一台の車から

Restive Horse

13.キャビンから設計を始めました。(ホンダ N360)

扇状のスピードメーターの動きがいつもよりも速く動く。
朝の通勤で高速にのり、合流しようと加速させたときだ。
3000から4000回転あたりまでスムーズに回る。
点火コイルの交換とキャブレターのオーバーホールで、いままで苦労していた高速の合流がとても楽になった。
変わらず80km/hにセーブしているが、気持ちよく流れに乗る。




高速をおりて、仕事場へ向かって走っていると、一台の軽自動車とすれ違った。
赤いホンダN360だ。
空冷からくる機械そのものの音を響かせながらすれ違った。




ホンダN360。
ホンダが1967年に日本に送り出した軽自動車だ。

N360のNはNorimono(ノリモノ)からきている。

「キャビンから設計しました。」というキャッチコピーのとおり、当時の軽自動車では一番の室内空間広さだった。
広い室内空間を確保するために、FFにしてフロアトンネルをなくし、空冷にすることでラジエーターをなくした。

また、ラジエーターをなくすことで冷却系統がなくなり、シンプルかつ価格を抑えることにも繋がった。

エンジンは360ccだったが、そこは二輪屋。360ccで31馬力を発生させた。
そのため、当時はN360でレースをおこなったりしていたという。

しかし、当時のグリップしないタイヤや、FFを採用した車が少なく、数多くの慣れていないドライバーが事故を起こした。
そのため、危ない車とされてしまったことも
ある。

現在販売しているN-ONEはN360をモデルにデザインされている。
日本車では珍しく過去の車をよくイメージしてデザインされている車だと僕は思う。
このような日本車が増えれば、日本のデザイナーも変わってきたことがわかる。




仕事場につき、

「N360はFFだよな。やっぱ2cvを手本としたのかな。」

なんて言いながら鍵をかけた。

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