。
こういう事はスマホを使えば一瞬なのだが俺は昔から
紙媒体を使う方が好きだった。
そして数分後
「そういう事か……分かった。
この場合はこうすべきなのか……」
「旦那様、問題は解決しましたか?」
「あぁ、なんとかね。ふぅ……こんなに時間かかっていて
本当に俺はやっていけるのか心配になってきたよ」
いくら紙媒体がいいと言っても1つの事を調べるのに
これだけかかってるとすると4月から心配しかない。
「旦那様はご自分の事をそうおっしゃいますが
同学年の御学友の中では群を抜いて優秀
ではないかと私は思うのですが……」
「フォローありがとうね月詠さん」
「……私はそのような意味で口に出した訳では
ないのですが……」
「ん? なんか言った月詠さん?」
「いえ、何も申しておりません」
「そう? 僕はさ、同学年の中では優秀かもしれないけど
4月から僕は新規事業の担当部署を任されるから
今以上に頑張らないとダメなんだ」
「旦那様……」
「俺はこれからこの御堂家を支えないといけないから
今のままじゃいけないんだ。今以上に努力して
いつかは親父を超えないといけない。
そうでもしないと月詠さん達を養えないからね」
「ふふっ、旦那様らしいですね。
ご自身の事よりも他の誰かの為に頑張る。
それはとても素晴らしい事だと思います。
執事としてそんな旦那様にお仕えする事が出来て
とても光栄に思います」
「……月詠さん?」
「どうかされましたか?」
「なんかさ、今日は随分饒舌だね」
月詠さんはあまり話さない。
必要最低限の事を話して、それ以外は基本的に無口で
黙々と作業していたりする。
「……
……
……
気のせいだと思われます」
その間はどうしたんだろうか?
「いやでも……」
「気のせいです」
「いやーー」
「気のせいだと思われます」
「はい、分かりました……」
月詠さんの強い口調に俺は押されてそれ以上は
聞けなかった。
「はっ、これは旦那様にとんだご無礼を……
申し訳ありません」
「い、いやいいんだそこまで気にしてないし……」
まぁ気にならないと言えば嘘になるけど。
「……旦那様のご慈悲に感謝致します」
「そ、そういえば親父と母さんは?」
「はっ、大旦那様、大奥様は付き合いのある
一族のパーティに参加のため朝早くから
外に出られております」
「親父と母さんが一緒にか……」
「ちなみに旦那様の今日のご予定は?」
「今日は暇だから春翔でも誘って……」
どうせあのバカは年中暇してそうだし、
誘ったら2つ返事で飛んできそうだ。
「失礼ですが、春翔様は昨日からイギリスとフランスに
旅行に行っております」
「あっ、そう言えばそうだ……」
「ちなみに白河様とはお会いに……」
「嫌だ。誰があんな奴と休日潰してまで
会わないといけないんだよ」
俺の好きな人をあんなにバカにした奴とは
しばらく会いたくない。
「そうですか……ほっ」
「そうだ、月詠さん」
「なんでしょうか?」
「今日さーー」
“遊びに行かない?”って誘うとした瞬間
ジリリリリ!!
家の電話が鳴った。
「……少しお待ちください。
私がとってきます」
と電話の方に向かう月詠さん。
「はい御堂です」
(くそっ、なんであのタイミングで電話鳴るかな!?
せっかく良いタイミングだったのに……!!)
「はい……えっ!? それは本当ですか!!
はい……はい……かしこまりました。
今すぐお伺いします。それでは」
「どうしたの月詠さん?」
「旦那様、お気を強く持ってください

ーー大旦那様と大奥様が事故に遭われました」
「えっ……嘘だろ?」




次回から一気に話が重たくなります

「旦那様と執事な神様」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

  • あいす/Aisu

    続き!気になります!

    3
コメントを書く