不良の俺、異世界で召喚獣になる
5章1話
「俺の力について知りたい……って、どういう事だ?」
爽やかな風が吹き抜ける草原。
そこに、黒髪の少年と、橙髪の少年が向かい合っていた。
「あァ……サリスから聞いたぜェ。おめェ、スッゲェ強ェってなァ」
「それは……うん。まあ、少しは……」
「アルヴァーナのオッサンにも勝った事ォあるらしいじゃねェかァ。身体能力を上げる魔法でも使ってんのかァ?」
キョーガの問い掛けに、アグナムは首を横に振った。
「魔法ではない。俺がしているのは、ただのズルさ。体に無理矢理負担を掛けて、限界以上の力を引き出す……そんな危険な事だ」
「それってよォ、俺にもできんのかァ?」
「は?……まあ、できると思うけど……」
「やり方ァ教えてくれやァ」
不敵に笑うキョーガを見て、アグナムが不思議そうに首を傾げた。
……この男は、強い。それこそ、俺なんかよりずっと。
それなのに、さらに高みを目指して強さを求めるなんて……今に慢心している俺とは、雲泥の差だ。
なるほど……リリ姉が『最強』と呼ぶだけの事はある。
「……その前に、聞いてもいいか?」
「あァ?」
「お前は、何のために力を欲する?お前の目的は何だ?」
声を低くし、アグナムが冷たい覇気を放ちながら、威圧的に問いかける。
だが直後、その覇気を上回る鬼気が草原に溢れた。
豹変する空気に、アグナムが思わず息を呑み……そんなアグナムの様子を見て、キョーガが拳を上に突き出した。
「……男が強くなりてェって思う理由なんざァ、1つしかねェだろォ?」
「……何だ?」
「俺の存在を必要としてくれる女がいるゥ。俺の存在を愛してくれる女がいるゥ……ソイツらを守る力が欲しいんだァ。いくら強くなっても足りねェ……もっと欲しいのさァ。大切なアイツらを守れるほどのォ、圧倒的なまでの力がァ……!」
瞳を輝かせながら、キョーガが獰猛に笑う。
そんなキョーガに何を見たのか、ふっと、アグナムの肩から力が抜けた。
「……不思議だな。大切な人を守りたいってだけなのに、スゴく遠い目標に感じる」
「あァ、守るってのァ遠い目標なのさァ。今から全力で頑張っても達成できるかわかんねェ。だからァ、どんな小せェ事でもォ、強くなる可能性が少しでもあるんだったらァ、俺ァ何だってやってやるゥ」
「……いいよ、教えてやる」
口元に小さな笑みを浮かべながら、アグナムが腰にぶら下げている剣を抜いた。
そして……迷宮内で見せた、圧倒的な力……それについて話し始める。
「俺たちの体には、魔力が流れている。この魔力は……血液と同じで、体を循環しているんだ」
「へェ……そうだったのかァ」
「俺がやっているのは、流れている魔力を無理矢理1ヶ所に留めて、筋肉と無理矢理結びつけて、身体能力や筋力を無理矢理底上げする……そんな無理矢理だらけの危険な事なんだ」
言いながら、アグナムが剣を振り上げた。
ゆっくりと目を閉じ―――カッと見開いて、勢い良く剣を振り下ろす。
それだけで暴風が吹き荒れ―――地面に亀裂が走った。
「うっ―――ふぅぅぅ……!……魔力は、血液と同じだ。俺がやっているのは、流れている血液を1ヶ所に留めるのと同じ事……当然、体への負担は大きい。使った直後は……倦怠感がヒドイ」
「はーなるほどなァ……イメージは『焼却角砲』と同じ感じかァ」
言いながら、キョーガが……魔力を右手に集中させる。
……イメージだ。体を流れている魔力が右手で塞き止められ、魔力と筋肉が結びつくイメージ……!
―――チリッと、肌が焼けるような感覚。
視線を落とし―――魔力が集中している右手が、紫色の輝きを放っている事に気づく。
だがそれも一瞬の話。
意識が『魔力を止める事』から逸れた瞬間、紫の輝きが霧散した。
「うっ―――チッ……なるほどなァ、流れてる魔力を炎に変える『焼却角砲』と違ってェ、流れてる魔力を無理矢理止めるから負担が掛かるのかァ……」
止まっていた魔力が身体中に流れ始め……くらっと、貧血のような症状を起こす。
顔に手を当てて、体調が回復するのを待ち……ふと、アグナムが静かな事に気づいた。
「あァ?どうしたァ?」
「……いや……『付属魔力』を1回で成功させるなんて……キョーガは、天才なのか?」
「……まァ、俺ァ『種族能力』で魔力の操作に慣れてっからなァ」
さすが。としか言えないセンスだ。
アグナムが数ヶ月かけてやっと身に付けた唯一の武器を、たった一瞬で自分の武器にするなんて。
「……そういやァ、おめェの姉ちゃんは大丈夫なのかァ?見た感じィ、かなり重傷っぽかったがァ」
「ああ……『機巧族』の少女のおかげで、なんとか大丈夫だった」
―――現在の状況を説明しておこう。
『神精族』の『禁忌箱』を討伐し、王宮で『魔物の波』について説明されたキョーガたちは……その後、王宮を出て、シャーロットのお見舞いに行った。
そこでカミールやアグナムと出会い、サリスからアグナムの力について聞いていたキョーガが、アグナムを誘って国外へ出て……現在に至る。
「……んでェ、おめェらァ今日どうするんだァ?宿でも探すのかァ?」
「そうなるかな。リリ姉の家に泊まれたらよかったんだけど……満室みたいだし」
「悪ィなァ。誰も『サモンワールド』に帰らねェからよォ」
「いい事だ。それだけリリ姉が愛されているって事だし」
「そうなるんかねェ」
再度、流れている魔力を止める―――『付属魔力』を試そうと、キョーガが意識を集中。
再び肌が焼けるような感覚を覚え―――キョーガの右手が、紫に輝き始める。
「ふゥ……この『付属魔力』ってのァ、力の強化がメインなのかァ」
「まあ、そうだな。それと、肉体の頑丈さも底上げできるんだが……元から力が強いキョーガには、あんまり使えないかもな」
「……肉体の頑丈さって何だァ?」
「そのままの意味さ……見てろ」
アグナムの左腕が紫色に輝き始め―――その左腕に向かって、右手の剣を振った。
いきなり何をしているんだ?!とキョーガが剣を止めようとして―――ガキンッ!と、突如聞こえた金属音に身を硬直させる。
音の出所は―――アグナムの左腕。
『付属魔力』した左腕の筋肉が、剣の強度すらも上回っていたのだ。
「……それァ、どういう事だァ?」
「『付属魔力』で肉体の強度を無理矢理底上げした。強度の底上げは少しコツが必要だけど……使えるようになれば、便利だぞ。それでは、俺はそろそろ失礼する」
「あァ。色々教えてくれてサンキューなァ」
剣を収め、手を振りながら、アグナムが『プロキニシア』へと消えていく。
そんなアグナムの姿を見送りながら……キョーガは、もう一度『付属魔力』試す事にした。
―――――――――――――――――――――――――
「……それで、気が付いたらこの時間だった…って事ですぅ?」
「あァいやそうじゃなくてなァ……いやその通りなんだがァ……」
―――深夜のリビング。
夢中で『付属魔力』の練習をしていたキョーガは……この時間まで、ずっと草原にいた。
辺りが暗くなっている事には気づいていたのだが、もう1回、もう1回だけ……としている間に、深夜になっていたのだ。
「……悪かったなァ。夜飯作れなくてよォ」
「それはボクじゃなくてご主人様たちに言うべきですよぉ……誰も料理ができないから、みんなでご飯を食べに行ってましたからねぇ」
「……あァ」
「それと、ご主人様には特に謝っておいた方がいいですよぉ?……キョーガが帰ってこなくて、スゴく心配してましたから」
青髪少女の言葉に、キョーガがため息を吐きながら頬を掻いた。
「……心配されるほどォ、弱くはねェつもりなんだがァ」
「そういう問題じゃないんですよぉ……キョーガは確かに強いですけどぉ、だからって心配しないわけじゃないですよぉ」
「……まァ、そうかも知れねェがァ……」
「……反省してるなら、これ以上は何も言いませんよぉ……それで、ご主人様の弟と何を話してきたんですぅ?」
「んやァ、サリスが言ってただろォ?アグナムが強ェってなァ。何が原因で強ェのか気になってェ、色々と聞いてたんだよォ」
言いながら、キョーガが『付属魔力』を発動。
キョーガの筋肉と、流れを止めた魔力が結び付き始め……キョーガの右腕が、紫色に輝き始めた。
さすがのアルマも、『付属魔力』は見た事がなかったのだろう。驚いて目を丸くしている。
「……それは、何ですぅ?」
「流れる魔力を無理矢理止めてェ、筋肉と結びつけて身体能力を底上げする『付属魔力』っつー方法らしいんだァ……アグナムの力の原因はァ、これで無理矢理力を底上げしてるからって言ってたなァ」
「魔力を止めるって……大丈夫なんですぅ?」
「使った後は貧血みてェな症状が起きるがァ……まァ、気になるほどでもねェなァ」
「そうですかぁ……ところでキョーガ、迷宮内で約束した事……覚えてますぅ?」
若干顔を赤くさせながら、アルマが上目遣いに問いかける。
そんなアルマの顔を見て……キョーガは思い出した。
―――迷宮内で、アルマの子孫を残す事に協力すると言った事を。
「ァ……あァ。覚えてるゥ」
「……それじゃあ、ボクは部屋で待ってますよぉ……お風呂、入ってきてくださいぃ……」
「……あァ」
耳まで真っ赤にしたアルマの横を通り過ぎ……キョーガは、風呂場へと向かった。
爽やかな風が吹き抜ける草原。
そこに、黒髪の少年と、橙髪の少年が向かい合っていた。
「あァ……サリスから聞いたぜェ。おめェ、スッゲェ強ェってなァ」
「それは……うん。まあ、少しは……」
「アルヴァーナのオッサンにも勝った事ォあるらしいじゃねェかァ。身体能力を上げる魔法でも使ってんのかァ?」
キョーガの問い掛けに、アグナムは首を横に振った。
「魔法ではない。俺がしているのは、ただのズルさ。体に無理矢理負担を掛けて、限界以上の力を引き出す……そんな危険な事だ」
「それってよォ、俺にもできんのかァ?」
「は?……まあ、できると思うけど……」
「やり方ァ教えてくれやァ」
不敵に笑うキョーガを見て、アグナムが不思議そうに首を傾げた。
……この男は、強い。それこそ、俺なんかよりずっと。
それなのに、さらに高みを目指して強さを求めるなんて……今に慢心している俺とは、雲泥の差だ。
なるほど……リリ姉が『最強』と呼ぶだけの事はある。
「……その前に、聞いてもいいか?」
「あァ?」
「お前は、何のために力を欲する?お前の目的は何だ?」
声を低くし、アグナムが冷たい覇気を放ちながら、威圧的に問いかける。
だが直後、その覇気を上回る鬼気が草原に溢れた。
豹変する空気に、アグナムが思わず息を呑み……そんなアグナムの様子を見て、キョーガが拳を上に突き出した。
「……男が強くなりてェって思う理由なんざァ、1つしかねェだろォ?」
「……何だ?」
「俺の存在を必要としてくれる女がいるゥ。俺の存在を愛してくれる女がいるゥ……ソイツらを守る力が欲しいんだァ。いくら強くなっても足りねェ……もっと欲しいのさァ。大切なアイツらを守れるほどのォ、圧倒的なまでの力がァ……!」
瞳を輝かせながら、キョーガが獰猛に笑う。
そんなキョーガに何を見たのか、ふっと、アグナムの肩から力が抜けた。
「……不思議だな。大切な人を守りたいってだけなのに、スゴく遠い目標に感じる」
「あァ、守るってのァ遠い目標なのさァ。今から全力で頑張っても達成できるかわかんねェ。だからァ、どんな小せェ事でもォ、強くなる可能性が少しでもあるんだったらァ、俺ァ何だってやってやるゥ」
「……いいよ、教えてやる」
口元に小さな笑みを浮かべながら、アグナムが腰にぶら下げている剣を抜いた。
そして……迷宮内で見せた、圧倒的な力……それについて話し始める。
「俺たちの体には、魔力が流れている。この魔力は……血液と同じで、体を循環しているんだ」
「へェ……そうだったのかァ」
「俺がやっているのは、流れている魔力を無理矢理1ヶ所に留めて、筋肉と無理矢理結びつけて、身体能力や筋力を無理矢理底上げする……そんな無理矢理だらけの危険な事なんだ」
言いながら、アグナムが剣を振り上げた。
ゆっくりと目を閉じ―――カッと見開いて、勢い良く剣を振り下ろす。
それだけで暴風が吹き荒れ―――地面に亀裂が走った。
「うっ―――ふぅぅぅ……!……魔力は、血液と同じだ。俺がやっているのは、流れている血液を1ヶ所に留めるのと同じ事……当然、体への負担は大きい。使った直後は……倦怠感がヒドイ」
「はーなるほどなァ……イメージは『焼却角砲』と同じ感じかァ」
言いながら、キョーガが……魔力を右手に集中させる。
……イメージだ。体を流れている魔力が右手で塞き止められ、魔力と筋肉が結びつくイメージ……!
―――チリッと、肌が焼けるような感覚。
視線を落とし―――魔力が集中している右手が、紫色の輝きを放っている事に気づく。
だがそれも一瞬の話。
意識が『魔力を止める事』から逸れた瞬間、紫の輝きが霧散した。
「うっ―――チッ……なるほどなァ、流れてる魔力を炎に変える『焼却角砲』と違ってェ、流れてる魔力を無理矢理止めるから負担が掛かるのかァ……」
止まっていた魔力が身体中に流れ始め……くらっと、貧血のような症状を起こす。
顔に手を当てて、体調が回復するのを待ち……ふと、アグナムが静かな事に気づいた。
「あァ?どうしたァ?」
「……いや……『付属魔力』を1回で成功させるなんて……キョーガは、天才なのか?」
「……まァ、俺ァ『種族能力』で魔力の操作に慣れてっからなァ」
さすが。としか言えないセンスだ。
アグナムが数ヶ月かけてやっと身に付けた唯一の武器を、たった一瞬で自分の武器にするなんて。
「……そういやァ、おめェの姉ちゃんは大丈夫なのかァ?見た感じィ、かなり重傷っぽかったがァ」
「ああ……『機巧族』の少女のおかげで、なんとか大丈夫だった」
―――現在の状況を説明しておこう。
『神精族』の『禁忌箱』を討伐し、王宮で『魔物の波』について説明されたキョーガたちは……その後、王宮を出て、シャーロットのお見舞いに行った。
そこでカミールやアグナムと出会い、サリスからアグナムの力について聞いていたキョーガが、アグナムを誘って国外へ出て……現在に至る。
「……んでェ、おめェらァ今日どうするんだァ?宿でも探すのかァ?」
「そうなるかな。リリ姉の家に泊まれたらよかったんだけど……満室みたいだし」
「悪ィなァ。誰も『サモンワールド』に帰らねェからよォ」
「いい事だ。それだけリリ姉が愛されているって事だし」
「そうなるんかねェ」
再度、流れている魔力を止める―――『付属魔力』を試そうと、キョーガが意識を集中。
再び肌が焼けるような感覚を覚え―――キョーガの右手が、紫に輝き始める。
「ふゥ……この『付属魔力』ってのァ、力の強化がメインなのかァ」
「まあ、そうだな。それと、肉体の頑丈さも底上げできるんだが……元から力が強いキョーガには、あんまり使えないかもな」
「……肉体の頑丈さって何だァ?」
「そのままの意味さ……見てろ」
アグナムの左腕が紫色に輝き始め―――その左腕に向かって、右手の剣を振った。
いきなり何をしているんだ?!とキョーガが剣を止めようとして―――ガキンッ!と、突如聞こえた金属音に身を硬直させる。
音の出所は―――アグナムの左腕。
『付属魔力』した左腕の筋肉が、剣の強度すらも上回っていたのだ。
「……それァ、どういう事だァ?」
「『付属魔力』で肉体の強度を無理矢理底上げした。強度の底上げは少しコツが必要だけど……使えるようになれば、便利だぞ。それでは、俺はそろそろ失礼する」
「あァ。色々教えてくれてサンキューなァ」
剣を収め、手を振りながら、アグナムが『プロキニシア』へと消えていく。
そんなアグナムの姿を見送りながら……キョーガは、もう一度『付属魔力』試す事にした。
―――――――――――――――――――――――――
「……それで、気が付いたらこの時間だった…って事ですぅ?」
「あァいやそうじゃなくてなァ……いやその通りなんだがァ……」
―――深夜のリビング。
夢中で『付属魔力』の練習をしていたキョーガは……この時間まで、ずっと草原にいた。
辺りが暗くなっている事には気づいていたのだが、もう1回、もう1回だけ……としている間に、深夜になっていたのだ。
「……悪かったなァ。夜飯作れなくてよォ」
「それはボクじゃなくてご主人様たちに言うべきですよぉ……誰も料理ができないから、みんなでご飯を食べに行ってましたからねぇ」
「……あァ」
「それと、ご主人様には特に謝っておいた方がいいですよぉ?……キョーガが帰ってこなくて、スゴく心配してましたから」
青髪少女の言葉に、キョーガがため息を吐きながら頬を掻いた。
「……心配されるほどォ、弱くはねェつもりなんだがァ」
「そういう問題じゃないんですよぉ……キョーガは確かに強いですけどぉ、だからって心配しないわけじゃないですよぉ」
「……まァ、そうかも知れねェがァ……」
「……反省してるなら、これ以上は何も言いませんよぉ……それで、ご主人様の弟と何を話してきたんですぅ?」
「んやァ、サリスが言ってただろォ?アグナムが強ェってなァ。何が原因で強ェのか気になってェ、色々と聞いてたんだよォ」
言いながら、キョーガが『付属魔力』を発動。
キョーガの筋肉と、流れを止めた魔力が結び付き始め……キョーガの右腕が、紫色に輝き始めた。
さすがのアルマも、『付属魔力』は見た事がなかったのだろう。驚いて目を丸くしている。
「……それは、何ですぅ?」
「流れる魔力を無理矢理止めてェ、筋肉と結びつけて身体能力を底上げする『付属魔力』っつー方法らしいんだァ……アグナムの力の原因はァ、これで無理矢理力を底上げしてるからって言ってたなァ」
「魔力を止めるって……大丈夫なんですぅ?」
「使った後は貧血みてェな症状が起きるがァ……まァ、気になるほどでもねェなァ」
「そうですかぁ……ところでキョーガ、迷宮内で約束した事……覚えてますぅ?」
若干顔を赤くさせながら、アルマが上目遣いに問いかける。
そんなアルマの顔を見て……キョーガは思い出した。
―――迷宮内で、アルマの子孫を残す事に協力すると言った事を。
「ァ……あァ。覚えてるゥ」
「……それじゃあ、ボクは部屋で待ってますよぉ……お風呂、入ってきてくださいぃ……」
「……あァ」
耳まで真っ赤にしたアルマの横を通り過ぎ……キョーガは、風呂場へと向かった。
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