LINE 弁護士

奥嶋光

謝罪文

電話をした翌日から罪と示談相場をネットで調べたり、弁護士に相談してこちらも対策を立てた。
嫁と話した結果未成年で裁かれないなら、なるべく慰謝料としてお金を払わそう。示談がまとまらないなら民事訴訟を起こして請求して払わそうという事にした。
加害者には絶対タダでは済ませたくなかったのだ。
私が住む家にかけてる火災保険には弁護士費用特約が付いており保険会社に相談すると使えると言われた。
訴訟となると費用、手間、時間がかかる、判決後の回収リスクなどあるが弁護士費用が保険で賄えるとなると心強い。
懐に武器がある気分になった私は示談交渉が決裂しても行くとこまで行ったろうという気持ちだった。
そういえばあれから連絡来ないな、そう思い始めた頃に鈴本の事務所から郵便が来た。
彼の名前を冠した法律事務所からの封筒を開けながら、私は凄いな若いのに自分で開業してるのか、と思った。
若手のやり手から届いた封筒を開けると中には便箋が5枚、書類1枚が入っていた。
内訳は加害者少年の反省文が4枚、母親が書いたと思われる両親連名の反省文1枚、鈴本からの連絡事項書類が1枚だった。
私は嫁と2人で反省文を読む、少年のは同情を誘っていて自己保身の印象を受けた。両親のは沈痛な思いを感じた、可哀想に…。お母さん字が綺麗だった。
そして鈴本からの書類を読むと、今回の事で本人は反省して両親も親としての責任を感じている。ついては謝罪文と賠償金20万円を用意したので合意して欲しいという内容だった。
「20万だってさ、どうする〜?」「20万か〜  何かな〜。」そんなやり取りを夫婦でしながら書類の下の方まで読んでいくとそこには……。

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