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空、縛、空、解、

しみずん

空話3

 カップを登りきった先でカナを出迎えたのは、まるでヘビのように空を這い回る白くて長いグニャグニャ。

 カナの口角が自然と上がる。

 カナは機体を左へと流し、白いグニャグニャに沿うようにしてなるべくゆっくりと、右へ左へ上へ下へ機体を激しく揺らしながら飛んだ。

 飛行の際は、なるべくショックが発生しないように飛べと教わったが機体の事など、身体の事など、今はそんな事お構いなしだ。

 激しく振動する機体の中でナオのはしゃぎ声が聞こえた。

 白いグニャグニャの先でカナを待ち構えていたものは、巨大な白いグルグル。

 あの日ナオと一緒に食べた、冷たくて、甘いグルグル。

 そんなグルグルが何百倍もの大きさで自分の目の前に現れた。

 カナの口角がさらに上がる。

 カナはその巨大な白いグルグルの中に向かって飛び込み、舌をペロリとさせてから巨大な白いグルグルの中から飛び出した。

 カナの口の中にあの日の冷たさと、甘みが広がる。

 次いで、聞こえる『やっぱバニラ最高!』の声。

 カナの胸の鼓動は機体のスピードと共にぐんぐん加速していく。

 白いグルグルから飛び出したカナの視界にうつったのは、回る巨大な何頭もの馬や、回る巨大なブランコ、それらの側を自由気ままに飛び回りやがてカナの行く手を遮るように現れたのは、

 今までのそれらとは比べようもないくらいに巨大な白いふわふわだった。

 そんな白いふわふわを見た途端にカナは思う。

 あの白いふわふわは口に入れた瞬間にまるで魔法のように消えてしまう。

 だから、

 なるべくたくさん口に入れなくてはダメなのだ。

 少しでも長く、味わうために。

 嘘みたいに巨大な白いふわふわを機体正面にとらえて、カナは特攻をかける。

 機体が白いふわふわの内部に侵入するタイミングで口を大きく開いた。

 柔らかいふわふわを口いっぱいに感じながら、ゆっくりと口を閉じていく。閉じると同時に口の中のふわふわが消えていき、かわりに広がる絶妙な甘み。

 あんなにたくさん食べたのにもう消えてしまった。

 やはり白いふわふわは、どれだけたくさん食べても瞬時に消えてしまう。けれど、かわりに甘みを置いていってくれる。

 どうやらそういう物のようだ。

 カナが白いふわふわを食べ終え、雲の内部から脱出し機体をまっすぐに固定してしばらく飛んでいると、怒鳴りつけるような通信が入った。

「カナ! 後ろだ!」

 今まで無反応だった計器類が突然、けたたましく鳴り響き非常事態発生を告げる。

 レーダーは六つの物体を捉え、カナの機体後方で扇形に展開し追尾している事を教えている。

 いつも突如として現れる人類の敵。

 ーーーー正体不明。


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