風、音、あの時
始まりはクライマックス
 7歳年上の彼氏に振られた。学校帰り、駅のホームでスマホの画面を眺めながら涙を流した。「遊ばれてるんじゃないの」なんて友だちに言われても、まさか大好きなあの人がわたしのこと遊んでるなんて、そんな訳が無いでしょって、聞く耳を持たなかった。わたしは、一途で従順で可愛くて、盲目で馬鹿な女子高生だった。
 鼻から息を吸う。夏の終わり、少し涼しい風が身体の中に入ってくる。鋭くて繊細で、心をちくちくと刺すような風。わたしの中で、風と思い出は繋がって記憶されて、季節が巡ればまたこの風が吹いて、苦しい今のことを思い出してしまうんだろう。18年生きていれば、何度も恋愛を経験しているし、大好きな人との別れだってこれが初めてではない。
 電車がホームに入って来て、ゆっくり扉が開く。わたし、乗ってしまうのかあ、2駅先は元彼の勤務先の最寄り駅なのに、残酷。
 鼻から息を吸う。夏の終わり、少し涼しい風が身体の中に入ってくる。鋭くて繊細で、心をちくちくと刺すような風。わたしの中で、風と思い出は繋がって記憶されて、季節が巡ればまたこの風が吹いて、苦しい今のことを思い出してしまうんだろう。18年生きていれば、何度も恋愛を経験しているし、大好きな人との別れだってこれが初めてではない。
 電車がホームに入って来て、ゆっくり扉が開く。わたし、乗ってしまうのかあ、2駅先は元彼の勤務先の最寄り駅なのに、残酷。
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