《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
122話「龍の尻尾」
「命をかける覚悟はありますか?」
ヴァルフィの問いに反応したのは、龍一郎よりもエムールだった。
「なぜ、リュウイチロウさまが命をかけなければならんのですか!」
まあまあ……と龍一郎がエムールをなだめた。
とにかく話を聞いてみなくてはわからない。
「リュウさま。日食が続くと3日3晩の闇が続きます。そのあいだクロエイが増え続けることになりましょう」
「ええ」
窓の外を見る。
まだ昼間のはずだが、夜のとばりがかかっていた。かわりにクロエイ避けの照明がつけられている。
「クロエイを倒すには、《血影銃》あるいは《吸血剣》のように、一度自分の血を龍の血管を通して、その血をクロエイにブツける必要があります」
「もちろん、存じてます」
ヴァルフィはわざと、事態をかみ砕いて説明してくれているのだとわかった。だから、根気よくヴァルフィの言葉に、龍一郎は耳を傾けた。
「つまり、龍の血管を通した血を、世界中に流しこむことができれば、たとえ日食であろうともクロエイの発生をおさえることができるわけです」
「世界中となると、話は難しいですね」
《血影銃タイプ―0》
それをもってしても、世界中に撃ちまわるというのはムリがある。バカげているとさえ言える。
いいえ――とヴァルフィは金の杯を抱えた。
「このレオーネ全土に、それこそ血管のように張り巡らされた管があるのです」
「そんなものが?」
「リュウさまもよく知っているはずです」
「オレの知っているもの――?」
さきほど金の杯にうつった映像を思い出した。 巨木だ。
「あ」
と、思い当ったので声が出た。
龍一郎がこの世界に召喚されて、最初に行きついた都市――グランドリオンには都市全体に木の枝が張り巡らされていた。
あの巨木の名前はたしか……。
「龍の尻尾か」
「その通りです。あの巨木の根っこは、レオーネ全土に張り巡らされています。あの巨木に血を流しこむことで、クロエイの発生を止められる――と。私の占いではそういう結果が出ております」
エムールが机を叩いた。
「しかし、世界中に血を送り込むとなると、多大な血液が必要なのではありませんかッ?」
そのとき龍一郎は、それこそ龍の尻尾で打たれたような衝撃をおぼえた。
龍一郎の血液は、いくら消費しても減ることはない。それが龍神族としての能力だ。そして、世界中に張り巡らされた龍の血管。
まるで、パズルピースが合致するかのようだ。いや。鍵穴にカギがピッタリと差しこまれるかのようだとも言える。
(もしかするとオレは……)
その役目を担うために、この世界に召喚されたのではないか。
その大役は他の誰でもない。
龍一郎にしかできないことに違いなかった。
ヴァルフィの問いに反応したのは、龍一郎よりもエムールだった。
「なぜ、リュウイチロウさまが命をかけなければならんのですか!」
まあまあ……と龍一郎がエムールをなだめた。
とにかく話を聞いてみなくてはわからない。
「リュウさま。日食が続くと3日3晩の闇が続きます。そのあいだクロエイが増え続けることになりましょう」
「ええ」
窓の外を見る。
まだ昼間のはずだが、夜のとばりがかかっていた。かわりにクロエイ避けの照明がつけられている。
「クロエイを倒すには、《血影銃》あるいは《吸血剣》のように、一度自分の血を龍の血管を通して、その血をクロエイにブツける必要があります」
「もちろん、存じてます」
ヴァルフィはわざと、事態をかみ砕いて説明してくれているのだとわかった。だから、根気よくヴァルフィの言葉に、龍一郎は耳を傾けた。
「つまり、龍の血管を通した血を、世界中に流しこむことができれば、たとえ日食であろうともクロエイの発生をおさえることができるわけです」
「世界中となると、話は難しいですね」
《血影銃タイプ―0》
それをもってしても、世界中に撃ちまわるというのはムリがある。バカげているとさえ言える。
いいえ――とヴァルフィは金の杯を抱えた。
「このレオーネ全土に、それこそ血管のように張り巡らされた管があるのです」
「そんなものが?」
「リュウさまもよく知っているはずです」
「オレの知っているもの――?」
さきほど金の杯にうつった映像を思い出した。 巨木だ。
「あ」
と、思い当ったので声が出た。
龍一郎がこの世界に召喚されて、最初に行きついた都市――グランドリオンには都市全体に木の枝が張り巡らされていた。
あの巨木の名前はたしか……。
「龍の尻尾か」
「その通りです。あの巨木の根っこは、レオーネ全土に張り巡らされています。あの巨木に血を流しこむことで、クロエイの発生を止められる――と。私の占いではそういう結果が出ております」
エムールが机を叩いた。
「しかし、世界中に血を送り込むとなると、多大な血液が必要なのではありませんかッ?」
そのとき龍一郎は、それこそ龍の尻尾で打たれたような衝撃をおぼえた。
龍一郎の血液は、いくら消費しても減ることはない。それが龍神族としての能力だ。そして、世界中に張り巡らされた龍の血管。
まるで、パズルピースが合致するかのようだ。いや。鍵穴にカギがピッタリと差しこまれるかのようだとも言える。
(もしかするとオレは……)
その役目を担うために、この世界に召喚されたのではないか。
その大役は他の誰でもない。
龍一郎にしかできないことに違いなかった。
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