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腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

35話 嵐

バキッ!
「がっ…!」
「…」
肉と肉が衝突する鈍い音がする。
ゴソゴソ…
少年はポケットの中に手をやる。そして財布を手に取る。
「…ちっ…これだけしか入ってねえのかよ…。はぁ…」
少年、優は夜の街に消えていった。


「パパー!今日はオムライス食べたい!」
どこか遊びに行っていたのだろうか?
幼い少年が、父親らしき人物に話しかける。
「オムライスかー…母さんに頼んでみような?」
「うん!」
優は横目でそれを見る。
父親…。
優に父親がいたのは何年も過去の話だ。
脳裏にあの男の顔が浮かぶ。
「…っ…」
ダンッ!
電柱を殴った。
パラ…
電線が揺れ、カラスが飛び立った。
「…痛てぇ…。」
ビチャ…
肩に違和感…。
「…ざけんじゃねぇよ…」
肩にはカラスの糞が優の方に落ちた。
「ははは…。」
優は電柱にもたれかかりその場に力なく崩れた。
「ふざけんな…。」


「…陸くん、あれからユウと連絡は?」
「取ってない。」
「そう…。」
「…」
「あ、ありがとね?」
「いや、いい。また何かあったら連絡する。」
「うん!ありがと。おやすみ…。」
「ああ、おやすみ。」

「はぁ…。」
ミーシェはスマホの終話ボタンを押す。
ユウ…。なにか…あったのかな…。
ミーシェは夜空に目をやった。


次の日、この日は前日の晴れが嘘だったかのように土砂降りの雨だった。
ピチャ…ピチャ…
優は傘を差すことも無く歩いていた。
「…」
目にもはや光は無かった。
ドン…
肩がぶつかる。
「…てえな。」
「…」
優は答えることなく通り過ぎる。
「あぁ?!無視してんじゃねえよ!」
肩を押され壁に追いやられる。
「…」
「てめぇ…死ねや!」
バキッ!
頬に感じる鈍い痛み。
そう言えば父親にもよく殴られていた。
自然とあの男とこの男が重なった。
「…あぁ…」
「あぁん?!」
バキッ!
優は何も言わずに名も知らぬ男を殴った。
「…ふざけんなよ…。俺たちを捨てておいて…お前はのうのうと幸せな家庭を築こうってか…?」
バキッ!
「があっ!やめ…」
バキッ!
「ぐっ…」
「…返せよ…母さんを…姉さんを!!」
気付くと優は男の上に馬乗りになり殴り続けていた。
バキッ!
ボキッ!
男は既に動かない。
「…」
しかし優は何も言わずに殴り続けた。
「ちょっと、誰か…警察!」
ギャラリーが出来ており、その内の1人が携帯電話を取り出した。
5分も経たないうちに警察官は現れた。
「おい!何やってんだ!離れろ!」
「…」
しかし優は何も言わずに殴り続ける。
「いい加減に…しろ!」
優は警察官3人係で引き剥がされた。
「…離せよ…俺はまだあいつに…」
「喧嘩は程々にしろ!」
「…喧嘩?…は?俺は…何を…」
周りを見渡す。
地域の人間が冷ややかな目でこちらを見ていた。
目の前には血だらけになり動かない男。
「…俺は…何を…」
「はいはい、詳しいことは交番で聞くから。」
優は警官に連れられて行った。
その途中に救急車とすれ違った。


「君、名前は?」
「…」
「名前は?」
「…」
「聞いてんの。名前は?」
「…」
「はぁ…携帯とかないの?…あるじゃん。って充電がないのか…。」
「…俺が…何をしたってんだよ…。」
「いやいや、さすがにあれはやりすぎだよ。」
「…っ…俺は…なんのためにここまで…」
「優!」
「…奈美さん…。」
交番に駆け込んできたのは園長先生だった。
「関係者ですか?」
「はい!騒動を聞いて…優!あなた…何やってるのよ…!」
「…別に…。」
「優!」
パンッ!
「!」
優の頬を打つ音がこだました。
「ちょ、落ち着いて!」
「…ってえな…。」
「少し落ち着いてください…。」
「すいません。ちょっと2人で話させてください。」


「優、あなた…お父さんに会いに行ったの?」
「…」
「どうして…?こんな事…。」
「あんたには関係ないだろ…。」
「!…優…。」
「第一何が関係者だよ。あんたは俺の親でもなんでもないだろ?」
「…優…。」
「お父さんに…会ったのね…。」
「…」
「…ごめんなさい…優…!」
「っ…なんであんたが謝るんだよ?」
「…知ってたの。あなたのお父さんが…幸せに暮らしてるって。それを見た優が傷つくのも分かってた。」
「なら…」
「分かってる。あなたに教えるべきじゃなかった…!でも…あなたの気持ちを考えると…ごめんなさい…優…!」
「…謝ってんじゃねえよ!なんであんたが…あんたが謝ったら…俺は…っ!」
優はその場に座り込む。
「優…。」


優が陽だまり園にミーシェと遊びに行った次の日。
優は父親の元に向けてバイクを走らせていた。
インターホンを押す。
「…はい?どなたでしょう?」
無精髭を生やし、眉毛の上に小さな消えない傷がある男がでてきた。父親だ。
「…」
「何か用ですか?」
「…忘れたのかよ…親父…。」
「は?」
「俺は忘れてねぇぞ?その眉毛の上にある傷も…あんたに殴られてたことも…。」
「…優か?」
「…」
「ちょっと待て…。ああ〜!今顔思い出した。そんな顔だったな、お前。で?今更なんのようだよ?」
「っ…分かってんだろ?」
「はははっ…復讐でもしに来たのか?」
「てめぇ…」
「今の俺には家庭がある。余計なことしてんじゃねえよ。せっかくちゃんと愛せそうな女に会ったのによ…。」
「は?ちゃんと?じゃあ母さんのことは…」
「遊びに決まってんだろ?…ちっ、顔を想像しただけでも腹立つぜ…。なんでお前らなんか産むんだよ…。まあおっちんでくれて助かったけどな…。俺に火の粉が飛んでこなくてよかったぜ…。」
ガシッ!
優は胸ぐらを掴む。
「…殴るのか?」
「!」
「人の目もあるここで?」
「…」
優は手を離す。
「ふん…他に用がないなら帰れ。近所迷惑なんだよ。」
「待てよ…俺は今でもあんたのこと…。」
「もしかして父親だと思ってんのか?」
「!」
「俺はお前のこと息子だとも思ってねえけどなぁ?」
「…っ…」
「できれば早めに死んでくれ。じゃあな。」
バタン…


俺は…なんのためにここまで頑張ってきたのだろうか?
施設ではみんなの兄として頑張ってきた。
バイトも掛け持ちをして頑張っている。
決して辛い事ばかりではなかった。
しかし父親と再会したことで優の今まで築いてきたことが…音を立てて崩れた。




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コメント

  • HARO

    ユウの親父
    マジで糞野郎だな
    早く死ね

    1
  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    結構ガチでキレそうになってしまった…ユウ可哀想…
    ユウの父親に復讐してもいいと思います!

    1
  • ペンギン

    あ〜なるほど...そういう事でしたか...
    優の父親マジでクソですね...
    あれは親としてどうかと思う...。
    嘘でも実の息子に「早く死ね」とは言ってはいけないと思う。

    1
  • かつあん

    ユウの元父親まじで死ね!天城たちよりもクソすぎるー!

    でも、最後のけん玉マスターさんのフォローお願いします!の言葉でちょっと怒りが和らいだことは秘密w

    3
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