異世界転移者はお尋ね者
アリシエ・オルレアン ⑤
私はアキトを背負ったまま中庭に出る。
それまでに出会った衛兵達は突き飛ばし、力ずくでここまで来た。
しかし、その中庭にはあの青年が佇んでいた。
「アーシェ…君は自分が何をしているのかわかっているのか?」
キリエスはその瞳は随分と悲しそうな色をして私に問いかける。
私はギリッと歯ぎしりする。
「キリエスっ、あなた、私を騙してどうするつもりだったの?」
「騙した、か。
そうかもしれないが、君の為でもあったはずだ。
ここで起きた事を知れば、今のような状況になっていた訳だろう?
君こそ、これからどうするつもりだ。
聖騎士はもう続けられないぞ。
聖協会に仇名し、そこの彼と共に我々に追われる身になる。
いや、そもそも、ここから逃げる事も叶わず牢獄に入れられる囚人になってしまうんだ」
キリエスは私に訴えかける。
「わかるだろう?
君の今している事は反逆行為だ。
今、彼を置いてこの場を立ち去れば、それこそ魅了のせいだ、と証言もできる。
それでも罪は無くなりはしないだろうが、幾分かは罪も軽くなるはずだ」
それを聞いて私はキリエスを鋭く睨みつける。
「お断りよ。
キリエス、そこを退いて。
退かないなら…」
「退かないなら?」
私はそっと、アキトを下ろす。
そして腰の剣に手をかける。
「力尽くで、押し通る」
キリエスは私をジッと見つめて溜息をつく。
「本気で言っているのか?悪いが、君の力では遠く僕には及ばないぞ」
「そうかしら?」
私は不適に笑う。
キリエスはそんな私を憐れむような眼差しを向けてくる。
「模擬戦の時とは違うんだ。あの時から随分と経った。
君と僕との差はもう埋まる事はない」
私はキリエスの言葉を無視して、チラリとアキトを見て声をかける。
「アキト、立てる?私が道を開くわ。
だから、あなただけでもここから逃げて…」
「二人とも、逃がしはしない。
力尽くで押し通りたいのなら、やってみると良い。
受けて立つ」
キリエスは剣には手をかけず、身構える。
そして膨大な魔力が吹き荒れる。
彼は周りの衛兵達に離れるように手を振ると、みなその場から遠ざかる。
誰も成し得れなかった四属性を扱うクアッドエレメンタリストにして、聖騎士歴代最強の騎士。
その力が解放される。
「アキトっ!立って!」
私は叫ぶ。
しかし、アキトの反応が無い。
意識はあるはずのに…彼の精神が深刻なまでに破壊されているのか?
この場から今すぐ離れてもらわなければ…私達の戦いにまで巻き込まれる。
「彼はどうやらただのお荷物になっているようだ。
ただでさえ劣勢なのに、移転者の支援無しで君は僕に立ち向かうのかい?」
覚悟を決めるしかない。
手を貸して欲しいとは思っていない。
ただ、私が時間を稼いでいる間に逃げてさえくれれば良かったのだが…。
それが叶わないなら、目の前の敵を討つ他にない!
「…もとより、あなたの相手は私一人で十分よ。
‟オーバーリミットアーツ”!!!」
アーシェの瞳が金色に輝き、その引き金が引かれた事を示す。
そして吹き荒れるのは闘気の渦。
自分の身体能力と技能の限界を超えるそのトリガーが引かれたのだ。
そして地面を駆ける。
その速さは疾風を超え、一瞬でキリエスの目の前に迫る。
容赦のない一閃がキリエスを襲うが、次の瞬間にキリエスの姿が掻き消える。
そこには紫電だけが残され、私の一閃は空を切る。
そして背中から襲い掛かる拳に辛うじて反応し、もう一度剣を振るう。
やはりその場にキリエスの姿は無く、紫電を残して新たな攻撃が襲いかかってくる。
振り返る間もなく、脇腹に衝撃が走る。
次いで顎を打ち抜かれ、身体が宙に浮く。
私は虚空を蹴ってその場から離脱し、地面に足をつける。
そして目に映るのは紫の雷を纏ったキリエスの姿。
その身体そのものが雷と一体化している。
「…降参するかい?」
そう…これがキリエス・ヴァレンシュタインの力。
魔法を極め、それを身体に宿し、力を放つ。
誰も扱う事の出来ない極技。
火、水、雷、風と四つの属性にその身体そのものが変わる。
その状態で実体を捉える事は至難。
特に雷を纏った身体の速度はまさに雷速と同等。
私は答えず、また地面を蹴る。
紫電がまた見える。
目に頼っていては遅すぎる。
私は神経を集中し、限界突破による知覚高速化によってその見えない攻撃に反応する。
一撃、二撃とキリエスの拳を回避するが、三撃目は私を捉え、そして今度はその拳から暴風が吹き荒れる。
私は身体が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「…もうやめにしよう。これでも手加減はしているんだ」
キリエスは身構える事すらせず、こちらを憐れむように見てくる。
私は足に力を入れ、震える膝を叩く。
視界も明滅するが、首を振って元に戻す。
強い…。
わかっていたが、聖騎士最強は伊達ではない。
しかし、ここで私が倒れる訳にはいかない。
剣を地面に突き刺し、立ち上がる。
キリエスはそんな私の姿に溜息をつき、その姿が掻き消える。
今度は紅蓮の炎を残して。
私は危険を察知し、「‟光の羽衣”!」と叫びながら唱える。
光の防護が私を纏った瞬間、キリエスの掌底が私の顎に放たれた。
そして私の視界は炎に包まれ、爆風でまたも壁に叩きつかれる。
さらにそこに打ち込まれる雷速の拳。
あまりの速度の連撃にマナが一気に削られるのがわかる。
まずい、このままでは意識が…また…。
いや、まだだ…。
まだ、負けてはいけない。
負ける訳にはいかないっ!
「‟オーバーリミットマギカ”ァッ!!!」
私は叫び、禁断の限界突破同時発動を行う。
もはやマナは枯渇寸前だが、限界突破によってマナを無くしても尚膨大な魔力が吹き荒れ始める。
それを意味するのは自身の命を削る事に他ならない。
「‟光の剣をここに”!!!」
私は詠唱し、自分の周りに二十の光の剣を作り出す。
「‟ラディウス・ラーミナ”!!!」
それぞれが意思を持つように、二十の刃はキリエスを襲う。
あまりの出来事にキリエスは目を見開き、すぐさま腰の剣に手を伸ばす。
そのわずかな隙をみてその場を瞬時に離脱した私は更に詠唱する。
「‟光の槍をここに”」
手を掲げる。
そこに現れるのは十三の槍。
「やめろっ!アーシェ、それ以上魔法を使うなっ!!」
キリエスは剣を引き抜き、襲い掛かる二十の光の刃をすべて打ち落とす。
「死ぬぞっ!アーシェッ!」
「‟ラディウス・ジャベリン”!!!」
突き出した手の方向に放たれる閃光の槍。
放った瞬間に吐血する。
身体についにガタがき始めた。
だが、まだ意識は失えない。
戦うのを止める訳にはいかない。
「‟光の…竜を…ここ…”」
唱え終える前に、私の意識が闇に落ちる。
私の身体はゆっくりと地面へ落ちる。
放った槍がどうなったのかはわからない。
きっと当たっていなかっただろう、と私は思った。
そして深い闇に落ちる。
ダメだ。
意識を失っては…。
倒れてはダメだ…。
まだ、戦いは終わって…いない…。
私はその場に倒れこむ。
薄れゆく意識の中、その闇の中で私は考える。
なぜ、自分はこうまでしてアキトを守ろうとしているのだ、と。
なぜ、自分が立ち上がれない程になっても、まだ立たねばと思うのか、と。
その強い気持ちと、思いは、どこからきているのか、と。
私は故郷を失った。
聖騎士になったのも、あの街を、その人々を守りたかったからだ。
ずっと守り続けていた父に憧れ、いつか自分もそうなるのだ、と追い続け、ついに到達した。
けれど、結局私は何一つ守る事は出来ず、その全てを失ってしまった。
そんな自分の傍に、アキトはいた。
アキトの言葉を思い出す。
『何をどうしても、過去は変えられないし、命も戻らない』
『今は…辛くて、苦しくて、泣きたくなると思うけれど、
いつか前を向ける日がくる。
『仕方なかった』と、諦めと明らめが自分を前に進めてくれる』
『それまではしんどいと思うけど…頑張れ、アーシェ』
あの言葉に…私は救われた。
あんなぶっきらぼうな言い方で、最後は投げやりの言葉だったが、それでも全てを失った私の心に確かに響いた。
それは、バラバラになった私の心の一欠片を優しく拾ってくれたようなものだ。
少しづつでいいから、その心を戻せば良い、そう言ってくれた気がした。
きっと、あそこから全ては始まった。
あれがなければ、私の心はとうの昔に折れて、きっと炎に飲み込まれたのだろう。
だから私は…あなたの事が…。
「あなたの事だけは…諦められない…っ」
私の口から洩れた言葉に何かが反応する。
ピキリッと自分の中で何かがひび割れる。
そして視界が、世界が、何もかもが生まれ変わる。
立ち上がった私の姿を唖然と見つめるキリエス。
私は何秒意識を失っていた?いや、一瞬なのだろうか?
しかし、もう身体のどこも痛くない。
枯渇して空っぽのマナも、今は尽きる事のない井戸のように溢れかえっている。
自分の両手を見つめる。
これは…この力は…?
「馬鹿な…君もなのか…?
いや、その力は、英雄のそれじゃないっ。
まさか、君は!?」
キリエスは目を見開いて私を見る。
私は自分の瞳が熱くなるのを感じる。
急に…目が熱く…っ。
そして、頭に声が響く。
『覇眼ヴァルキュリアが開眼しました。
新たな勇者よ、我らに指示を』
それまでに出会った衛兵達は突き飛ばし、力ずくでここまで来た。
しかし、その中庭にはあの青年が佇んでいた。
「アーシェ…君は自分が何をしているのかわかっているのか?」
キリエスはその瞳は随分と悲しそうな色をして私に問いかける。
私はギリッと歯ぎしりする。
「キリエスっ、あなた、私を騙してどうするつもりだったの?」
「騙した、か。
そうかもしれないが、君の為でもあったはずだ。
ここで起きた事を知れば、今のような状況になっていた訳だろう?
君こそ、これからどうするつもりだ。
聖騎士はもう続けられないぞ。
聖協会に仇名し、そこの彼と共に我々に追われる身になる。
いや、そもそも、ここから逃げる事も叶わず牢獄に入れられる囚人になってしまうんだ」
キリエスは私に訴えかける。
「わかるだろう?
君の今している事は反逆行為だ。
今、彼を置いてこの場を立ち去れば、それこそ魅了のせいだ、と証言もできる。
それでも罪は無くなりはしないだろうが、幾分かは罪も軽くなるはずだ」
それを聞いて私はキリエスを鋭く睨みつける。
「お断りよ。
キリエス、そこを退いて。
退かないなら…」
「退かないなら?」
私はそっと、アキトを下ろす。
そして腰の剣に手をかける。
「力尽くで、押し通る」
キリエスは私をジッと見つめて溜息をつく。
「本気で言っているのか?悪いが、君の力では遠く僕には及ばないぞ」
「そうかしら?」
私は不適に笑う。
キリエスはそんな私を憐れむような眼差しを向けてくる。
「模擬戦の時とは違うんだ。あの時から随分と経った。
君と僕との差はもう埋まる事はない」
私はキリエスの言葉を無視して、チラリとアキトを見て声をかける。
「アキト、立てる?私が道を開くわ。
だから、あなただけでもここから逃げて…」
「二人とも、逃がしはしない。
力尽くで押し通りたいのなら、やってみると良い。
受けて立つ」
キリエスは剣には手をかけず、身構える。
そして膨大な魔力が吹き荒れる。
彼は周りの衛兵達に離れるように手を振ると、みなその場から遠ざかる。
誰も成し得れなかった四属性を扱うクアッドエレメンタリストにして、聖騎士歴代最強の騎士。
その力が解放される。
「アキトっ!立って!」
私は叫ぶ。
しかし、アキトの反応が無い。
意識はあるはずのに…彼の精神が深刻なまでに破壊されているのか?
この場から今すぐ離れてもらわなければ…私達の戦いにまで巻き込まれる。
「彼はどうやらただのお荷物になっているようだ。
ただでさえ劣勢なのに、移転者の支援無しで君は僕に立ち向かうのかい?」
覚悟を決めるしかない。
手を貸して欲しいとは思っていない。
ただ、私が時間を稼いでいる間に逃げてさえくれれば良かったのだが…。
それが叶わないなら、目の前の敵を討つ他にない!
「…もとより、あなたの相手は私一人で十分よ。
‟オーバーリミットアーツ”!!!」
アーシェの瞳が金色に輝き、その引き金が引かれた事を示す。
そして吹き荒れるのは闘気の渦。
自分の身体能力と技能の限界を超えるそのトリガーが引かれたのだ。
そして地面を駆ける。
その速さは疾風を超え、一瞬でキリエスの目の前に迫る。
容赦のない一閃がキリエスを襲うが、次の瞬間にキリエスの姿が掻き消える。
そこには紫電だけが残され、私の一閃は空を切る。
そして背中から襲い掛かる拳に辛うじて反応し、もう一度剣を振るう。
やはりその場にキリエスの姿は無く、紫電を残して新たな攻撃が襲いかかってくる。
振り返る間もなく、脇腹に衝撃が走る。
次いで顎を打ち抜かれ、身体が宙に浮く。
私は虚空を蹴ってその場から離脱し、地面に足をつける。
そして目に映るのは紫の雷を纏ったキリエスの姿。
その身体そのものが雷と一体化している。
「…降参するかい?」
そう…これがキリエス・ヴァレンシュタインの力。
魔法を極め、それを身体に宿し、力を放つ。
誰も扱う事の出来ない極技。
火、水、雷、風と四つの属性にその身体そのものが変わる。
その状態で実体を捉える事は至難。
特に雷を纏った身体の速度はまさに雷速と同等。
私は答えず、また地面を蹴る。
紫電がまた見える。
目に頼っていては遅すぎる。
私は神経を集中し、限界突破による知覚高速化によってその見えない攻撃に反応する。
一撃、二撃とキリエスの拳を回避するが、三撃目は私を捉え、そして今度はその拳から暴風が吹き荒れる。
私は身体が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「…もうやめにしよう。これでも手加減はしているんだ」
キリエスは身構える事すらせず、こちらを憐れむように見てくる。
私は足に力を入れ、震える膝を叩く。
視界も明滅するが、首を振って元に戻す。
強い…。
わかっていたが、聖騎士最強は伊達ではない。
しかし、ここで私が倒れる訳にはいかない。
剣を地面に突き刺し、立ち上がる。
キリエスはそんな私の姿に溜息をつき、その姿が掻き消える。
今度は紅蓮の炎を残して。
私は危険を察知し、「‟光の羽衣”!」と叫びながら唱える。
光の防護が私を纏った瞬間、キリエスの掌底が私の顎に放たれた。
そして私の視界は炎に包まれ、爆風でまたも壁に叩きつかれる。
さらにそこに打ち込まれる雷速の拳。
あまりの速度の連撃にマナが一気に削られるのがわかる。
まずい、このままでは意識が…また…。
いや、まだだ…。
まだ、負けてはいけない。
負ける訳にはいかないっ!
「‟オーバーリミットマギカ”ァッ!!!」
私は叫び、禁断の限界突破同時発動を行う。
もはやマナは枯渇寸前だが、限界突破によってマナを無くしても尚膨大な魔力が吹き荒れ始める。
それを意味するのは自身の命を削る事に他ならない。
「‟光の剣をここに”!!!」
私は詠唱し、自分の周りに二十の光の剣を作り出す。
「‟ラディウス・ラーミナ”!!!」
それぞれが意思を持つように、二十の刃はキリエスを襲う。
あまりの出来事にキリエスは目を見開き、すぐさま腰の剣に手を伸ばす。
そのわずかな隙をみてその場を瞬時に離脱した私は更に詠唱する。
「‟光の槍をここに”」
手を掲げる。
そこに現れるのは十三の槍。
「やめろっ!アーシェ、それ以上魔法を使うなっ!!」
キリエスは剣を引き抜き、襲い掛かる二十の光の刃をすべて打ち落とす。
「死ぬぞっ!アーシェッ!」
「‟ラディウス・ジャベリン”!!!」
突き出した手の方向に放たれる閃光の槍。
放った瞬間に吐血する。
身体についにガタがき始めた。
だが、まだ意識は失えない。
戦うのを止める訳にはいかない。
「‟光の…竜を…ここ…”」
唱え終える前に、私の意識が闇に落ちる。
私の身体はゆっくりと地面へ落ちる。
放った槍がどうなったのかはわからない。
きっと当たっていなかっただろう、と私は思った。
そして深い闇に落ちる。
ダメだ。
意識を失っては…。
倒れてはダメだ…。
まだ、戦いは終わって…いない…。
私はその場に倒れこむ。
薄れゆく意識の中、その闇の中で私は考える。
なぜ、自分はこうまでしてアキトを守ろうとしているのだ、と。
なぜ、自分が立ち上がれない程になっても、まだ立たねばと思うのか、と。
その強い気持ちと、思いは、どこからきているのか、と。
私は故郷を失った。
聖騎士になったのも、あの街を、その人々を守りたかったからだ。
ずっと守り続けていた父に憧れ、いつか自分もそうなるのだ、と追い続け、ついに到達した。
けれど、結局私は何一つ守る事は出来ず、その全てを失ってしまった。
そんな自分の傍に、アキトはいた。
アキトの言葉を思い出す。
『何をどうしても、過去は変えられないし、命も戻らない』
『今は…辛くて、苦しくて、泣きたくなると思うけれど、
いつか前を向ける日がくる。
『仕方なかった』と、諦めと明らめが自分を前に進めてくれる』
『それまではしんどいと思うけど…頑張れ、アーシェ』
あの言葉に…私は救われた。
あんなぶっきらぼうな言い方で、最後は投げやりの言葉だったが、それでも全てを失った私の心に確かに響いた。
それは、バラバラになった私の心の一欠片を優しく拾ってくれたようなものだ。
少しづつでいいから、その心を戻せば良い、そう言ってくれた気がした。
きっと、あそこから全ては始まった。
あれがなければ、私の心はとうの昔に折れて、きっと炎に飲み込まれたのだろう。
だから私は…あなたの事が…。
「あなたの事だけは…諦められない…っ」
私の口から洩れた言葉に何かが反応する。
ピキリッと自分の中で何かがひび割れる。
そして視界が、世界が、何もかもが生まれ変わる。
立ち上がった私の姿を唖然と見つめるキリエス。
私は何秒意識を失っていた?いや、一瞬なのだろうか?
しかし、もう身体のどこも痛くない。
枯渇して空っぽのマナも、今は尽きる事のない井戸のように溢れかえっている。
自分の両手を見つめる。
これは…この力は…?
「馬鹿な…君もなのか…?
いや、その力は、英雄のそれじゃないっ。
まさか、君は!?」
キリエスは目を見開いて私を見る。
私は自分の瞳が熱くなるのを感じる。
急に…目が熱く…っ。
そして、頭に声が響く。
『覇眼ヴァルキュリアが開眼しました。
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