唯一の現実逃避がVRMMOでした。

ロリコン勇者

第二話『いざ、ALOへ』

 なんやかんやで、四か月が経った。

 あれれ、『ALO』の実装日から二か月も過ぎてるではないかと思う人もいるかと思うが、例のイジメっ子の奴に金を奪われて、頭に装着するヘッドギアを買えなかったのだ。
 学校には金は持って行ってないのだが、イジメっ子の三人がわざわざ家まで来て、母にはバレない為、友達面して家まで上がり込んで俺の部屋から金をあるだけ奪っていった。

 一瞬、部屋の机の上にあるカッターで切り付けてやろうとしたが、そんなことしたら今後どうなるか分かったもんじゃない。
 今後どうにでもなってもいいくらいのイジメを受けているから、別に切り付けてもいいんじゃないかと今思い始めたが。
 っていう綺麗ごとはさておき、ただ単に、いざとなって切り付ける勇気が湧かなかったのだ。
 まあいい、もう済んだことだ。

 そして俺は、紙袋に入っている箱を取り出す。
 箱のパッケージにはヘッドギアのイメージ写真がなく、立方体の各面ごとに『ALO』と書いてあるだけ。
 まあ早速、パカリと。

「ダサッ!」

 無意識にそんな言葉が出たのも仕方がない。
 まあ、言うなれば『工事現場のおっちゃんたちが装着している、黄色くて丸いヘルメット』そのままだった。
 厚さは二センチと少し厚く、恐らくその中に全てのデータなどが敷き詰められているのだろう。
 まあ、見た目なんかゲームを始めてしまえば、気にならないからいいとするか。

 付属の説明書を取り出し、その内容をしっかりと読む。
 文自体は短く、こんなことが書かれていた。

『買ってくれてありがとぅーーーーーーーー。
使い方なんて、適当にやればできるっしょ。
まあいいわ、一応教えてあげるよ。
えーと、まず頭に装着して、顎にその……なんていうんだっけ、まあ分かるでしょ、クワガタみたいなやつをカチッてやって、後は、ヘルメの頂上にある赤いボタンをポッチッと押すとできるから、早くアバター作って『ALO』を堪能してこい!
ボタンを押すときは、目を閉じなきゃ作動しないからねん。
後、何百万回と試行錯誤して、めまい、吐き気、頭痛は自信をもって百パーセントならないから心配しなくても、大丈夫だよ~~ん。』

 とまあ、こんな感じだ。
 勘のいいみんなは気付いてると思うけど、この文書いたの絶対公式サイトの『遊び方』書いた人だよね……。
 しかも、ヘッドギアのことヘルメとか言っちゃってるし。
 少しこのゲームをやるのに不安になってしまったが、二か月経っても何かの症状を訴えた人は出てないらしいから……まあ、大丈夫でしょ。

 今日はとりあえず夜七時を回ったから、イジメっ子も来ないだろうし、チュートリアルと、公式サイトの『遊び方』で書いてあった、右手首のリングで自分のステータスがなんたらとか言ってたから、その確認をしてログアウトするとしようか。
 そうと決まれば早速………その前にトイレ。

~数分後~

 よし、じゃあ今度こそ。
 俺は両手で持っているヘッドギア(ヘルメ)をまじまじと見つめ、少しずつ持ち上げ、頭に装着し、クワガタみたいなのをカチッとしようとしたが……。

「冬ーー、夕食できたわよー。降りてきなさーい」

 丁度いいタイミングで……。
 でも、早く『ALO』がやりたいがために、夕食のことを完全に忘れてしまってた。

 「ぐぅーー」

 腹の虫も鳴いているので、とりあえず夕食だけ済ませるか。

 ヘッドギア(ヘルメ)を外し、一階のリビングへと向かう。

~数十分後~

 夕食を済ませ、部屋に戻り、ようやく今度こそ邪魔が入らないだろうと思いつつ、ベッドに腰をかけ、一通りの手順でヘッドギア(ヘルメ)を装着して、ベッドに仰向けになり、今はもう十一月でかなり寒いので、厚めの掛布団を肩まで掛ける。

 これで準備万端。
 後は、頭上の赤いボタンを押すだけ。
 少しずつ緊張が走ってきた。
 それと同時に、期待も膨らんできた。

「よし、やるか」

 その言葉とともに目を閉じ、右手を頭上まで持っていき、人差し指がボタンにかかる。
 いくぞ、せーの!
 心の中で掛け声をして、ボタンを押す。

 すると、一気に視界が変わり、真っ白い空間にずっと落下している感覚がある。
 何秒かするとようやく地面があるところに足がつく。
 辺りを見回しても、360°白。
 白白白白白……黒?
 そこにはただ一人だけ、黒髪ロングの碧眼美少女が宙に浮いて椅子みたいなのに座っていた。
 目と目が合うと瞬時に逸らしてしまい、白く短いひらひらスカートの隙間から見える太ももが目に入ると、その白くてスベスベそうな脚線美を凝視して頬が熱くなってしまう。
 太ももフェチには堪らない……。国宝にしたって誰も否定しいないだろう。千人に国宝にするべきかと問うたら、千人が満場一致で『即、国宝にすべきだ!』と答えんばかりの美しさがそこにはあった。
 そして視線を上にあげていくと、そこに現れたのは魅力的な胸だ。
 その豊満なふたつのソレ・・は、『一体どんな感触なんだろう。触ってみたい……』と、未知の好奇心に駆けられるが、もちろんそんなことはしない………っていうかできない。
 きっと触ったら童貞本能に目覚めて暴走してしまうかもしれない。ましてや、女の子と関わったことが無い俺はもっと危険だ。
 その前に、アシュリの脳天チョップが飛んできて、格ゲーで敵を倒した時の如く『K.O.』というセリフが脳で聞こえて、そのまま気を失うだろう。

アシュリの胸に集中していると、ふと視線が合ってしまったのでそっぽを向く。

「では、チュートリアルと、アバターの作成を行います。……おっと、その前に」

 そこで数秒空き、俺の方を満面の笑顔で見てから___

「ようこそAll Life Onlineへ!」

 白い空間に響き渡る大きな声で、歓迎してくれた。

 






 


 

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