《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
第91話「空に昇る」
リュウイチロウは空へとあがる。龍が巨大な両翼を1振り2振りするたびに上へ上へと向かう。
「あのさ」
と、リュウイチロウは切り出した。
「なんだ、コゾウ」
と、老赤龍がこたえる。
「龍のせいで巨大種が出るって聞いてたんだけど、セリヌイアに巨大種のクロエイが出るのは、あんたのせいだったのか?」
相手が人ではないので、「あんた」と呼ぶべきか「君」と呼ぶべきか迷った。老赤龍は特に気にしなかったようだ。
「我のせいでもあり、我のせいではない」
「なんだそれ?」
「クロエイはかつての我の同胞であり、仇敵たちの怨念だ」
「らしいな」
「怨念たちは、まだ肉体のある我に誘われておるのだろう」
「クロエイってのは忙しいな。血質値の低いヤツに惹かれたり、龍に誘われたりして」
「クロエイってのは、龍の残滓であるからな。あれはバケモノに見えるかもしれんが、龍なのだ」
「あれが?」
「弱き者から襲おうとするのは、動物の本能であろう」
言われてみれば、そうかもしれない。
「で、あんたはずっと地下で眠ってたのか?」
「ただ、眠っていたわけではない。龍神族というこの世界に安寧をもたらす13人を招いたであろうが、特にコゾウ」
「オレ?」
「コゾウにはかなりチカラを注いで疲れたのだ。それで地下で眠っていたところに、コゾウが落ちてきたのだ」
「そりゃまた、偶然だな」
ふん、と老赤龍は鼻で笑った。
「我がいるということを知って、あの土地をうろついていたのは、コゾウのほうだろうに」
「会おうと思って、ウロついてたわけじゃないけどな」
「お互いの血によって、引き寄せられたのやもしれんな」
「オレはセリヌイアに行ってベルを連れ戻すつもりだ。ベルさえ連れ戻せばどうでも良いんだが、あんたはどうなんだ?」
「都市を浮かしたままにしておけるか。突き落としてやる」
ずいぶん過激なことを言う。
「落としたら上に乗ってる人も、下にいる人も大変なことになるぜ」
「この都市が向かう先には湖畔がある」
「それで?」
「セリヌイアは湖畔に落とす。乗ってる者たちには被害が出ないように努力するつもりだ」
「わかった」
「速度をあげるぞ、ちゃんと捕まっていろ」
「ああ」
リュウイチロウは紅蓮の甲殻に腕を回す。身を低くして風の抵抗をなるべく受けないようにした。龍のカラダは温かくて、空の冷たさが気にならなくなった。
放たれる矢になったかのように、老赤龍は天めがけて突進した。
「あのさ」
と、リュウイチロウは切り出した。
「なんだ、コゾウ」
と、老赤龍がこたえる。
「龍のせいで巨大種が出るって聞いてたんだけど、セリヌイアに巨大種のクロエイが出るのは、あんたのせいだったのか?」
相手が人ではないので、「あんた」と呼ぶべきか「君」と呼ぶべきか迷った。老赤龍は特に気にしなかったようだ。
「我のせいでもあり、我のせいではない」
「なんだそれ?」
「クロエイはかつての我の同胞であり、仇敵たちの怨念だ」
「らしいな」
「怨念たちは、まだ肉体のある我に誘われておるのだろう」
「クロエイってのは忙しいな。血質値の低いヤツに惹かれたり、龍に誘われたりして」
「クロエイってのは、龍の残滓であるからな。あれはバケモノに見えるかもしれんが、龍なのだ」
「あれが?」
「弱き者から襲おうとするのは、動物の本能であろう」
言われてみれば、そうかもしれない。
「で、あんたはずっと地下で眠ってたのか?」
「ただ、眠っていたわけではない。龍神族というこの世界に安寧をもたらす13人を招いたであろうが、特にコゾウ」
「オレ?」
「コゾウにはかなりチカラを注いで疲れたのだ。それで地下で眠っていたところに、コゾウが落ちてきたのだ」
「そりゃまた、偶然だな」
ふん、と老赤龍は鼻で笑った。
「我がいるということを知って、あの土地をうろついていたのは、コゾウのほうだろうに」
「会おうと思って、ウロついてたわけじゃないけどな」
「お互いの血によって、引き寄せられたのやもしれんな」
「オレはセリヌイアに行ってベルを連れ戻すつもりだ。ベルさえ連れ戻せばどうでも良いんだが、あんたはどうなんだ?」
「都市を浮かしたままにしておけるか。突き落としてやる」
ずいぶん過激なことを言う。
「落としたら上に乗ってる人も、下にいる人も大変なことになるぜ」
「この都市が向かう先には湖畔がある」
「それで?」
「セリヌイアは湖畔に落とす。乗ってる者たちには被害が出ないように努力するつもりだ」
「わかった」
「速度をあげるぞ、ちゃんと捕まっていろ」
「ああ」
リュウイチロウは紅蓮の甲殻に腕を回す。身を低くして風の抵抗をなるべく受けないようにした。龍のカラダは温かくて、空の冷たさが気にならなくなった。
放たれる矢になったかのように、老赤龍は天めがけて突進した。
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