選ばれしSのアビリティ
Sクラス集合
「お前、誰だ?」
ロキはフードを深く被っている人物に対してゆっくりと口を開いた。
―何故Sクラスの事を知ってる?―
その言葉は、未だに首もとに突き付けられてるナイフのせいで呑み込む形に終わってしまったが.....。
「どうした?声が震えてるようだが...これがあの、黄金の剣の使い手ゼルガの息子とは到底思えんな。」
その言葉にロキは、眉をピクリと動かして相手をギロリと睨み付けた。その表情はユズ達に見せていたどの表情とも程遠いものだった。
「言葉には気を付けたらどうだ?俺が本気を出したらお前なんて....」
『簡単に殺れる...ってか?』
「.....お前、俺の事をどこまで知ってる?」
ロキは冷静さを失いつつも、なるべく落ち着いて喋るのを心掛けた。たとえ相手が、自分の逆鱗に触れようとも....此処で問題を起こしては退学になることだろう。そんなのは真っ平ごめんだ。
「ぜーんぶ、知ってるぜ?お前だけじゃない、他のSクラスの者全員な。だから、」
「言葉には気を付けた方がいいぜ?」
突き付けていたナイフを下ろしてロキを真っ正面から見つめると、目の前の男は不気味に笑った。
「そんじゃ、学園生活楽しめよ?....今の内にな」
「........。」
それだけ言うと、男はロキに背を向けて歩きだした。だが他にも、男が背を向ける直前に言った言葉をロキは聞き逃さなかった。
―卒業まで、何人生き残れるかな?―
「あれは一体.....」
その頃、Sクラス以外の教室には一枚の紙が配られていた。
「へぇ。」
「面白そうじゃねぇか。」
「そんじゃ、早速.....」
「あ~あ、、私はただ皆と仲良くしたいだけなのにな~....」
カフェでケーキを食べながら、ユズは向かい側の席に座ってるメルリに愚痴を溢していた。
「ユズさん....フフッ、大丈夫ですよ?いつかSクラスがひとつになるときが来ます」
メルリは一口紅茶を飲むと頬杖をついているユズに優しく微笑んだ。
「ん~、なら良いんだけど.....」
「ねぇ、君達Sクラスの子だろ?」
ユズとメルリに近付いてきた3つの影.....見たことがない男子生徒何処のクラスなんだろうか。
「どちらの方でしょうか?」
「Dクラスの者だけど....知らない?」
「...今日からここに通い始めたので」
「俺達は君達の事知ってるけどな」
変な人達だ...関わりたくない。ユズはメルリの手を引いてその場を後にしようとした。だが目の前の男達のある言葉により、それは無理になってしまった。
「ユズ・レモーアだよな?」
「え、」
「そちらのお嬢さんは、メルリ・サフィアだったか?」
「な、何故名前を....。」
「(ヤバい、危ない人達だ...でも、逃げなきゃならないのに、動かない!!どうにか、メルちゃんだけでも...)」
「ユズ、さん?」
ユズはメルリの手を握り締めたまま手の力を強めた。その痛みに顔をしかめたメルリはユズの名を途絶え気味に呼んだ。
「本当にこいつらがSクラスの奴等なのか?」
「特別な感じがしないが」
「まぁ、弱い奴から殺るのは基本だろ?賞金欲しくないのかよ。」
「一人殺れば500万、だったよな?」
「全滅させれば賞金+願い事を何でも叶えてくれる...こいつらを人質に使って、他の奴等を誘きだし一気に殺るぞ」
男達三人は、それぞれの武器を構えて二人のところにゆっくりと近付いてくる。鋭い剣だ...あれで攻撃を喰らってしまうと大怪我じゃすまないだろう。
「本気で来ないと死んでしまうぜ?」
そう言った途端、仲間の内の一人が消えた。
「え?」
「ハッ!メルちゃん!」
ユズがメルリに向かって叫ぶが一足遅く、メルリの身体がぐらりと傾いてそのまま地面に叩きつける形で動かなくなってしまった。
「メルちゃん!」
「安心しろ...死んでない、まだな。」
「なんで、なんでこんな事をするの?!」
ユズは怒りのあまり、大声で相手を怒鳴りつけ、睨んだ。
「ある一種の遊びだよ。」
「あ、遊び?」
男は一枚の紙を取りだし、ユズに見せるようにその紙を投げた。
紙にはこう書かれていた。
これから卒業まで、貴方方には私《わたくし》の暇潰しに付き合って頂きます。ですが、不安がらずに遊び感覚でやってくれれば大丈夫。今からここに書くターゲットを消していただくだけで良いのです。
ロキ・スタイン ユズ・レモーア ユリス・シルバルト メルリ・サフィア ヘルク・セーバー テレサ・アモンド レミア・ミシュアール グレン・ローグ
Sクラス全員です
勿論報酬は惜しみません。一人殺るごとに500万払います。全員殺れば、報酬+願い事を何でも叶えてさせて頂きますわ。
ですが、これだけは守ってくださいね?教室や部屋など狭い場所での実行はダメです。実行出来るのは学院が開いてる平日だけです。それ以外ならどこでだって構いません。もし約束を破ったら、私が直々にお仕置きしますからね?
真の勇者はこの中にいるのでしょうか?
生徒会長 アリス・バレット
「な、なにこれ....」
ふざけてる...人の命をなんだと思ってるの?ううん、この人は何とも思っていない...本当に遊び感覚で人の命を潰そうとしてるんだ。
「お前等もかわいそ~になぁ、あの冷酷と言われる生徒会長サンに目をつけられるとはな」
「で、どうする?大人しく着いてくるならまだ命を大事に扱ってやるよ。だが来ない場合は...」
「.....分かった。」
少し考えた後、ユズは小さく頷き立ち上がった。遠くにいるクラスの皆を思って...。
「おーい、ロキ!」
騒がしい奴が来た。だが無視すると後が面倒臭くなってしまう。ロキは溜め息を溢すとぐるりと振り返って自分を呼んでいる人物の名を呼んだ。
「なんだ?ヘルク」
「大変な事が起きたんだ、これを見てくれ」
「大変な事?」
どうせしょうもないことだろうけど...なんて考えはヘルクから見せられた紙で大間違いだった事を思い知らされることになる。
「......なんだよ、これは」
「さっき此処等辺を通ったときに襲われてさ、間一髪のとこで逃げられたけどよ」
「.....他の皆は?」
「わかんねぇ...連絡とろうにも番号知らねぇし」
「.....皆を手分けして探すぞ」
ヤバいことになった....
ロキが走り出すとヘルクもその後ろに続いた。
「くそっ!此処にもいない...一体どこに、」
―この後カフェにでも行かない?―
「カフェ....」
そうだ、ユズとメルリは一緒にカフェに居る筈だ。時間もそんなに経っていない。今ならまだ間に合うかもしれないな。
頼む、居てくれ!!
だが、ロキの願いは叶うことはなかった。そこには誰も居なく、静かさだけが残っていた。
「くそっ、...?!あれは...。」
紅いリボン...確かメルリが着けていたやつだ。それが何故此処にあるのだろうか。
凄く嫌な予感がする。
「ロキ!!」
「......ヘルクか。」
後ろにはユズとメルリ以外のSクラスの者が揃っていた。
「ユズとメルリが何処にも居ないんだが、見つかったか?」
「いや...」
「もう手遅れなんじゃ.....」
『ギロリッ』
「じょじょ、冗談だって!」
縁起でもないことを言うヘルクに周りから冷たい視線が突き刺さった。こいつは後で絞めるとしよう...。
「もしかして学院の中に居ないんじゃないの?」
テレサがキャンディー片手にロキを見て言うが、それには直ぐ否定をした。
「それも考えなかった訳じゃない。だけどSクラスの奴と他の奴が一緒に居ると教師が怪しむだろ?だから、ここの何処か人通りが少ないとこに居るかもしれない」
そう答えると、テレサは“ふーん”と興味無さげにキャンディーをくわえて一言も喋ることなく黙っていた。何か考え事してるのだろうか...ロキが声を掛けようとしたところで、相手が先に口を開いた。
「ねぇ、凄く暗くて人が通らない場所..一ヶ所だけ知ってるよ?」
「え、」
「ここの奥......」
ここの奥は、離れているにも関わらず薄暗くとても不気味だった。何故テレサはそんな場所を知っているのだろうか。
「行ってみよう」
頼む、次こそ居てくれ!!
そう願って、ロキ達Sクラスは足を進めた。
もうちょっと私が早く気付いてたら...未だに気絶をしているメルリを見つめながらユズは下唇を噛んだ。
なんとかしないと.....。
待っていても、誰も助けてくれない。ならば、自分で行動に移さなければ。
少し上には、ひとつだけ抜けれそうな窓がある。
「だけど.....」
ここからメルリを抱えて移動するのは困難だ。ならば、どうすればいい?
ユズは自分に出来ることを考えた。しかし良い案が浮かぶ事はなかった。
「考えても無駄だ」
「様子を見に来てみれば...まぁ、これから殺られるって時に大人しいわけがないけどな。」
「それにしても、Sクラスの奴等おせぇな。Sクラスなら直ぐにこの場所がわかると思ったんだがな。」
これは絶対絶命だ...。でも、何でもかんでも武器で解決にするのは間違っている。
ユズはピンチにも関わらず、目の前の男達とどうしても戦う気にはなれなかった。それがかえって男達に調子づかせてることを知りながらも...。
「さぁて、どっちから殺るかな」
「そりゃあ、眠っているお嬢さんからだろ」
「だな」
「.....っ、.....」
ユズは近付いてくる男達からメルリを守るように前に立った。
「邪魔だ!」
「きゃあっ!」
ユズに何の戸惑いもなく手をあげた男は気にするどころか目の前の獲物を逃がすかとユズにお構い無くメルリのところに剣を振り回しながら向かっていた。
やっぱり私じゃ誰一人救えない...と、ユズは赤く腫れた頬を擦りながら、自分の不甲斐なさを悔やんだ。
「弱ぇ奴をいたぶって満足してんのか?」
何処からかそんな声が聞こえてユズも、男達も同時に声がした方を振り返った。
ロキはフードを深く被っている人物に対してゆっくりと口を開いた。
―何故Sクラスの事を知ってる?―
その言葉は、未だに首もとに突き付けられてるナイフのせいで呑み込む形に終わってしまったが.....。
「どうした?声が震えてるようだが...これがあの、黄金の剣の使い手ゼルガの息子とは到底思えんな。」
その言葉にロキは、眉をピクリと動かして相手をギロリと睨み付けた。その表情はユズ達に見せていたどの表情とも程遠いものだった。
「言葉には気を付けたらどうだ?俺が本気を出したらお前なんて....」
『簡単に殺れる...ってか?』
「.....お前、俺の事をどこまで知ってる?」
ロキは冷静さを失いつつも、なるべく落ち着いて喋るのを心掛けた。たとえ相手が、自分の逆鱗に触れようとも....此処で問題を起こしては退学になることだろう。そんなのは真っ平ごめんだ。
「ぜーんぶ、知ってるぜ?お前だけじゃない、他のSクラスの者全員な。だから、」
「言葉には気を付けた方がいいぜ?」
突き付けていたナイフを下ろしてロキを真っ正面から見つめると、目の前の男は不気味に笑った。
「そんじゃ、学園生活楽しめよ?....今の内にな」
「........。」
それだけ言うと、男はロキに背を向けて歩きだした。だが他にも、男が背を向ける直前に言った言葉をロキは聞き逃さなかった。
―卒業まで、何人生き残れるかな?―
「あれは一体.....」
その頃、Sクラス以外の教室には一枚の紙が配られていた。
「へぇ。」
「面白そうじゃねぇか。」
「そんじゃ、早速.....」
「あ~あ、、私はただ皆と仲良くしたいだけなのにな~....」
カフェでケーキを食べながら、ユズは向かい側の席に座ってるメルリに愚痴を溢していた。
「ユズさん....フフッ、大丈夫ですよ?いつかSクラスがひとつになるときが来ます」
メルリは一口紅茶を飲むと頬杖をついているユズに優しく微笑んだ。
「ん~、なら良いんだけど.....」
「ねぇ、君達Sクラスの子だろ?」
ユズとメルリに近付いてきた3つの影.....見たことがない男子生徒何処のクラスなんだろうか。
「どちらの方でしょうか?」
「Dクラスの者だけど....知らない?」
「...今日からここに通い始めたので」
「俺達は君達の事知ってるけどな」
変な人達だ...関わりたくない。ユズはメルリの手を引いてその場を後にしようとした。だが目の前の男達のある言葉により、それは無理になってしまった。
「ユズ・レモーアだよな?」
「え、」
「そちらのお嬢さんは、メルリ・サフィアだったか?」
「な、何故名前を....。」
「(ヤバい、危ない人達だ...でも、逃げなきゃならないのに、動かない!!どうにか、メルちゃんだけでも...)」
「ユズ、さん?」
ユズはメルリの手を握り締めたまま手の力を強めた。その痛みに顔をしかめたメルリはユズの名を途絶え気味に呼んだ。
「本当にこいつらがSクラスの奴等なのか?」
「特別な感じがしないが」
「まぁ、弱い奴から殺るのは基本だろ?賞金欲しくないのかよ。」
「一人殺れば500万、だったよな?」
「全滅させれば賞金+願い事を何でも叶えてくれる...こいつらを人質に使って、他の奴等を誘きだし一気に殺るぞ」
男達三人は、それぞれの武器を構えて二人のところにゆっくりと近付いてくる。鋭い剣だ...あれで攻撃を喰らってしまうと大怪我じゃすまないだろう。
「本気で来ないと死んでしまうぜ?」
そう言った途端、仲間の内の一人が消えた。
「え?」
「ハッ!メルちゃん!」
ユズがメルリに向かって叫ぶが一足遅く、メルリの身体がぐらりと傾いてそのまま地面に叩きつける形で動かなくなってしまった。
「メルちゃん!」
「安心しろ...死んでない、まだな。」
「なんで、なんでこんな事をするの?!」
ユズは怒りのあまり、大声で相手を怒鳴りつけ、睨んだ。
「ある一種の遊びだよ。」
「あ、遊び?」
男は一枚の紙を取りだし、ユズに見せるようにその紙を投げた。
紙にはこう書かれていた。
これから卒業まで、貴方方には私《わたくし》の暇潰しに付き合って頂きます。ですが、不安がらずに遊び感覚でやってくれれば大丈夫。今からここに書くターゲットを消していただくだけで良いのです。
ロキ・スタイン ユズ・レモーア ユリス・シルバルト メルリ・サフィア ヘルク・セーバー テレサ・アモンド レミア・ミシュアール グレン・ローグ
Sクラス全員です
勿論報酬は惜しみません。一人殺るごとに500万払います。全員殺れば、報酬+願い事を何でも叶えてさせて頂きますわ。
ですが、これだけは守ってくださいね?教室や部屋など狭い場所での実行はダメです。実行出来るのは学院が開いてる平日だけです。それ以外ならどこでだって構いません。もし約束を破ったら、私が直々にお仕置きしますからね?
真の勇者はこの中にいるのでしょうか?
生徒会長 アリス・バレット
「な、なにこれ....」
ふざけてる...人の命をなんだと思ってるの?ううん、この人は何とも思っていない...本当に遊び感覚で人の命を潰そうとしてるんだ。
「お前等もかわいそ~になぁ、あの冷酷と言われる生徒会長サンに目をつけられるとはな」
「で、どうする?大人しく着いてくるならまだ命を大事に扱ってやるよ。だが来ない場合は...」
「.....分かった。」
少し考えた後、ユズは小さく頷き立ち上がった。遠くにいるクラスの皆を思って...。
「おーい、ロキ!」
騒がしい奴が来た。だが無視すると後が面倒臭くなってしまう。ロキは溜め息を溢すとぐるりと振り返って自分を呼んでいる人物の名を呼んだ。
「なんだ?ヘルク」
「大変な事が起きたんだ、これを見てくれ」
「大変な事?」
どうせしょうもないことだろうけど...なんて考えはヘルクから見せられた紙で大間違いだった事を思い知らされることになる。
「......なんだよ、これは」
「さっき此処等辺を通ったときに襲われてさ、間一髪のとこで逃げられたけどよ」
「.....他の皆は?」
「わかんねぇ...連絡とろうにも番号知らねぇし」
「.....皆を手分けして探すぞ」
ヤバいことになった....
ロキが走り出すとヘルクもその後ろに続いた。
「くそっ!此処にもいない...一体どこに、」
―この後カフェにでも行かない?―
「カフェ....」
そうだ、ユズとメルリは一緒にカフェに居る筈だ。時間もそんなに経っていない。今ならまだ間に合うかもしれないな。
頼む、居てくれ!!
だが、ロキの願いは叶うことはなかった。そこには誰も居なく、静かさだけが残っていた。
「くそっ、...?!あれは...。」
紅いリボン...確かメルリが着けていたやつだ。それが何故此処にあるのだろうか。
凄く嫌な予感がする。
「ロキ!!」
「......ヘルクか。」
後ろにはユズとメルリ以外のSクラスの者が揃っていた。
「ユズとメルリが何処にも居ないんだが、見つかったか?」
「いや...」
「もう手遅れなんじゃ.....」
『ギロリッ』
「じょじょ、冗談だって!」
縁起でもないことを言うヘルクに周りから冷たい視線が突き刺さった。こいつは後で絞めるとしよう...。
「もしかして学院の中に居ないんじゃないの?」
テレサがキャンディー片手にロキを見て言うが、それには直ぐ否定をした。
「それも考えなかった訳じゃない。だけどSクラスの奴と他の奴が一緒に居ると教師が怪しむだろ?だから、ここの何処か人通りが少ないとこに居るかもしれない」
そう答えると、テレサは“ふーん”と興味無さげにキャンディーをくわえて一言も喋ることなく黙っていた。何か考え事してるのだろうか...ロキが声を掛けようとしたところで、相手が先に口を開いた。
「ねぇ、凄く暗くて人が通らない場所..一ヶ所だけ知ってるよ?」
「え、」
「ここの奥......」
ここの奥は、離れているにも関わらず薄暗くとても不気味だった。何故テレサはそんな場所を知っているのだろうか。
「行ってみよう」
頼む、次こそ居てくれ!!
そう願って、ロキ達Sクラスは足を進めた。
もうちょっと私が早く気付いてたら...未だに気絶をしているメルリを見つめながらユズは下唇を噛んだ。
なんとかしないと.....。
待っていても、誰も助けてくれない。ならば、自分で行動に移さなければ。
少し上には、ひとつだけ抜けれそうな窓がある。
「だけど.....」
ここからメルリを抱えて移動するのは困難だ。ならば、どうすればいい?
ユズは自分に出来ることを考えた。しかし良い案が浮かぶ事はなかった。
「考えても無駄だ」
「様子を見に来てみれば...まぁ、これから殺られるって時に大人しいわけがないけどな。」
「それにしても、Sクラスの奴等おせぇな。Sクラスなら直ぐにこの場所がわかると思ったんだがな。」
これは絶対絶命だ...。でも、何でもかんでも武器で解決にするのは間違っている。
ユズはピンチにも関わらず、目の前の男達とどうしても戦う気にはなれなかった。それがかえって男達に調子づかせてることを知りながらも...。
「さぁて、どっちから殺るかな」
「そりゃあ、眠っているお嬢さんからだろ」
「だな」
「.....っ、.....」
ユズは近付いてくる男達からメルリを守るように前に立った。
「邪魔だ!」
「きゃあっ!」
ユズに何の戸惑いもなく手をあげた男は気にするどころか目の前の獲物を逃がすかとユズにお構い無くメルリのところに剣を振り回しながら向かっていた。
やっぱり私じゃ誰一人救えない...と、ユズは赤く腫れた頬を擦りながら、自分の不甲斐なさを悔やんだ。
「弱ぇ奴をいたぶって満足してんのか?」
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