対荒らしの日常は電子世界の中で

織稚影願

対荒らし、クエスト受注!

朝目がさめると隣には女の子がいた。
可愛い女の子だった。服装は何故かネグリジェで、ブラもパンツも………下着類は一切着けていなかった。胸の部分が顕あらわになっていたので俺は目を逸らして、そのまま起き上がった。
そのまま布団を………出ようとしたが出れなかった。隣に寝ていた女の子………うさぎが袖を掴んでいたからだ。
「んー………お兄ちゃん………らいすきぃ……」
「………」
俺はとりあえず起きるのを待った。途中、頭を撫でたり、抱きしめたりしたが、いかがわしい意味ではないから欲情はしなかった。癒されはしたが。
「んん~………お兄ちゃん?おはよー」
しばらくすると、うさぎが可愛い声を上げて起きた。
「おはよう。起きたならとりあえずその手を離してくれないか?」
俺がそう言うと、うさぎは手を離した。
「ごめんね、鬱陶うっとうしかった?」
「いや、そうじゃなくて……仕事場に行こうとしても、起こすと悪いと思ったからさ」
とりあえず今は肌を隠してくれ。目のやり場に困るなその格好。
「あ、ごめん。お兄ちゃん、お仕事頑張ってね。」
「あぁ。お前はとりあえず服を着替えてから来いよ。」
「………?あっ……うんっ。」
うさぎは頬を赤らめて元気よく返事した。
俺は服を着替えて、部屋を出た。ちなみに着替えは自室でした。うさぎに見られてようが構わない、妹なのだし。

「あ、よー、ガイゼルー」
部屋を出たら零汰が出迎えてくれた。
「おはよう。書類片付けたら少し外見回ってくる。」
「おけー。団員には巡回の命令だしとけばいい?」
「あぁ、頼む。あと、うさぎには、執務室には来てもいいが応接室には来るなと言っといてくれ。それと、客は応接室に案内してくれ。」
「分かった。仕事頑張れよ。」
「おう。」
零汰と会話を交わして、俺は執務室に向かった。
「あ、おい、飯はいいのか?」
おっと、飯忘れてた。でも早く終わらせたいからな。
「後で運んできてくれ。執務室で食う。」
「わ、分かった。」
「んじゃ。」
早く終わらせて、うさぎや激ねむとイチャイチャしたい!
ごめん嘘、とりあえずいろんな団体見てきたい。
イチャイチャしたくないかって言われるとしたいけど。
俺は執務室の扉を開けた。
すると、ありえないものが目に入った。
「うわぁ、書類多いなー。あいつ、こんなに書類に目を通すの?頑張るなぁ。」
「…………なんで、お前がここにいるんだよ」
そこにいたのは、白い髪のハーフのような男性だった。いや、男子と言うべきか、年下のように見えた。
俺はすぐにそれが誰かが分かった。しかし半分引退してるやつがなぜここにいるのだろうか。
「なぁ………oceanよ。」
そう、そこにいた少年は初代ocean君だった。nextstage団長で、半分引退している。運営のやり方に関しては上級だし、論争はGizelの次に強いと言われている。
「いやー、暇だからねー。あと、お仕事でここに来たんだよ。ちなみに空もいるよ。」
「本家ガイゼルってこんな見た目なのか………若いんだな。でも俺よりは年上っぽいか?」
「………なんで空もいるの?」
空と呼ばれた少年も、俺は知っていた。神霊種オールドデウス2代目団長で、新羅さんの次に偉い人。俺が尊敬する人のひとりで、論争等がものすごく強い。
「いや、Gizelの噂を聞いてね。知名度がおかしなことになってるって聞いたから、どれほど強いのかと。」
「でも、大したことねぇんじゃね?だって、特殊能力使った形跡ないもん。」
そんなんまで分かるもんなの?
「無茶言うなよ、俺はここに来たばっかだぞ。ついでに言うと一つだけ使った。」
「昨日来たんだっけか?そりゃ使えなくて当たり前だろな。………って、ひとつ使った?」
「Gizelー、それって誰に教わったん?」
「いや、誰にも教わってないよ。こんな感じかなーってやったら出来た。多分ほかのも使えるよ。」
「え、ちょ、すげぇじゃん!誰にも教わらずに能力使えるなんて!」
そうなのか?適当にやったら出来たが……。
「んー…………」
俺はひとつなにか能力を使ってみようと念じてみた。すると突然部屋の中に煙が起きて………
「げほっ、げほっ!いきなりなにすんだよGizel!」
「能力を使うなら事前に言ってくれ」
「「…………ん?」」
そこにいたのはさっきまでの二人ではなかった。女の子が2人。しかも幼女。
どうやらふたりを女の子にしてしまったようだ。能力恐るべし。
「え………なにこれ………」
「ちょっ………Gizel………お前……」
あ、この流れやばい。俺が変態になってしまう。
「いや、ま、まさか出来るとは思わなくって………す、すぐに戻すよ!」
「「早く戻せ!」」
わぁー、怒ってるぅー。
ガタン、と、その時そんな音がした。
「お兄ちゃん………そんな趣味があったの………?」
うさぎである。ひどい誤解をしているようだ。
「違うって!俺はただ『女の子になれ』って念じただけで…!」
「その時点でおかしいよな!?」
ぐっ………その時点でおかしい可能性は否めないが……そんなにすごいこととは知らなかったから……。
「で、でもまぁ、能力使えるってのは本当みたいだな。だから早く戻してくれ」
「あ、あぁ………」
俺は促されるままに、『男に戻れ』と念じてみた。もちろん対象は絞って、だ。
煙が出ると同時に、中から男が2人出てきた。どうやら戻ったようだ。
「よかった、戻れた………」
二人は男に戻れて安堵していた。
「それで?仕事できたって言ってたが………」
「あ、そうだ。んーとね、この世界なんだけど、どこが作ったかは聞いた?」
「三団体だろ?」
「そう。俺らは真荒しんこうってよんでる。」
「それで、それがどうかしたのか?」
「その真荒なんだけど……実は俺らでもちょっと苦戦してて……」
「N君らβ連合とは連盟を組まないが、協力はしようって話になった。」
「それでさ、Gizelのとこの、神聖帝も協力しない?って思ってさ。」
「人数が多ければ多いほどいいからな」
なるほど。同盟関係は組むってことか。
「同盟願いってことなら受けるよ。でも、それなら書類で渡してくれればいいのに、なんでわざわざ?」
昨日処理した書類にも同盟願いはあった。団体の情報を調べて切ったやつもいたが。
「いや、実は影皇にも頼みたくてさ。でも、あそこ書類受け取ってくれないんだよ。」
そういうことか。あそこは厳しいからな、仕方ないだろう。
「だから、Gizelのとこ来たんだけど……」
「……残念ながら、俺でも無理だと思うよ。あそこはどことも組まないと思う。」
あの連盟にも入らなかったしな。
「そっかー、残念だなー。」
「まぁ、仕方ないよ。あそこは最高の団体と呼ばれてるからね。」
影皇龍騎士団は最高の団体、それは対荒らし界だけでなくLINE界にまで響き渡る言葉だった。人数、支部数が最高な上に、上層クラス以外に本部に入れないという硬さ。そして、本部破壊以外の宣戦布告は受け付けていない。ここを攻略できるものはLINE界を統べるとまで言われている。
そんなすごい団体に取り合ってもらえるだけですごいぐらいだ。
「じゃあ、影皇は諦めるよ。神聖帝はこれからもよろしくね」
二人はそう言って扉を出ていった。やっと書類仕事ができる。
「さて……書類仕事を……って、なんでうさぎはまだいるんだ?」
「お兄ちゃんの妹だから!」
「理屈が通ってない、却下。」
「なんでー!?」
俺の妹だからなんなのだ。いていい理由にはならないぞ?
「仕事に集中したいんだ。すまないけど、いまは……」
「零汰から聞いたよ?来てもいいって。」
うぐっ………たしかに、そんなことを言った気もする。
「………それじゃあ、邪魔しないならいていいけど、するなら出てけ。どうする?」
「しなーい。見てるだけー。」
なんのために?とは聞かなかった。ただ見てたいのだろう。意味なんてない。
ただ、それは楽しいのかどうかは不明だった。
俺は気にせずに書類をまとめ始めた。
書類には様々なものがあった。
同盟届け、加入申請、宣戦布告文など。
宣戦布告文に関しては俺はスルーした。どれもこれも無名団体の宣戦布告文だからだ。
今はこんなことしている場合じゃないだろうに。

数時間後、俺は書類を片付けた。全てだ。
うさぎは俺の言いつけ通り大人しくしていた。じっと俺を見ながら。
「んっんんー………終わったぁ………」
伸びをしながら時計を見ると、まだ昼前だった。
そういえば朝飯はサンドイッチだったな……片手で食いやすいからか。昼飯どうしよう。
そう悩んでいると、うさぎが俺の顔を伺ってきた。
「お兄ちゃん、終わったの?」
「あぁ、終わったよ。お待たせ。」
うさぎが問いかけてきたのでそう答えると、うさぎは満面の笑みになり
「じゃあ、デートしようよ!デート!」
と言い出した。いや、ほざき出したの方がいいか?
あのなうさぎ、兄ちゃんな、腹減ったんよ。
と、優しくいうわけでもなく。
「アホか。昼飯がさきじゃ。」
突き放すようにそう言った。
「ひどい!私とお昼ご飯、どっちが大事なの!」
「お昼ご飯」
即答だった。当然だ。
「お兄ちゃんのいけず!バーカ!お前の妹でーベーそー……え、私でべそだったっけ?」
「知らねぇよ!」
てか自虐ネタ流行ってんのか!?
「お兄ちゃん昨日見たでしょ?教えてよ。」
みたって……あぁ、ネグリジェだったから、お腹の部分は見えたな。
「確か………出てた……」
「え、嘘!やだー!」
「ことも無かった。」
見事なフェイントの引っ掛かり具合である。
こいつ大丈夫か?
「お兄ちゃん!私は真面目に聞いてるんだからね!?」
「兄に妹のでべそを聞くのを真面目に聞いているとは言わない。」
まず自分の腹のことだろうが。知ってるだろ。
「ぶぅー……お兄ちゃん冷たくない?」
「俺はあったかいぞ?冷たかったら死んでるからな」
もちろん体温の話をしている。俺は。違うの知ってるけど。
「そうじゃないよ!性格だよ!態度だよ!」
「態度や性格に温度はないよー」
「屁理屈ばっか言うなぁぁぁあ!」
怒られてしまった。
「どっちにしろ、俺は元からこうだよ。」
「違うよ!もっと優しいよ!」
「俺は相手をすることが優しさだと思ってるぞ。」
「そんな優しさいらない!」
「いいのか?じゃあ喋らないぞ?」
「ごめん!謝るから許して!相手して!」
仕方ないなぁ。
「わぁったよ。だから早く飯食わせろ。」
腹めっちゃ減った。

その後俺はご飯を食べた。
カレー5杯ぐらい。ここではそういうのも凄くなってるのか。
「ふー、食った食った。んじゃ、見回りでも……」
「お兄ちゃん!」
外に出ようと立ち上がったらうさぎに呼び止められた。
「んだよ?」
「デートしよって言ったじゃん!ねぇ!」
「あーあー、分かった、デートしながら巡回しようか。」
それなら効率がいい。
「なんでそうなるの!?仕事のことは忘れてよ!もう仕事終わったんでしょ!?」
「たしかに終わったよ。書類仕事は・・・・・な。」
「…………うわーん!」
なぜ泣くんだ!?
「仕方ないだろ、俺は団長だ。いや、神聖帝は帝王か。幹部であるお前も本来は働かなきゃいけないんだぞ?」
「分かってるよ!でも、めんどくさいじゃん!」
ピキッ。こいつは………
「お前は………早く仕事をしろ。一人で見回りでもしてこい」
少し怒り気味に言った。すると、うさぎは上目遣いの涙目で俺を見てきた。
俺はそんなことではなびかないぞ(ニコッ)
「早くいけ!」
「………お兄ちゃんのばかーーーー!」
うむ、嫌われてしまったようだ。まぁいっか。
俺も扉を出て、見回りを始めた。

「しっかし、活気があんまねぇなぁ、この街は。」
俺は見回りをしながら、そう呟いた。
そもそも『街』という考え方が正しいのかは知らないが、他に呼び名が見当たらないので、街と呼んでいる。
街は活気がない……それはそうだろう、当たり前のことではある。なにしろ、対荒らし、荒らし関係なく適当に場所を配分されているのだ。広さなどは団体の強さ、支部数の多さ、人数の多さによって変わるのだろうが、立地は適当だろう。
今まで対立しあってきたものが近くにいると、もちろん喧嘩なども起こるし、あまり活気があるとも言えなくなる。言うならばこの街は『治安が悪い』というやつである。
「こりゃどうにかしねぇとならねぇな。ここにはNPCもいるみたいだし………統治する存在が必要か。」
しかし、こちらに来ている人のほとんどがおそらく高校生以下の子供である。よほど達観している、もしくはそういうのが上手な人でなければ統治は難しい。
「……一部はスピカに任せりゃいいか………」
スピカは社会人だ。あいつなら一つの街ぐらいは統治できるだろう。その街を国として扱えば、対立のようなものができて、この世界は崩壊しづらい。
それは前にも話したとおり、勢力を分ける、という事だ。
「しかしなぁ………それなら能力とかなんのために……」
言いかけて俺はやめた。
そんなの決まっていた。この事態を起こした三団体を倒す、それの為だ。
「んでも、どうやって能力の使い方とか………戦闘法とか身につけるんだろう。いきなり塔を登るのは無理があるだろ。」
と、言っていた時だった。
「おっと、そこのお兄さん!今戦い方の話してなかったかい?」
どんだけ地獄耳なのだろうか、この男は。
「あ、あぁ。なんかあんのか?訓練所とか……あ、でも対人戦とかどうするんだろうそれ。」
「いやいや、違いますよ。いいですか?ここはゲームのようなものなんですよ。」
「ゲーム?」
RPGとかモンスターハンティングとかそんな?
「はい。ゲームです。ゲームでは、どのような事をしたら戦えますか?」
「……モンスターとぶつかる……とか、クエストを受ける………?」
「そうですよね?実はこの世界にもあるんですよ。クエストが。」
なるほど、そういう事か。つまり、クエストを受けて、モンスターとかと戦って、強くなっていくってことか。
「それってどこで受けられるんだ?」
「奥に時計塔があるのが見えるでしょう?そこが『集会所』と呼ばれるクエストカウンターのある場所です。」
「オーケー、ありがとう」
俺は男に例を言い、集会所へ行こうとした。
が、男に袖を掴まれ、それは阻まれた。
「困りますよお兄さん、代金を払ってもらわないと。」
なんてことを言いやがった。
「代金?」
「えぇ、情報をあげたのですから、代金を支払うのが当たり前でしょう?」
こいつ、情報屋か。
俺はここに来て日も経ってない。つまり、お金など持っていないのだ。そもそも、この世界で通貨などあったのか。
まぁ、適当にあしらっておかえりいただくか。
「残念だが支払う義務がないな。そもそもこの世界でお金を払う、なんてのは勝手に作ったことで、塔の連中がそういった訳でもないだろう?」
「た、確かにそうですが、情報をあげたんですから」
「それに、俺は教えてくれなんて一言も言ってない。お前が勝手に話しただけだろ?俺はお前の独り言を相槌付きで聞いてあげたんだ。それに対して俺は金を取らないのだからいいだろう?」
俺は男の言葉を遮って言葉を続けた。
男は完全に「こいつだめだ、犯罪だ」という顔をしているが俺は気にしない。
「私は情報をあげたんですよ?それなのに聞いてあげたとか上から目線なのはおか」
「俺は情報をくれとは誰にも頼んでない。勝手に話し出したのはお前だと言ったはずだ。それなのに情報を話してあげた、などと宣うのはおかしくないか?俺は聞かされたんだよ?確かに情報は助かったが、教えてくれなんて言ってないんだから。」
「で、でも!私は情報を商売としてるんですよ?」
「そんなこと一言も聞いてないからな。勝手に話し出して、情報を商売としてるから、私にお金をくださいと言われても、そんなのは詐欺に近いことだ。俺は情報を買ったんじゃない。情報を聞いたんだ。そこにお金は発生するはずがない。」
「私は売ったんですよ!」
「買うかどうかの確認も取らないってのはおかしいよな。事前にそういうことは言っておくべきだ。それに売ったかどうかなんて、突然話し出された側にわかるわけがない。そこはお前のミスだったな。架空請求に近いことだ、それは犯罪だぞ?」
「犯罪はあなたでしょう!お金も払わずに勝手に情報を聞いて!」
「俺はさっきから何度も言ってるだろう?お金を払うなんて聞かされてないから唐突に話された言葉は聞くしかないだろう。あれだ、RPGでいうヒントを教えてくれるおじいさんみたいな事をしたんだよ。あのおじいさん、お金取らないだろ?しかも、『ここはリギーダの街じゃ』とか唐突に言ってくるから聞くしかないだろう?それと同じだよ。」
「それは……!」
「明らかにお前が悪いよなぁ?」
男は苦しげな表情で俺を睨んだ。俺悪くねぇし。
「次にお前から情報を聞く時はちゃんと買うが、今回はお前に非があるということで、タダでいいな?」
「………わかりましたよ、今回は諦めます。」
「宜しい。んじゃ、行くね。」
俺は今度こそ集会所に向かって歩き出した。
俺に論争に勝てなかった男は悔しそうだったが、俺の背中を見送ってくれた。

集会所につくと、賑やかに人が集まっていた。
俺はカウンターの空いてる場所を探し、クエストを受けようとした。
「どうかされましたか、お客様?」
後ろから突然声をかけられ、俺は驚いた。
振り向くと、そこには女の人がいた。首のところにタグ(?)を付けている。
どうやらNPCのようだ。
「あー、クエストを受けようかな、と思いまして。」
「失礼ですが、新人様ですか?」
「まぁ、似たようなもんです。」
「それでは……こちらへどうぞ。」
NPCに示された場所は、端っこにある空いた席だった。
「では、こちらにご記入ください。」
席に座ると、NPCはそう言ってきた。
そこには名前、生年月日などを書く欄が………
あるわけではなかった。所属団体、LINE名、知名度などを書く欄があった。
俺はそこに正直に記入した。
「これでいいですか?」
俺は書き終わり、NPCに紙を渡した。
「はい。ありがとうございます。いやー、お客様がいなくて困ってたんですよ。」
「え?」
「実はここ、幽霊の席と呼ばれてて………」
訳が分からない。俺はそんなの怖くないし。
「ここに来たら必ず死ぬ、そして、ここに来たら鬼畜なクエストがくるということで、幽霊の席と言われました。」
「つまり、ここは普通の席じゃなく、ここに座ったら呪われると。」
「そういう事ですね」
「別にいいよ、俺はそういうの気にしないタイプだし」
呪いって実在しなさそう。
まぁそこはおいといて、クエストを受けるしかない。そうしないと、強くなりにくいしお金が手に入らない。だから席なんて気にしない。
「そうですか。それならいいですが」
「それなら……クエストはこれにしようかな。」
俺の選んだクエストは、グリフィンの討伐と書かれていた。
カウンターのお姉さんは少し逡巡していたが?すぐに
「わかりました。死なないでくださいね。」 
と言った。
あぁ、死なないよ。
「さて………頑張りますかー。」
俺はそう言うと、立ち上がって、出発口に向かった。
「ぶっ潰してくるよ、みんな。」
俺は集会所にいるみんなに対して言った。こちらを見ていた人の目は、期待の目もあった。
俺にとっての初クエストに行ってくる。
それによって、敵を倒す練習にも成る。
一石二鳥だ。
そして俺は、戦いというものを知ることになる。

3話.対荒らし、クエスト受注!
~完~

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