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俺の心は傷んでいる

ゼノン

VI・いきなりできた美少女な妹

「お兄ちゃん、やっと会えたよ」
雰囲気はクールなまま、泣きそうな顔になっている美紅が俺に迫る。
驚いて声も出せない俺は、どうしたらいいか何もわからない。
「ずっと、探していたんだよ?     お兄ちゃんのことをずっと」
俺に抱きつく美紅は寂しそうな顔をして、俺の顔を見る。
「あ、あのさ、その……俺がお兄ちゃんってどういうこと?」
未だ頭が追いついていない。というか、屋上に呼び出されて何言われるかと思えば、これなんだから驚かないのが無理と言うもんだ。
「十年前に母さんと父さんと一緒に暮らしてたんだよ?    もしかして覚えてない?」
俺は全く思い出せない。
俺はあいつを殺すことしか覚えてないのだ。無理もないだろう。
「もしかして、まだ記憶がないの?     おじさんを殺す以外の」
そう。俺は十年前にある人によって家族を奪われた。そいつを殺すことを俺は誓っている。
だが、残念なことになぜに殺すことを誓ったのか、十年前に何があったのかまでは覚えていない。
その時に一気に記憶が消えたからだ。だから、俺は意味もわからないのに、あいつを殺すことだけを考えていた。
まー、昔の話だけどね。
「まだ、お前が誰かわからないんだが」
「私は君の妹の美紅だよ」
全く覚え出せない。まず妹がいたことについて驚きだ。
それはそうだろう。全く身に覚えのないのに、いきなり自分の妹だって言われたら驚くだろう。俺は今その状況だ。
「えーと、取り敢えず…………どう言うことか説明してくれないか?」
「わかった」
美紅は静かに話し始める。
「十年前に、父さんの会社の後輩が父さんに多額の借金を押し付けられて家庭が崩壊したんだ。それが原因で、その後輩は父さんをかなり憎んで、私達黒神家を火事で殺そうとしたんだけど、父さんは私達兄妹を逃したんだ」
酷い話だな。俺は全く覚えてないけど。
「それから、私とお兄ちゃんは別々のところで育ったみたいで、今までは離れ離れになってたんだけど、もうその必要性は無くなった」
「なぜ必要性がないんだ?」
「だって、私達はまた一緒に暮らすんだから」
「………………は?」
今なんて?    えーと、少し意味がわからないんだが、どう解釈したらいいんだ俺は?
「私を引き取った叔父さんが今年、強盗によって殺されたから、私はお兄ちゃんの家に住むんだよ」
余計に意味がわからなくなった気がするんだが、というか、反応のしようがない。全くもって意味が全然わからん。
「えーと……そこは置いといて、取り敢えず、家にくるってことでオーケー?   そんで、その、お前の話からしてまた兄妹になるってことでいいのか?」
「うん。全然。苗字は元から一緒から何の問題もない」
いや、問題ならかなりあると思うのだが、気のせいでいいのだろうか?     あるいは、こいつの感覚がおかしいだけなのだろうか?
まーそこは放っておこう。まだ頭が追いついてないけど。






それから数時間後。
俺は美紅の荷物と一緒に俺の家に来ていた。なんか全く意味のわからないまま、話が終わり、意味のわからないまま、美紅は俺の家の住人になった。
どう対処したらいいのか。
まー触れないでおこう。
「これから、よろしく。兄さん」
少し明るい笑顔で美紅が言う。
なんか可愛い。
「あぁ、なんかよくわからないけど、よろしく」
俺は妹となる美紅に向かってそう言うが、やっぱりなんも実感がない。
「まー明日になればどうにかなってるでしょ」
俺はそんな投げやりな考えになっていたが、その考えがいけなかったのかもしれない。
なぜなら、俺がそう思ったのは次の朝のことなのだから……。


「…………えっ?」
学校掲示板には『黒神優魔の処分について』と言う張り紙が貼ってあったのだ。
また面倒なことが起こりそうな予感がするが、それは見事に当たっているのであった…………。




            




                     次回に続く


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