ツインズリーンカーネーション

ミツキチ

双子誕生

 ある国の王宮で、密かに転生の儀が行われた。この計画を立てたのはこの世界の3大大国の一つ、シュヴァルツ王国である。         
 計画は秘密裏に行われた。転生の儀とは別の世界から強き者を選別し、この世界で生まれ変わらせるという魔法である。
 才能を持ち生まれる子供は必ず、武力または知力あるいは両方に秀でると言われていた。生まれ変わりといっても記憶は無く、天才が一人生まれるという認識と変わらない。

 そもそもこの計画を立てたのは他国に戦争を仕掛ける為に、強力な兵士を作ろうという話から始まった。才能を持たない者を訓練するより、一人の天才を育てた方が良いと判断したのだ。

 そうして今日、儀式が実行された。

 数時間に及ぶ詠唱を経て、魔法陣の中心に座る母体に一人の子供が宿る。そうなれば儀式は成功。失敗するはずがない。そのはずだった。

 結果儀式を行ってから何週間しても母体に変化はなく、結果妊娠はしていなかった。しかし間違いなく転生はしている。

 それから王国は、転生して生まれてくるであろう子供を探すのだった。





 転生の儀と同刻に、シュヴァルツ王国の東の街の領主の妻に双子が宿った。そして十ヶ月後その双子はこの世界に誕生したのだ。
 領主のレイス・ゼルビアと妻メアリー・ゼルビアは兄にラクヨウ、弟にユウヤと名付けた。この世界では変わった名前だが、レイスはなぜか直感的にこの名前に決めた。
 こうして転生の儀で別世界から転生した二人は王宮ではなく、ゼルビア家にて生まれたのだった。

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