華の仮面をつけた君と普通すぎる私が話す理由。
1話〜価値観〜
「由紀!おはよう!」
そう挨拶してくれるのは美春。私の幼馴染だ。
由紀「おはよう。あれっ?今日なんか華やかじゃない?」
美春「あっ気づいた?今日ね放課後、彼とデートなの」
由紀「そうなんだ。楽しんでね」
美春「もちろん」
美春は私と違って流行に敏感でおしゃれなイマドキガールだ。
美春「うわっ、今日も被っちゃったね」
由紀「うん。まあしょうがないよ。本人には悪気ないからね」
私たちには登校時に恐れていることがある。
それは、
学校一美少年の春岡くんの登校だ。
春岡くんはヘッドホンをして、周りからの「おはよう」の声も聞こえないような態度で堂々と校門に向かって歩く。
普通の女の子だったら、春岡くんを見た瞬間、着いてくように歩くが、私たちは違う。
なぜなら、美春には彼氏がいる。そして、美春はかなりのB専だからだ。
でも私はB専でもなく、彼氏もいない。じゃあどうして春岡くんを好きにならないかって?
それは、私は二次元しか愛したことがないからだ。
美春「春岡くんってそんなにかっこいいかな?」
美春は春岡くんと登校時間が被ると毎回のように言う。
由紀「まあ、普通の男の子よりはね?」
美春「そっかー」
私たちは春岡くんと同じクラスだ。
今は落ち着いているが、一学期の初期は入学したばかりの一年生が、春岡くんを見るために昼休みクラスに殺到していた。
教室内の春岡くんは静かに読書している。友達がいないわけではなさそうだが、一人でいることが多い。
でもそれが普通の女子にはクールだと思われ、ますます人気度アップ。イマドキの女子の心理は私にはわからない。
坂内「おお、佐久間おはよう。昨日のキューブ見たか?」
坂内とはアニメ友達だ。
由紀「うん!もう本当によかった!あれは神回だよね!」
坂内「うんうん!特にあの二人が戦うシーンが良かった!」
由紀「わかるわかる!」
美春「なに?また二人でアニメトーク?」
坂内「おっ山口、おはよっていうか、なんか今日ケバくね?」
美春「ケバくて悪かったね!」
由紀「今日、彼氏とデートなんだって」
美春「ちょっ、言わないでよ由紀」
美春は照れながら私に言う。
坂内「彼氏ってあのデブの?」
美春「もう!デブとか言うな!桃李くんはね、本当にイケメンなんだから!見た目も中身も」
坂内「見た目って」
坂内は笑いながら言う。
美春「もう!うるさい坂内!三次元にはね、三次元にしかない良さがあるんだよ?お二人さん」
私と坂内は顔を見合わせる。
美春「なにそのはてなっていう顔!今にも見てなさい!あんたたち二人、お互いに恋心が芽生え・・・」
由紀「美春、それはない。坂内はない」
坂内「なんだよそれ、俺にも失礼じゃんか!」
美春「あっ、ごめん。坂内はないね。あはは」
坂内「おい、酷いぞそれ!」
こうやって私たちはいつもふざけながら話している。
つづく
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