僕は間違っている

ヤミリ

16話

「この状況で何をやっているんだ!?」と、目で強く訴えるが気にも留めない。
「実は色々と準備してきたんだ」
達秋はそう言うと、手錠や目隠し、更には縄までも鞄から出し始めた。
「え、お前そういう趣味…?」
「まあまあ、やってみようぜ」
これには流石の獅恩も困り顔のようだ。当たり前だ、女の子となら大歓迎だが男同士でこれを使ってゲームなんて馬鹿げている。
あまりの勢いで説得されるので、しょうがなくゲームに付き合うことにした。
まったく、早く机の後ろを見たいのに。ん? 待てよ、この王様ゲームで命令すれば獅恩を拘束出来る。ということは、簡単に部屋を調べることが出来る。だから達秋はこんなゲームを始めたのか! 今更そのことに気付いた。
獅恩に気付かれないよう、達秋にグーサインを送る。それを見た達秋は、「俺は天才だろう」と言わんばかりにドヤ顔をする。
普通の時にされたらムカつくが、この状況だととても心強い。
「じゃあ、始めるぞ! この割り箸に番号と王様を書いたから、引いてこう。俺から引くな」
先に達秋が引き、即座に僕の方へ持ってくる。
途端に達秋の目線が左の割り箸へと移される。これを引けということだろうか。無言の合図の通り、左の割り箸を引く。
残った割り箸は獅恩が引き、ドキドキしながら文字を確認する。
「よっしゃ! 俺が王様だ!」
達秋が王様のようだ。僕の番号は一番で、きっと達秋はやり始める前にあらかじめ確認していたのだろう。
「どんなことをされるんだろう」
獅恩はゲームを楽しんでいる。ハメられているとも知らずに。
「じゃあ、一番は二番に手錠をかけろ。手錠はこのゲーム中ずっと付けてろよ」
「あ!僕が一番だから、獅恩に手錠をかけるね」
獅恩の手を後ろに回させ、頑丈なのを確認して両手に手錠を掛ける。
「ああ、次は王様になりたいな」
そうはさせない。次も上手くやってやる。
「じゃあまた同じ順番に、引くぞ」
先程と同じように、達秋の目線を見ながら引いていく。そしてみんなで一斉に文字を見る。
「僕が王様だ」
今度は僕が王様になった。そこはいいのだが、問題はどちらがどの数字かが分からない。どっちなんだ? どっちにすべきなんだ? 聞こうと思っても獅恩が気付いてしまう。
「颯海? 命令しないのかい?」
「あ、ごめん。するよ」
確率は二分の一だ。それに賭けるしかない。
「二番が一番に目隠しをする」
お願いだ。達秋が二番であってくれ。静かに心の中で祈る。
「俺が二番だ! 獅恩運悪いな」
その言葉を聞いた瞬間、心の底から安堵する。良かった。
達秋は獅恩に目隠しを付け、僕の方を向く。
「約束、破ることになるけどいいよな」
「約束?なんのことだい?」
獅恩は何の事か分からず、首を傾げる。
昨日決めた約束事のことか。もうこの状況なら仕方ない。僕は頷く。
直後、達秋が窓を開け、僕に大きな声で、
「俺がこいつを抑えてるから机動かせ!女子達も来い!」
僕はそう言われた後、すぐ机を動かす。
「おい!! やめろ!!」
獅恩は抑えれながらも、暴れ、今まで聞いたことがない怒号をあげる。
それを気にせず、机をずらし、タンスを倒す。すると壁に不自然に大きい張り紙が貼られている。壁と同化していたようだ。それを剥がすと、白色の扉を発見する。
「俺はお前らを許さないぞ!! こんなことして許されると思っているのか!!」
「お前も、彼杵に対して酷いことをしたじゃないか」
盗撮犯が聞いて呆れる。やっと怪しい場所を見つけ、息付く暇もなく一気に扉を開く。
刹那、とんでもない光景を目の当たりにする。

「僕は間違っている」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「推理」の人気作品

コメント

コメントを書く