俺の心は傷んでいる

ゼノン

V・超絶美少女は意味不明

今、俺のクラスには超絶美少女がいる。
「えー新しくこのクラスでお世話になることになった。名前は、自分で言ってもらおうか」
先生が美少女に目線を送る。みんなの目線も一斉に。
「…………初めまして、私、黒神美紅(くろがみみく)って……言います。……ま、よろしく」
うん。俺のクラスに転校生ってホントいきなりだな。しかも、随分と落ち着いた感じだし。これはアレだな。クール系か。
「じゃあ、美紅の席だが……あー優魔の隣が空いてるから、そこ座ってくれ」
「……はい」
その一言で男子生徒からの視線が憎しみと嫉妬を込めて俺に向ける。
理不尽過ぎないか?
美紅が俺の隣の席に座る。そして、チラッと俺の方を向き、
「よろしく、黒神君」
とだけ言って向きを戻す。美紅の容姿は肩ぐらいまで伸びた黒神にヘッドフォンをしており、制服の上からパーカーを羽織っている。そして、今一番疑問なのは……。
「なんで、マフラー?」
そう。美紅はまだ暖かい時期なのに、なぜかマフラーをしているのだ。
「別にいいでしょ」
睨まれた。意味わからん。

キーンコーンカーンコーン。
朝の朝礼が終わった俺のクラスでは、それはもう大変だった。何が大変だって?
そんなの誰でもわかるよ。
転校生が来たらと言ったら……
「ねぇねぇ、前はどんなところに住んでたの?」
「どんな食べ物が好き?」
「どこの部活に入るの?」
「珍しい髪の色だね」
美紅に対して質問責めだった。
流石にそんなにたくさん質問されたらクールな美紅も困惑顔になっている。
そりゃあそうだ。
「あのさ」
美紅が席を立った。
「ちょっと煩いんだけど」
クラスがシーンとなる。まーそうだわ。
「ねぇ?」
いきなり俺の方を美紅が向いてきた。驚いた俺がとっさに「何?」と聞く。
「しばらく、私のボディーガードしてくれない?」
俺も含めたみんなが「は?」となる。
「いや、なんで?」
「理由なんかない」
「じゃあ、嫌だ」
「拒否権はない」
いやいやいや、それかなり理不尽だよな?
みんなの視線がまた強くなる。
なんか、違う視線を感じた俺がそっちを見ると、
「……黒神君」
ミノアがなんか俺の方を向いて凄まじく睨み顔でいる。
やっぱり理不尽だよなこれ。
「今日の放課後、屋上に来て。拒否権はないから」
…………。俺どうしたらいいのこれから。
「わかったよ」
俺が仕方なく了承すると、
「そう」
少し嬉しそうな顔を美紅はした。





それから放課後になった。
俺は言われた通り屋上に来たのだが、一つ問題があった。
それは、
「遅いな。呼んだ張本人が来ないってどゆこと?」
そう、美紅が来ていないのだ。それも俺が来てから三十分も経ってるのに。
「ごめん。屋上がどこにあるのか、わからなかった」
噂をすれば屋上の扉を開けた美紅がやって来た。
俺は少し美紅を睨んでいたが、目を閉じて睨むのをやめる。
「で?     俺を屋上に呼んだ理由は?    要件によっては俺は帰るぞ?」
「そうだね。手早く済まそう」
そう言って美紅は一つ深呼吸をする。
「また会えて嬉しいよ。お兄ちゃん」
なぜか泣きそうな顔になっている美紅が、俺の方に来て抱きついてくる。
いや、意味わからんのだけど!!
「は!?    お兄ちゃん!?」
俺は驚きのあまりそれ以外の言葉が全く出て来なかった。
そして、このことが原因で、俺の嫌な記憶が呼び覚まされることになるのだけど、それは次回のお話なので、そちらを呼んでもらいたい。



       次回に続く

コメント

  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    まさかの展開…続きが気になるわ(

    3
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