神殺しと神の使い

つちひりょう

少女

「へー神条君、転校生なんだ」
「うん。これから手続で学園に行くはずだったんだけど…」
「迷子になったのね」
迴理は小さく頷いた。
「仕方ないわ、初めてで迷わないほうがおかしいわよ」
香里奈は落ち込んでいる迴理に気を使って励ましの言葉をかけていた。
「よし、私が案内するわ」
「いいの?風間さん忙しくない?」
「大丈夫、私も学園に用事があるから」
そういって香里奈は迴理の手を強引に掴むとぐんぐんと歩いていった。
「ちょっ、風間さん離して一人で歩けるから!」
迴理は突然手を握られたので少し慌てながら香里奈の手を振りほどいた。
「わかったわよ。だけど、ちゃんとついてきてね!」
香里奈が強い口調でいうので迴理は首を縦に大きく振った。香里奈は何か焦っている様で迴理は少し不安に思いつつ香里奈の後をついていった。

迴理は香里奈に言われたあとからなんとなく気不味く何
も言わず香里奈を後ろから眺めていた。香里奈は歩き方や仕草が一つ一つに無駄が無く洗礼されていて良い家の子、という雰囲気を出していた。
「風間さんってもしかしてお嬢様?」
「一様ね、風間って名字聞いたことない?」
「ごめん、しらない」
「え…本当に無いの?」
「全く」
迴理の言葉に香里奈は少し固まって迴理をジッと見つめた。
「自分で言うのもアレだけど、結構有名だと思う…よ」
「えっと、そのすいません……」
「いいの、いいの気にしないで。でも、貴方相当遠くからきたのね」
香里奈は笑いながら手を振った。
「私の一族ってね当主が代々風に関する神を司ってるの、私の父は,風神,で私も,風神,なの、だから一様次期当主なの」
「風間さんならきっといい当主になれるよ」
「そんなことないよ、だって私これから…………」
香里奈が最後何を言ったか分からなかったが香里奈の罪悪感に満ちた悲しい顔が迴理の頭から離れなかった。

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