RPGの世界に転生したけど勇者(主人公)じゃなかった

お餅大好きなゲーマー

第一話 この世界の住人

日本のとある場所に、ゲーム好きの男子中学生がいた。
名前は 佐藤 蒼真(13)
授業が終わり、部活が終わるとすぐにゲームを始め、ご飯を食べお風呂に入ってついでに顔を洗い、寝る。その繰り返し。
どこにでもいるダメな中学生。

本人も、そう思っていた。
次の日、目を覚ました蒼真は驚いた。
何と、自分が一番気に入っているRPGの世界が目の前に広がっている。ただ、一番最初の村にいる。
その事が分かったのは、このゲームのグラフィックが現実の世界と見間違えるような物で、そんなゲームは他に無いから。ちなみにVRのテレビゲームだ。
一番最初の村だと分かったのは、このゲームに同じような景色の村は無いので、草原に木だけで作られた家が並んでいる村はここだけだから。
村の名前は「ピース村」で、その名の通りとても平和。
クリア後の世界を遊び尽くそうとインターネットの攻略情報を見ながら色々な所を回っていたので、ゲームの電源を切らずに寝てしまったわけでは無いなどと考えるうちに、ある結論に達した。
「これは夢の中なのだろう」
高い場所から落ちたら衝撃で起きるかなと思っていたが、折角なので周りを見回してみようと走った。
すると、地面を踏む感触が足に伝わってきた。それも、本当に走った時のような。
これは本当に夢なのか疑問に思い、顔を自分で叩いた。

痛い。
夢の中の動きと連動して現実でも顔を叩いたとは考えづらい。
つまり、これは現実。RPGの世界に入り込んでしまったのだ。
本当にこんな事があるのか疑問に思ったが、現実ならばこの世界を遊びつくしてやろう。
勉強はあまり頭に入らないが、ゲームの事だけは何故か頭に入るので、ほとんどの事は覚えている。
敵の行動パターンはほとんどランダムで、固定行動はHPが何%以下の時に大技や回復をしてくるだけだという事、敵の攻略法、宝箱の場所も。
この世界はほとんど自ら遊び尽くしているし、インターネットの知識も含めれば一番この世界の事を知っているのは自分だという自信がある。なぜなら、その時は命を懸けていなかったから。死んでもやり直せばいい。なので色々な場所に気軽に行けたから。

ここで、ふと思い付いた事がある。
「セーブしなきゃ…」
ここで独り言を言うのではなく思っているだけなのは、周りの人から変な目で見られないためだ。
考えてみてほしい。ある日外にでたら突っ立って何かを考えていて、「セーブしなきゃ…」とか言っている人がいたら、恐怖しか感じないだろう。
それにこれからこの村にいる事も考えると、怪しい人にはには思われたくない。
そんな事はさておき、セーブをしようとした。
辺りを見回して、どこからメニュー画面が開けるか探した。
しばらく経って、蒼真は気づいてしまった。

セーブはできない。
というより、セーブができるメニュー画面が開けない。
それもそのはず、蒼真はこの世界のただの住人なのだ。この世界の主人公はゲームのプレイヤーで、自分ではない。  
つまり、自分には世界を救う事はできない。村人として生涯を終えるのを待つ。
ここは蒼真にとっては現実だが、プレイヤーにとってはただのゲームの世界。プログラミングによって作られた架空の世界…    


コメント

  • お餅大好きなゲーマー

    KKBUKMNさん
    分かりにくくてすみません!スマホゲームをしていたのではなく、スマホでインターネットの攻略情報を見ながらゲームをしています。
    人気の作品とかを見て更に良い作品にしたいです。最後に、発想を褒めていただきありがとうございます!自分自身がゲーマーで、それを題材にした作品を書きたいと思って始めました。

    0
  • KKBUKMN

    SAOやオバロみたいなゲームならともかくスマホゲームでは「ゲームの電源を切らずに寝てしまったわけでは無いなどと考える」はないと思いました
    あと発想はすごいと思うけどいろんな物語冒頭をもっと読んでみたらいいと思います

    1
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品