《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
第53話「反乱」
言われたとおり、その北の都市セリヌイアに向かっていた。
《血動車》を御者に走らせてもらった。龍一郎の血であれば《血動車》の1台や2台かんたんに買える。いかんせん、運転ができない。それで、御者に頼むことになる。
道中――。
『オレの娘を返せー』
『撃て、撃てェ』
蛮声が響いていた。
矢がヒュンヒュンと、風を切り飛び交っていた。
血影銃という銃があるから、銃があるのかと思っていたが、矢を使っているということは、ふつうの銃はないのだろう。考えてみれば、血液をエネルギーにしているので、火薬という発想がないのかもしれない。
都市セリヌイアを囲う城壁と、その周囲に群がる貧民街がすぐ近くに見えている。ただ、セリヌイアに続く街道をふさぐようなカッコウで争いが起こっていた。
街道のわきに城のような建物がポツンと建っている。修道院か何かのように見える。それを取り囲むように、甲冑を着た騎士たちがいた。
「戦争か?」
「戦争というほどのものではないと思います。おそらく庶民か奴隷かの反乱でしょう」
と、ベルが抑揚のない声で述べた。
「反乱か」
レジスタンスとでも言うべきか。
貴族とその他の者たちの差が激しい世界だ。そういった抵抗運動があってしかるべきだろう。
どうしようかと思った。
迂回して、都市のほうに行っても良い。だが、それだと「虐げられている者たちのチカラになってやって欲しい」という、フィルリア姫の言葉に背くことになるようにも思う。
「おい。そこの者たち」
と、街道に立っていた騎士のひとりに声をかけられた。チェインメイルを着こんでいた。腰には剣がたずさえられている。恰幅の良い兵士で、ベル5人分ぐらいの肩幅があった。
「はい?」
「見ての通りだ。これより先は、通行禁止だ」
どことなく見下すような声でそう言ってきた。
「ゼルン王国第三王女のフィルリア姫からの命令でやって来ました。セリヌイアに行きたいんですが」
フィルリア姫は、好きに自分の名前を使ってくれても良いと言っていた。
その言葉を受けると、騎士の表情が変わった。
「なに? フィルリア姫の命令だと?」
「はい」
「何か証拠はあるのか?」
通行手形を見せた。
騎士は、それに目を通した。
「ふむ。たしかに」
さすがは第三王女だ。
フィルリア姫の名前のチカラは大きい。
「この争いはいったい、なんなんですか?」
「ああ。セリヌイアの領主――ケルゥ・スプライア侯爵さまは今、大量の血を集めておられる。庶民や奴隷どもは、それに反抗していてな」
「血が必要なら、オレが出しましょうか? それでこの争いを一時停戦ということで、どうです?」
龍一郎はマジメにそう言ったのだが、騎士は笑った。笑うと恰幅の良いカラダが、小刻みに振動していた。
「修道院に立てこもっている者が、おおよそ80人いる。それだけの数の血を、ひとりで補うというのは、ムリな話だ」
「そうでもないですよ。どうぞ。さっさと採血してください」
龍一郎は急いた。
こうしているあいだにも、死人が出ている。
「そこまで言うのなら、良かろう。ちょっと待っていろ。部隊を率いているケルゥさまを呼んでくる」
「お願いします」
《血動車》を御者に走らせてもらった。龍一郎の血であれば《血動車》の1台や2台かんたんに買える。いかんせん、運転ができない。それで、御者に頼むことになる。
道中――。
『オレの娘を返せー』
『撃て、撃てェ』
蛮声が響いていた。
矢がヒュンヒュンと、風を切り飛び交っていた。
血影銃という銃があるから、銃があるのかと思っていたが、矢を使っているということは、ふつうの銃はないのだろう。考えてみれば、血液をエネルギーにしているので、火薬という発想がないのかもしれない。
都市セリヌイアを囲う城壁と、その周囲に群がる貧民街がすぐ近くに見えている。ただ、セリヌイアに続く街道をふさぐようなカッコウで争いが起こっていた。
街道のわきに城のような建物がポツンと建っている。修道院か何かのように見える。それを取り囲むように、甲冑を着た騎士たちがいた。
「戦争か?」
「戦争というほどのものではないと思います。おそらく庶民か奴隷かの反乱でしょう」
と、ベルが抑揚のない声で述べた。
「反乱か」
レジスタンスとでも言うべきか。
貴族とその他の者たちの差が激しい世界だ。そういった抵抗運動があってしかるべきだろう。
どうしようかと思った。
迂回して、都市のほうに行っても良い。だが、それだと「虐げられている者たちのチカラになってやって欲しい」という、フィルリア姫の言葉に背くことになるようにも思う。
「おい。そこの者たち」
と、街道に立っていた騎士のひとりに声をかけられた。チェインメイルを着こんでいた。腰には剣がたずさえられている。恰幅の良い兵士で、ベル5人分ぐらいの肩幅があった。
「はい?」
「見ての通りだ。これより先は、通行禁止だ」
どことなく見下すような声でそう言ってきた。
「ゼルン王国第三王女のフィルリア姫からの命令でやって来ました。セリヌイアに行きたいんですが」
フィルリア姫は、好きに自分の名前を使ってくれても良いと言っていた。
その言葉を受けると、騎士の表情が変わった。
「なに? フィルリア姫の命令だと?」
「はい」
「何か証拠はあるのか?」
通行手形を見せた。
騎士は、それに目を通した。
「ふむ。たしかに」
さすがは第三王女だ。
フィルリア姫の名前のチカラは大きい。
「この争いはいったい、なんなんですか?」
「ああ。セリヌイアの領主――ケルゥ・スプライア侯爵さまは今、大量の血を集めておられる。庶民や奴隷どもは、それに反抗していてな」
「血が必要なら、オレが出しましょうか? それでこの争いを一時停戦ということで、どうです?」
龍一郎はマジメにそう言ったのだが、騎士は笑った。笑うと恰幅の良いカラダが、小刻みに振動していた。
「修道院に立てこもっている者が、おおよそ80人いる。それだけの数の血を、ひとりで補うというのは、ムリな話だ」
「そうでもないですよ。どうぞ。さっさと採血してください」
龍一郎は急いた。
こうしているあいだにも、死人が出ている。
「そこまで言うのなら、良かろう。ちょっと待っていろ。部隊を率いているケルゥさまを呼んでくる」
「お願いします」
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