LINE 弁護士

奥嶋光

通知音

郵便局に行った数日後、iPhoneから通知音が聞こえた。
LINEが来ていた、観ると鈴本からだった。どれどれと思いながらLINEを開くと、

弁・もしかして謝罪文送り返しました?

予想通りの反応だ、1ヶ月ぶりのLINEが来た。

私・久しぶり!うん、もういらないし。

私は好意的に返信しながらも、素っ気なさも出してみた、ポッ。

弁・まずいですよ、依頼人から動揺しながら電話来ました。連絡があれば依頼人に直接じゃなくて私宛にLINEして下さい。
弁・てか何で住所知ってるんですか?

おいおい、随分と馴れ馴れしくなってきたなとiPhoneとにらめっこしながらニヤついてしまった。

私・何でだろうね。
私・あの件どうなってます?

私ははぐらかしながら聞いてみた、ポッ ポッ。

弁・今金策してる状況です、額についてはまだお伝えできないんですけど。

私・そうですか。LINEバイトで割りの良いバイトとかやるように提案してみたら?日払いだったらすぐ金入るし。

弁・分かりました伝えておきます、それ良いですね!

私・宜しく!加害少年はちゃんと反省してる?

私はとうの張本人の近況を聞いてみた。

弁・はい。反省の毎日を過ごしています、なるべく誠意を持って賠償するとも言ってます。

私・それならしっかり頼みますよ。うちだって嫁がまだショック引きずってて大変なんですから。

弁・分かりました、すみませんでした。

こんな感じで1ヶ月ぶりにコミュニケーションが取れた。電話でやり取りした時と比べるとかなり円滑な気がした。
一方で賠償交渉の話も進めながらも民事訴訟をする事も視野に入れ私は動いていた。
仕事の合間に弁護士と相談したり、不眠が続く家内にメンタルクリニックに行くように勧めたり。
メンタルクリニックを予約しようとして驚いたのは1ヶ月先まで診察を入れられないと言われた事だった。
最寄りの駅前にあるメンタルクリニックなのだが、まさかこんなに混んでるとは…。
どうなってんだ日本、どうなってんだ私の住む街、私は驚きを隠せなかった。
相談した弁護士が言うにはメンタルクリニックの診察と診断書の内容で慰謝料がだいぶ変わるという事だった、判例によるとこれ位からこの程度まで支払い判決が出てると言われ、そんなにっ!?と私達夫婦は驚いた。
ただし時間もかかるし相手の支払い能力で回収できるかどうかは分からんとも言われた、そりゃそうだ。
なので示談の交渉もしっかりやっといた方が良いと言われた。
ケースによるが法律の範囲内で認められる大体の金額が分かると安心した。
しかしあくまで1番は嫁が納得する形で解決できるのが良いと思っている。

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