二番目(セカンド)の刹那

Lot

4月14日②《早く手伝いなさい》

「真央いるか?」


 日菜と月菜と3人で真央の家まで来た。真央の鍵が開いているようだったので、入ってみたが返事がない。


 いつもの部屋を覗き込んだ。


「真央いないのか?」


 そこには、ソファに寝ている莉奈とその前に座り込む真央の姿があった。


「真央?」


 近寄って声をかけると。真央が凄く苦しそうな顔でこちらを向いた。近くから見ると、莉奈は死んだように眠っている事が分かる。……死んだように? もしかして。


「莉奈を殺したのか?」


 勘違いかもしれない。と、思いはしたが既に僕の口はそう言っていた。


「うん……」


 真央は静かに頷いた。どういう経緯でこうなったかは分からないが、真央の表情を見れば、これが莉奈の能力で作られた物でない事も、真央が嘘を言っているわけではない事も分かる。


「そうか……」


 ……何を言うべきだろうか。


「小波、ちょっと来て。月菜も少し経ったら来てね」
「別にいいけど」


 月菜はこくり、と頷いた。


「何するんだ?」
「埋葬よ。あのままってわけにもいかないでしょ」
「埋葬って僕らがやるような事か?」
「他の誰かにやらせるとなると、真央が殺人罪で逮捕されちゃうわよ」
「それもそうか」


 この世界に警察とかいるのかは知らないけど、人を殺していいはずはない。周りには知られない方がいいだろう。日菜が素手で地面に穴を掘り始めた。


「シャベルとかないのか?」
「さぁ。あたしは知らないわ。早く手伝いなさい」
「ああ」


 素手で人のサイズ掘るのキツそうだけど、文句言わないほうがいいかな。とりあえず、手伝うか。


「……よし、こんなもんでしょ?」


 掘り始めて1分も経たないうちに日菜がそう言った。穴の大きさはというと、直径10cmほどだ。


「小さくないか?」
「そう? 『縮小リダクション』すればこんなもんでしょ」
「『縮小リダクション』するなら最初にそう言ってくれよ」


「あのさ……こっちで死んだら元の世界に戻れるのに、死体が残るのって何でだろうね」
「それは僕も思ってた。真央を疑ってるわけじゃないけど本当に莉奈は元の世界に戻ってるのかな」
「だとしたらこの体って何なのかしらね」


 ここ、どこなんだろうな。あまりにも異世界とは思えない感じだが、それで死んだら元の世界で生きてるっていうのは意味が分からない。


「お姉ちゃーん! 準備出来てる?」
「うん、ナイスタイミングだよ」


 日菜の言う通り丁度いいタイミングで月菜が真央を連れてきた。真央の手に持った小さいタオルに……莉奈が包まれているのかな。


「皐月、いいよね?」
「えぇ。私はいいわよ」


 真央がそのタオルをさっき掘った穴の中に入れると、上から土を被せた。


「さて、とりあえず戻りましょ」

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