僕は間違っている

ヤミリ

20話

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「千夏、これを」
私は颯海にスマホとユーエスビーメモリを渡された。その時一緒に、彼杵のお守りに付いていた筈の鈴も颯海のポケットから出てきていたことを私は見逃さなかった。
『彼杵奪還作戦』で、失踪事件は解決したかのようにみえた。しかし現実は残酷で、獅恩はこの事件とは関係が無かった。ずっと警察に事情を説明したりしていたので、颯海のお見舞いには行けなかった。
私は獅恩の転校初日から、男子には秘密で珠里に尾行を頼んでいた。けれどやはり失踪事件の犯人らしき証拠は出てはこなかった。
しかし新たな謎は出てきた。
「なんで颯海がこの鈴を持っているの?」
これは私がベンチの下で拾ったお守りと、ピッタリ当てはまっていた。パズルのピースのように。
私はあの時、あの瞬間、鈴をくすねてきていた。獅恩の家に出た後、一瞥して踵を返し、鈴を拾ってきた。
「彼杵は、事件前日、このお守りは持っていたはず」
────「このお守りもうボロボロだな」
と部活中にお守りを大事そうに見つめていたのを私は忘れていなかった。
「でも、これじゃあ颯海が怪しい……」
信じていたい。大切な友達。好きな人の好きな人でも、憎めない程良い人なんだ。
真実を確かめるため、颯海のスマホを握り締める。
「見るしか、ないわね。確かパスワードは、颯海の誕生日」
『1124』と番号を打つ。すると直ぐに開かれ、メッセージ画面が出てくる。
「彼杵とのやり取りは、あった!」

────日付 五月九日 十一時二十八分「颯海、今家にいるんだ。会えないか?」

────「分かった。迎えに行く」

どういうこと? 最後に彼杵と会ったのは、颯海だった? このお守りの鈴もそう。普通、会わなければ持っていられる筈がない。
疑惑が確信へと変わっていく。信じていたかったのに。大切な友達だったのに。颯海は嘘をついていた。何も知らない、と。
だから聞き込み調査に意欲的では無かったのか。徐々に糸が解けるように、謎が解き明かされていく。
「許さない、許さない! 彼杵を、彼杵を返せ!!」
私は倉庫に置いてあった斧を持ち、家から飛び出していった。

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