《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
116話「飲みくらべ Ⅱ」
フィルリア姫とガルス男爵の両者は、一杯ずつグラスに満ちた「ファチ酒」を飲んでゆく。アッという間に空になって、「おかわり!」と両者、グラスを突き出す。
そのグラスに、血のように赤い「ファチ酒」を龍一郎が注いでゆく。
(エムールたちが戦っているのに、こんなことをしていて良いんだろうか)
と、龍一郎は思う。
セリヌイアの安定のために、龍一郎は都市に残ることになった。その安定を乱さんとするガルス男爵を釘付けにしているのだから、ある意味では、龍一郎は龍一郎の仕事をマットウしているとも言える。
だが、落ち着かない。
「おかわり!」
また両者のグラスが突き出される。
10杯を越えたあたりから、あきらかにフィルリア姫の頬が桜色に染まりはじめていた。瞳が潤いはじめている。
一方。
ガルス男爵のほうはまだまだ平然としていた。
(大丈夫かな。この勝負)
フィルリア姫が負けたらどうしようかと不安になった。
「ははははッ。セリヌイアの酒は美味いな!」
と、フィルリア姫が上機嫌におかわりを要求してきた。
野次馬も多く集まっていた。
ガルス男爵を応援する者もいれば、フィルリア姫を応援する者もいる。フィルリア姫に付いていた護衛の騎士たちはあきれた様子で見守っていた。
グラス30杯目に突入したとき、ガルス男爵が急に号泣しはじめた。
「オレは不安なのだ! こんな右も左もわからぬような若造が領主だなんて。この先、セリヌイアが存続していけるか不安で仕方がないのだ」
「うむ。たしかにリュウイチロウは若い。考えも甘い。剣も未熟だ」
「そうだ! 貴族がいなければこの世界はやっていけないのだ。なのに、なのに、あの若造はわかっておらんのだ」
「うむ。わかっていない。しかし、そこが良い」
2人とも酔っている。
酔って龍一郎のことを好き放題言いはじめた。
「あ、あのー」
2人の勝負なのに、なにゆえ文句を言われなくてはならないのか。
「血質値が200もあるならば、それ相応の威厳を示してもらわなくては。それより血質値の低いオレたちの面目が丸つぶれだ!」
「うむ。その通りだ」
いつの間にかフィルリア姫とガルス男爵は、グラスを突き合わせて「ファチ酒」を飲んでいる。
そしてついに40杯目にさしかかったとき、ガルス男爵が「ぐ、ぐほぉ」と妙なうめき声とともにノックダウンした。
2人とも勝負のことなんて、もう覚えていなさそうだ。
そのグラスに、血のように赤い「ファチ酒」を龍一郎が注いでゆく。
(エムールたちが戦っているのに、こんなことをしていて良いんだろうか)
と、龍一郎は思う。
セリヌイアの安定のために、龍一郎は都市に残ることになった。その安定を乱さんとするガルス男爵を釘付けにしているのだから、ある意味では、龍一郎は龍一郎の仕事をマットウしているとも言える。
だが、落ち着かない。
「おかわり!」
また両者のグラスが突き出される。
10杯を越えたあたりから、あきらかにフィルリア姫の頬が桜色に染まりはじめていた。瞳が潤いはじめている。
一方。
ガルス男爵のほうはまだまだ平然としていた。
(大丈夫かな。この勝負)
フィルリア姫が負けたらどうしようかと不安になった。
「ははははッ。セリヌイアの酒は美味いな!」
と、フィルリア姫が上機嫌におかわりを要求してきた。
野次馬も多く集まっていた。
ガルス男爵を応援する者もいれば、フィルリア姫を応援する者もいる。フィルリア姫に付いていた護衛の騎士たちはあきれた様子で見守っていた。
グラス30杯目に突入したとき、ガルス男爵が急に号泣しはじめた。
「オレは不安なのだ! こんな右も左もわからぬような若造が領主だなんて。この先、セリヌイアが存続していけるか不安で仕方がないのだ」
「うむ。たしかにリュウイチロウは若い。考えも甘い。剣も未熟だ」
「そうだ! 貴族がいなければこの世界はやっていけないのだ。なのに、なのに、あの若造はわかっておらんのだ」
「うむ。わかっていない。しかし、そこが良い」
2人とも酔っている。
酔って龍一郎のことを好き放題言いはじめた。
「あ、あのー」
2人の勝負なのに、なにゆえ文句を言われなくてはならないのか。
「血質値が200もあるならば、それ相応の威厳を示してもらわなくては。それより血質値の低いオレたちの面目が丸つぶれだ!」
「うむ。その通りだ」
いつの間にかフィルリア姫とガルス男爵は、グラスを突き合わせて「ファチ酒」を飲んでいる。
そしてついに40杯目にさしかかったとき、ガルス男爵が「ぐ、ぐほぉ」と妙なうめき声とともにノックダウンした。
2人とも勝負のことなんて、もう覚えていなさそうだ。
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