《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
第59話「シュバルツ村」
シュバルツの村に到着した。
夕刻になっていた。
木造の建物の多い牧歌的な村だった。村の雰囲気はどことなく、ベルと出会ったケルネ村を思い出させる。村の周囲には木造の柵が張り巡らされ、ひたすらカンテラが備え付けられてある。
「せーのっ」
と、村人たちが声を合わせて何かやっていた。
村人10人で龍の血管をつないでいる。すると巨大なハンマーが巨大な臼の中に叩き込まれた。ドーンと思い衝撃が、龍一郎の腹にも響いた。
「あれは?」
「製粉を行っているのです。穀物を粉にしているんですよ。麦やら木の実やらをひいて、小麦にしたりいろんな食材にしてるんです」
そう説明するエムールは、すでにヘルムをかぶって素顔を隠していた。中に美しい女性が入っているとはトウテイ思えない甲冑だ。
「巨大製粉機ってところですか」
「農産物、畜産物を育てるには都市の中では狭すぎる。必要不可欠なものですが、今のレオーネでは、クロエイから守りきることができないのが現状です」
たしかに都市の中で農業は限界があるだろう。
「で、今晩はオレたちで守ろうというわけですか」
「今宵は周期的に月の少ない日となります」
この世界の夜空には6つの月が浮かぶ。だが、日によって1つになったり、2つになったりする。
いったいこの惑星がどんな軌道を描いているのか知らないが、急に数が減ったり増えたりするから面白い。
「暗い夜になるってことですね」
「そして、そういう夜には巨大種が出やすい」
「こういう村には、貴族が護衛に来ているんでしょう?」
「貴族たちのあいだで村の護衛は当番制で回るようになっております。村番貴族などと言われております」
ヘルムの中からエムールの声がくぐもって聞こえる。
「挨拶とかしておいたほうが良いですかね?」
「そうですね」
村の人に頼んで、村番貴族のもとまで案内してもらった。
シュバルツ村の護衛に来ている貴族は、ツルツル頭の大男だった。村人たちとまじって農地でクワを振るっていた。
冒険者組合から来たのだとエムールが名乗り出た。龍一郎は黒騎士のお供ということで紹介してもらった。
貴族の男はロッツェオと名乗った。
「これは頼もしい。黒騎士殿が来てくれるとは」
ロッツェオはスキンヘッドをペチペチと叩きながら言った。
黒騎士の名前は、このあたり一帯では有名なようだ。一方で、龍一郎のほうはあまり知られていないようだった。
スマホや電話といった連絡手段がいない以上、ウワサの広まりは遅々としてしかるべきだ。
「そっちの若いのは、まだ子どものようだが、ちゃんと護衛になるのかね?」
と、むしろ心配された。
「こ、こちらの御仁はフィルリア姫肝いりの――」
と、エムールがあわてて説明しようとした。
良いですよ別に――と制しておいた。
「よろしいのですか? しかしリュウイチロウさまは、私など足元に及ばぬほどの血質値を持ち、またグランドリオンの英雄であるのですよ」
「黒騎士のお供とでもしておきましょう」
血質値が200だと知られたら、マチス侯爵のときみたく勧誘されて、ベルを誘拐される怖れがある。ムリに隠すつもりはないが、あえて広める必要もないだろうと判断していた。
「承知しました。リュウイチロウさまがそうおっしゃるのでしたら」
黒騎士のお供として紹介してもらった。
「せっかく来てもらったのだ。御茶でもごちそうしよう。このシュバルツ村の木の実からできる、シュバルツ茶を出しましょう」
と、ロッツェオは歓迎してくれた。
夕刻になっていた。
木造の建物の多い牧歌的な村だった。村の雰囲気はどことなく、ベルと出会ったケルネ村を思い出させる。村の周囲には木造の柵が張り巡らされ、ひたすらカンテラが備え付けられてある。
「せーのっ」
と、村人たちが声を合わせて何かやっていた。
村人10人で龍の血管をつないでいる。すると巨大なハンマーが巨大な臼の中に叩き込まれた。ドーンと思い衝撃が、龍一郎の腹にも響いた。
「あれは?」
「製粉を行っているのです。穀物を粉にしているんですよ。麦やら木の実やらをひいて、小麦にしたりいろんな食材にしてるんです」
そう説明するエムールは、すでにヘルムをかぶって素顔を隠していた。中に美しい女性が入っているとはトウテイ思えない甲冑だ。
「巨大製粉機ってところですか」
「農産物、畜産物を育てるには都市の中では狭すぎる。必要不可欠なものですが、今のレオーネでは、クロエイから守りきることができないのが現状です」
たしかに都市の中で農業は限界があるだろう。
「で、今晩はオレたちで守ろうというわけですか」
「今宵は周期的に月の少ない日となります」
この世界の夜空には6つの月が浮かぶ。だが、日によって1つになったり、2つになったりする。
いったいこの惑星がどんな軌道を描いているのか知らないが、急に数が減ったり増えたりするから面白い。
「暗い夜になるってことですね」
「そして、そういう夜には巨大種が出やすい」
「こういう村には、貴族が護衛に来ているんでしょう?」
「貴族たちのあいだで村の護衛は当番制で回るようになっております。村番貴族などと言われております」
ヘルムの中からエムールの声がくぐもって聞こえる。
「挨拶とかしておいたほうが良いですかね?」
「そうですね」
村の人に頼んで、村番貴族のもとまで案内してもらった。
シュバルツ村の護衛に来ている貴族は、ツルツル頭の大男だった。村人たちとまじって農地でクワを振るっていた。
冒険者組合から来たのだとエムールが名乗り出た。龍一郎は黒騎士のお供ということで紹介してもらった。
貴族の男はロッツェオと名乗った。
「これは頼もしい。黒騎士殿が来てくれるとは」
ロッツェオはスキンヘッドをペチペチと叩きながら言った。
黒騎士の名前は、このあたり一帯では有名なようだ。一方で、龍一郎のほうはあまり知られていないようだった。
スマホや電話といった連絡手段がいない以上、ウワサの広まりは遅々としてしかるべきだ。
「そっちの若いのは、まだ子どものようだが、ちゃんと護衛になるのかね?」
と、むしろ心配された。
「こ、こちらの御仁はフィルリア姫肝いりの――」
と、エムールがあわてて説明しようとした。
良いですよ別に――と制しておいた。
「よろしいのですか? しかしリュウイチロウさまは、私など足元に及ばぬほどの血質値を持ち、またグランドリオンの英雄であるのですよ」
「黒騎士のお供とでもしておきましょう」
血質値が200だと知られたら、マチス侯爵のときみたく勧誘されて、ベルを誘拐される怖れがある。ムリに隠すつもりはないが、あえて広める必要もないだろうと判断していた。
「承知しました。リュウイチロウさまがそうおっしゃるのでしたら」
黒騎士のお供として紹介してもらった。
「せっかく来てもらったのだ。御茶でもごちそうしよう。このシュバルツ村の木の実からできる、シュバルツ茶を出しましょう」
と、ロッツェオは歓迎してくれた。
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