華の仮面をつけた君と普通すぎる私が話す理由。

Shitinarabe

4話〜人柄〜

春岡くん「俺の中のイケメンは小崎琢磨だから」

春岡くんが呟くように言った。

由紀「えええええ!」

春岡くん「うわ〜びっくりした」

由紀「小崎琢磨ってキューブのキャラのことだよね?」

春岡くん「そうだけど」

由紀「ええ!私、大好きなの!琢磨!」

春岡くん「ええ!佐久間さんもキューブ見てるの?」

由紀「見てる見てる!」

春岡くん「ええ!じゃあ、あれは?ここの景色」

由紀「見てるよ!あれは沁みるいい作品!」

それから春岡くんとロッカーの前でアニメの話を沢山した。奇跡的に今日は廊下に人っ気がない。だから、春岡くんファンに目をつけられないのだ。

春岡くん「佐久間さん、また今度アニメの話とかしたいな」

由紀「うん!しよ!」

春岡くん「連絡先とか交換してもいい?」

由紀「うん!もちろん!」

春岡くん「ありがとう!」

由紀「私もだよ!」

それから私は春岡くんと連絡先を交換し、教科書を持って帰った。

由紀「じゃあ、また明日」

春岡くん「うん!バイバイ」

春岡くんってあんなに明るく話すんだ。あんなに明るく挨拶するんだ。
我に帰ると私はすごく驚いていた。
でも、思っていた人と違った。すごくいい人だった。

次の日

美春「おはよう由紀!」

由紀「おはよう。昨日どうだった?」

美春「めっちゃ楽しかったよ!ねえ見てこの写真!」

美春と桃李くんのツーショットの写真には、大盛りのカレーライスが写っている。

美春「もうね桃李くんったらこの量で足りないって言うんだよ!」

由紀「へえー、本当に大食いだね」

美春「でもね、そんな桃李くんを見てるのが私の幸せ」

由紀「ふふふ」

美春とそんな話をしていると後ろから騒がしい声が聞こえてくる。

美春「うわっ!また春岡くんだ!今日も被るとか何事?」

由紀「しょうがないよ」

春岡くん「おはよう」

美春「えっ?」

由紀「おはよう」

春岡くんは私にそう言って、いつものように堂々と歩いていく。

春岡くんって歩くの早いんだな。

美春「えっ?ちょっとまって、えっ?なんで?今、由紀におはようって。えっ?どういうこと?」

由紀「ちょっと色々あってね」

美春「ちょっと色々ってなによ〜!気になるじゃん!」

由紀「それは秘密」

美春「ええ〜!ケチ〜!」

なんとなく言いたくなかった。みんなが想像する春岡くんを壊したくなかった。だから本人からオタクだと公表しない限り、私は黙っておくことにした。

美春「でもさ、あのクールな春岡くんがあんな爽やかに挨拶するって。今、少しキュンときたかも」

由紀「ええ?」

美春「ギャップ萌えってやつ?」

由紀「ええ〜なにそれ!私にはわからないわ〜」

美春「でしょうね!二次元しか見てない君は!」

由紀「ははは」

そうして話しているとあっという間に教室に着く。

つづく

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