二番目(セカンド)の刹那

Lot

4月16日②《って、スポンジ……》

「小波? 何、今の音は」


 頭上から日菜の声が聞こえた。窓からこっちを覗き込んでいる。


「えっと……とりあえずそっちに行くよ」
「そう」


 家に戻って、日菜の部屋に行った。


「で、さっきの何だったの? 何か割れたかと思ったら足音が聞こえて小波が外に出て行ったみたいだったけど」


 ムクロとの会話は聞こえてないのか。


「六浦黒が来てたんだよ」
「六浦って、あっちのリーダーの?」
「あぁ。その六浦黒だ」
「何を言われたの?」
「簡単にまとめると……これ以上邪魔すると殺すって感じに言われた」
「ふ〜ん……」


 最近、殺すだの死ぬだのって言葉が飛び交いすぎな気がする。


「別にそう言われて何か変わるわけじゃないでしょ?」
「そうだよな」


 日菜がこう言う通り、ムクロに何か言われても今更、何も変わらない。むしろ、さっき僕が特に何もされなかった事から、ムクロ側が僕らを殺すことを躊躇している事が分かる。


「そんなことより……あたし達、ちょっと外出るわね。あんたも来る?」


 『そんなこと』って……


「何しに行くんだ?」
「ちょっと試したい事があってね」
「よく分かんないけど、暇だし着いて行くよ」
「じゃあ行くわよ。日菜」
「うん」


 日菜に連れられて家を出た。


「うーん。無いわね」
「何か探してるのか?」
「軽い感じの……発泡スチロール的なのが落ちてないかなって」
「発泡スチロール……ってこっちの世界にもあるのか?

「知らないわよ。だから発泡スチロール『的なの』って言ったでしょ」


 発泡スチロール以外で発泡スチロールっぽい物って何だろう。同じ似たような材質で容易に手に入るのは……


「家にスポンジあったけどそれじゃダメ?」
「何でそれを先に言わないのよっ! って、スポンジ……そういえばあったわね。というか昨日も使った……」
「……家に戻るか?」
「そうね……戻って取ってきて」
「…………分かったよ」


 なぜ僕がとってくるのか不満はあったが、反論するより素直にとってきた方が楽だろうと思い、家に戻った。

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