《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
104話「サディ国の王女?」
「このネーちゃん。気絶しちまってるぜ」
騎士に追いかけられていたのは、気品のある女性だった。
スミレの花のような紫がかった髪を長く伸ばしている。今は目を閉じているが、意識のあったときは瞳がパッチリと開いていた。大きすぎてやや不気味だったぐらいだ。その大きな瞳がこの女性にミステリアスな魅力を付与していた。
ドレスを切り裂かれているせいで、下着が露出している。直視することは、龍一郎にははばかられた。
その気絶している女性の頬を、インクが軽くたたいていた。
目覚める気配はない。
「起きそうにはないか」
「乳はでっけェな」
インクが女性の乳房をわしづかみにしていた。乳肉がやわらかそうに、インクの指で潰れていた。
「こ、こら。人のおっぱいを勝手にモむんじゃない」
「あ、照れてンだろ」
と、インクが茶化してくる。
「オレだって男だ。照れちゃ悪いかよ」
「チェ。私はペッタンコだからなー」
インクは自分の胸ともみくらべていた。
コホン、と龍一郎はせきばらいをした。
「冗談はさておき――だ。インク。悪いけど1つ頼まれてくれ」
龍一郎の口調から、インクは深刻なものを感じ取ったらしい。インクの表情もひきしまった。
「なんだい?」
「さっきの騎士を深追いしない程度に追いかけてくれ。どこから来た騎士なのか知っておきたい」
「それぐらい気を使うことないって。あのエムールとかいう女よりも、私は主人に忠誠を誓ってるつもりだぜ」
インクもまた龍一郎が救ったという過去がある。エムールとは、どちらのほうが忠誠心があるのか競い合っているようだ。2人の仲が悪いのは、そこに起因しているのかもしれない。
「危険な敵かもしれないから、深追いはするなよ」
「りょーかい。心配してくれてうれしいよ」
龍一郎から任務を与えられたことに歓喜するかのように、インクは騎士の後を跳びはねて追いかけて行った。
老赤龍が気絶している女性をジッと見つめていた。どうかしたのかと尋ねてみたが、返答はなかった。我は先に戻っておるぞ――と老赤龍はセリヌイアのほうに羽ばたいて行った。
「リュウイチロウさま。御無事ですか!」
と、エムールとセリヌイアの騎士たちが、《血動車》に乗ってやって来た。
「オレは大丈夫だ」
「その娘は?」
エムールは怪訝そうに眉をしかめて、気絶している女性を見ていた。
「さあ。なんか追いかけられてみたいなんだけど」
「おや……」
気絶している女性は首飾りをしていた。エムールはその首飾りをつまみあげた。
「首飾りがどうかしたか?」
「これは、たしかサディ国の首飾りですね」
サディ国という小さな国家があるのだそうだ。女性がつけている首飾りには、その王族の紋章が刻まれているということだった。
「じゃあ、お姫さまってことか?」
「かもしれません。とりあえず、セリヌイアのほうへ運び込みましょう」
女性を《血動車》に乗せて連れ帰ることになった。
騎士に追いかけられていたのは、気品のある女性だった。
スミレの花のような紫がかった髪を長く伸ばしている。今は目を閉じているが、意識のあったときは瞳がパッチリと開いていた。大きすぎてやや不気味だったぐらいだ。その大きな瞳がこの女性にミステリアスな魅力を付与していた。
ドレスを切り裂かれているせいで、下着が露出している。直視することは、龍一郎にははばかられた。
その気絶している女性の頬を、インクが軽くたたいていた。
目覚める気配はない。
「起きそうにはないか」
「乳はでっけェな」
インクが女性の乳房をわしづかみにしていた。乳肉がやわらかそうに、インクの指で潰れていた。
「こ、こら。人のおっぱいを勝手にモむんじゃない」
「あ、照れてンだろ」
と、インクが茶化してくる。
「オレだって男だ。照れちゃ悪いかよ」
「チェ。私はペッタンコだからなー」
インクは自分の胸ともみくらべていた。
コホン、と龍一郎はせきばらいをした。
「冗談はさておき――だ。インク。悪いけど1つ頼まれてくれ」
龍一郎の口調から、インクは深刻なものを感じ取ったらしい。インクの表情もひきしまった。
「なんだい?」
「さっきの騎士を深追いしない程度に追いかけてくれ。どこから来た騎士なのか知っておきたい」
「それぐらい気を使うことないって。あのエムールとかいう女よりも、私は主人に忠誠を誓ってるつもりだぜ」
インクもまた龍一郎が救ったという過去がある。エムールとは、どちらのほうが忠誠心があるのか競い合っているようだ。2人の仲が悪いのは、そこに起因しているのかもしれない。
「危険な敵かもしれないから、深追いはするなよ」
「りょーかい。心配してくれてうれしいよ」
龍一郎から任務を与えられたことに歓喜するかのように、インクは騎士の後を跳びはねて追いかけて行った。
老赤龍が気絶している女性をジッと見つめていた。どうかしたのかと尋ねてみたが、返答はなかった。我は先に戻っておるぞ――と老赤龍はセリヌイアのほうに羽ばたいて行った。
「リュウイチロウさま。御無事ですか!」
と、エムールとセリヌイアの騎士たちが、《血動車》に乗ってやって来た。
「オレは大丈夫だ」
「その娘は?」
エムールは怪訝そうに眉をしかめて、気絶している女性を見ていた。
「さあ。なんか追いかけられてみたいなんだけど」
「おや……」
気絶している女性は首飾りをしていた。エムールはその首飾りをつまみあげた。
「首飾りがどうかしたか?」
「これは、たしかサディ国の首飾りですね」
サディ国という小さな国家があるのだそうだ。女性がつけている首飾りには、その王族の紋章が刻まれているということだった。
「じゃあ、お姫さまってことか?」
「かもしれません。とりあえず、セリヌイアのほうへ運び込みましょう」
女性を《血動車》に乗せて連れ帰ることになった。
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