アルザリア

むでる

第1話 日常

・・・ピピピピッ・・・ピピピピッとアラームが鳴った。

 そこで榊遊星は目が覚め、アラームを止めるとまた二度寝を始める。

 (何だか頭が痛いな。そういえば昨日遅くまでゲームをしたからかな?まあ、頭痛いし、眠いから寝よ・・・そういえばさっきの夢、なんか見たことある様な無いような・・・まぁいいやとりあえず二度寝しよ。)

 再び寝はじめて少し時間が経って目が覚める。目を擦りつつ時間を確認すると、家を出る10分前になっていた。

「・・・え?!・・・・やばい遅刻する!!」

そう言い布団から飛び出ると、そのまま洗面所へ行った。顔を洗い、歯を磨き終え、制服に着替えるとすぐ家を飛び出した。

 ダッシュをしたおかげか駅までは5分程で到着した。ホームへ行くといつも乗っている電車がちょうど着いており、それを確認すると急いで乗車した。

(ギリギリセーフ!)

 そんなことを思っていると電車が発車する。

 しばらく乗っていると高校のある最寄り駅に到着した。

 電車を降りると、1人音楽を聴きながら登校する。これがいつものスタイルだ。

 学校に着き、上履きに履き替えそのまま自分の教室へ向かう。教室に入ると・・・

「おはよう。遊星。」

「おはよう!遊星君!」

「おはよう、朝から元気だね。」

 教室に入るなり、2人が挨拶をして来た。その2人とはクラスの中でも特に仲が良い2人だ。


 最初に挨拶して来た男子は、『鶴城 疾風つるじょう はやて』こいつは、一言で凄いやつ。頭がいい、運動神経抜群、優しい、それにイケメンだしな。女子ならこいつを見ると一瞬で惚れてしまう。男子にも尊敬される様な奴だ。

 2番目に挨拶して来た女子は、『 御手洗 柚子みたらい ゆず』この子はすごい美人だ。因みにスタイルも抜群。運動神経は普通だが、頭はかなり良い。学校ではアイドル的存在だ。


「遊星が時間ギリギリなの珍しいな。」

「あー、昨日夜更かししてたからかな。」と苦笑いする。

「夜更かしか。夜更かしすると身体に悪いらしいから気をつけたほうがいいぞ?見てくれる人がいないんだし。」

「そ、その時は、わ、私が見ててあげるよ!」

「その時は疾風が見てくれ。柚子、ありがとな。」と笑いながら言うと

 ・・・ガラガラ
 教室の扉が開く。
「ホームルーム始めるぞー」

 そこで担任の先生がやって来てたので俺たちはそれぞれ席に着いた。


——————授業が始まってからは早いもので、もう帰りのホームルームの時間になっていた。

「じゃーホームルームは終わりだ。気をつけて帰れよー」

 そう担任の先生が言い、俺は席を立つ。
「今日はバイトないし一緒に帰ろうぜ。」と2人に言う。

「わりぃ遊星、今日委員会の仕事あるから一緒に帰れない。」

「ごめんね遊星君。」

「そうだったか。2人とも委員会の仕事頑張れよ!」

「サンキュー遊星。また明日な」

「ありがとう!バイバイまた明日ね遊星君!」

「おう、じゃあな~」と俺は言って教室を出た。

 学校を出て電車に乗り、俺は帰宅した。

「ただいま~」
 ——————家の中からは返事はない。

 それもそのはず、俺は物心ついた時から孤児院で生活しており、今は孤児院を出て、様々な支援を受してもらいながら1人で生活をしている。
 
 しかしそんな俺でも楽しみができた。それは最近発売されたVRMMORPG『アルザリアオンライン』だ。

 このゲームは自分で#キャラクター__ゲーム内の自分__#を作り、そのキャラクターを『アルザリア』という世界で操作する。キャラメイクの際は、種族・容姿・能力など細かく設定することができる。
 それとは他に自分の従者となるようなNPCNon Player Characterも作ることができ、同様に色々と細かく設定できる。
 また、このゲームの特徴はゲームにも関わらず、空腹やトイレなどの#生理現象__現実ですること__#が搭載されている。様々なことができ、かなり自由度が高いゲームである。

 ——————実のところ、このゲームは発売前に、α版があり誰でもゲームをすることができた。α版が出てから少し経った時、ゲーム会社からβ版が出ると通知があった。

 ゲーム会社によるとβ版はα版を体験したプレイヤーの中から希望した者を抽選し、それに当選した200人がβ版を体験できることとなっていた。
 俺もβ版を希望し、当選した200人に入ったため、β版をすることができたと言うことだ。
 しかもβ版は製品版にデータを継ぐことができるので希望する選択肢以外はなかった。

「まだ頭痛いけど、やらないわけにはいかないか・・・」

 そう言いつつ、ヘッドギアの電源を入れて被りベッドの上で仰向けになる。 少しすると画面が光ってNow Loadingと表示される。すると、タイトル画面が表示される。そのまま、”続ける”に進み、ゲームの世界に俺は入っていくのであった。

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